クリントン元大統領も愛読者(意外とミーハー)だというマイクル・コナリー原作の同名法廷ミステリーを映画化。司法取引によりクズ呼ばわりされる罪人を釈放させては小銭を稼ぐバツイチ弁護士ミックをマシュー・マコノヒーが好演している。
そんなミックの元に娼婦暴行の罪で起訴された資産家のドラ息子ルーレ(ライアン・フィリップ)から弁護の依頼が。かつて自らが担当した殺人事件との関連性に気づいたミックはある計画をたてるのだが・・・・
陪審員という観客の前で弁護士と検事がやりあう法廷という場はそもそも劇中劇風であり、非常に映画になりやすい舞台設定。逆転判決のオチまでつけば松潤も納得の定番シナリオだが、この映画、判決自体は割りとすんなり決着がついてしまう。
むしろ、依頼人の機密保持義務がある弁護士が、いかにしてその機密を警察にもらすかに苦悩する主人公の葛藤が見所となっている。自らが犯した過ちを正すために演じる一人司法取引、いな正義のマスターベーションがオバマ政権下のアメリカと重なって見えるのである。
警察に汚い司法取引をもちかけては、社会的弱者である小悪党の味方になってきたミックにしてみれば、純粋悪のサイコパスはまさに許されざるもの。最後は暴力に訴えて骨を断ったミックのやり方に?は残るものの、人生のレールからドロップアウトした菅原文太的生き方に男気を感じられる人にはオススメの1本だ。
リンカーン弁護士
監督 ブラッド・ファーマン(2011年)
[オススメ度 ]