ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

セイント・モード/狂信

2022年07月17日 | ネタバレ批評篇


このサイコホラー映画には様々なミス・リードが含まれていておいそれとは真理に近づけない、まさにキリスト教における信仰そのものを描いたような作品なのである。弱冠32歳の英国人女流監督ローズ・グラスは本長編デビュー作でいきなりの大ブレーク、批評家筋はもちろん、イギリス国内の映画祭でも激賞された1本なのだ。これ程評価されている映画にも関わらず、残念ながら日本では未公開のままDVDスルーされてしまったというからもったいない話しである。

主人公モードがしているペンダントから、「ああ、マグダラのマリアモチーフなんだろ、このヤバい女の子?」と早計に結論を下してしまったあなた、ローズが仕掛けたもっとも嵌まりやすい罠にまんまとひっかかってしまった(私と同じ)あわれな凡人である。「だって、末期がんに罹患しているオバサンの身体を洗ってあげたり、娼婦の真似事なんかしてるじゃん?」だからそれは引っ掛けだって言っておろうに。実際映画タイトルと同じ“聖女モード”と呼ばれる敬虔なカトリック教徒の女王様も実在したらしいのだが、これもまた引っ掛け。

そして最大の難関は“台所に出たゴキブリ”?である。かくいう私も、某映画評論家のレビューを読むまで全く気づかなかったのだが、神のお告げを聞いて空中に浮かんだり、🤮を吐いたりするモードを見てなんか思い出したりしませんでしたか?やり過ぎモード?が災いして一度住込看護婦をクビになったモードがアマンダ宅に再度忍び込み、まるで悪魔でものりうつったかのようなアマンダに神の存在を否定されはじき飛ばされるシーン。これらすべてのシーンがあの余りにも有名な除霊ホラー『エクソシスト』を暗示しているらしいのである。ムムム!

が、その評論家が言うにはこれもまた引っ掛けらしいのである。なにー?!じゃあ、神のお告げを聞いたと頑なに信じたあまり、まわりに狂信者扱いされた挙げ句、最後はキリストのような格好で○○○○するモードは一体誰がモチーフになってるって言うねん?それを知るには、20世紀前半に活躍しノーベル文学賞を受賞したバーナード・ショーの代表作を思い出す必要があるのです。オットー・プレミンジャー監督ジーン・セバーク主演で映画化もされた、その名も『Saint Joan』。なんとホラーに見せかけたジャンヌ・ダルクモチーフの映画だったのです。やられた~。

セイント・モード/狂信
監督 ローズ・グラス(2019年)
オススメ度[]

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