私は度々図書館にいきます。
今回の目的は
絵画教室の子供の教室に使用する絵本を探しに行く為でした。
毎回探しに行く度に
「最近の絵本は教育的配慮よりも、売れる本を目的としているものばかりだ…」
と残念に思っていました。
確かに絵の点から観ても
日本独特の色調も含めて私が小さな頃に見ていた絵と全く違うのです。
そんな中、ある一冊の絵本に出会いました。
とっても素敵な絵です。
更に
内容を見ていて絵本には珍しく最初の文面に『金太郎は教育上に良い』
という文字。
その内容に感銘を受けました。
こんな絵本が多く出る事を心から願っています。
皆様にご覧頂きたいので文章を一部抜粋してみました。
下記を是非ご覧下さい。
『金太郎は教育上に良い』 <南伸坊>
…… 前文省略 ……
第一に子どもに、あんな大型の刃物を持たせるにはいかがなものか、危険ではないか?
第二に、森の木を、おもしろがって、手あたり次第にドシドシ伐り倒すのはいかかがなものか?
危険だし、エコロジー的観点からしても大いにコマッタことだ。
第三に……というような具合。
私は笑って、そこがいいではないか。痛快で、朗らかで、天真爛漫であって、子どもはそういうものを喜ぶのだ。
と私は子どもの方の気持ちはよくわかるのである。
もちろん、友人の心配してみせたようなことも、おいおいは大事なことがらである。
が、それはおいおいに身につくことであって、何でもかんでも、親が先回りして、あれこれ過保護にしたのでは
ロクなことにならない。
子どもを親の分別ばかりで、囲み込んでしまうのはよくない。と、私は思います。
「金太郎」の話は、おおらかで、ほほえましく、荒唐無稽で痛快であり。
金太郎の愛すべき気性というのも、素直にこちらの気持ちにとどいてくるのだった。
絵本の絵が、『子どもにすり寄るような、』大人の考える「コドモらしさ」になっていないという点でも、
この講談社の絵本は、すばらしい名作であると、つねづね思っていました。
…… 最後省略 ……
*参考資料…新・講談社の絵本『金太郎』
画<米内穂豊>
文・構成:千葉幹夫/講談社
発行者:野間佐和子
発行所:株式会社講談社
*米内穂豊(よないすいほう)
1893年、岩手県生まれ。尾竹國観に師事。
格調ある絵巻物的な歴史画で知られる。「講談社の絵本」を数多く手がけ、好評を得た。
1970年没。