エコが、学校の技術の授業で作ったと
持って帰ってきた。
「これ何?」
「なんでもない」
「何を作る授業やったん?」
「なんでも好きなもの」
「で?」
「わからへん!何も思いつかへんかったし」
ゴトリとして重い。
本棚にするには小さすぎるし
ゴミ箱にするにも小さすぎるし、
踏み台にするにしても低すぎる。
鉛筆立てには大きすぎるし、
傘立てにはならない。
こんなに何でもないものを、久しぶりに見た。
何も思いつかないまま物を作ると、こういう形になる
というオブジェ。
だったはずなのだけど、
大ちゃんが最近購入した
超コンパクトなカセットコンロ。
これをしまうのに、ぴったり。
ぴったりすぎる。
逆にこのコンロに合わせて作ってと頼んでも
ここまで隙間なく作るのは怖くて、もちょっと大きくなりそう。
新しいキッチンに収まるし、上に物も乗せられるし、
横のスペースも活用できる。
投げやりで雑な作りのこの、何でもなかったものは
技術の先生にどう映って、どんな成績をつけられたのか。
エコはいつも
「やる時はやる。けれど、それは、今ではない」という言葉を
背負っていることを
私は知っている。
けれど、先生は知らないだろう。
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幼稚園でお誕生日会をしてもらったジョータロー。
王冠をかぶって
「王様やし!もう何にもしなくていいんやでー!」と言う。
「王様って、何にもしないの?」と聞くと、
「そうやでー!王様とか店長は、何にもしなくていいんやでー!」
と、教えてくれた。