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『青山繁晴』のエッセイより
拉致は大嘘だとされていたことに、もう一度、眼を向けませんか ? (終盤にひと言、大切なことを書き加えました)
▼きょう6月7日・日曜の産経新聞朝刊に、日本国民を北朝鮮が拉致した非道な事件があることを初めて世に知らしめた産経新聞の記者、阿部雅美さん ( 今は退職されているようです ) の手記というか、記事が載っています。
新聞を購読していないひとが大変に多いですから、無料のネット版を見てみると、そこにもちゃんと全文が載っていました。だから、どなたでも読むことができます。
ネット版の写真の方が、阿部記者のお顔が分かって、むしろ良いぐらいです。新聞紙面では、なぜか横顔しか分かりません。
▼手記では、西暦1997 ( 平成9 ) 年に阿部記者が横田滋さんと早紀江さんを訪ねた場面を経て、阿部さんはこう書いています。
「私には古傷があった。遡 ( さかのぼ ) ること17年-新米記者だった 1980 ( 昭和55 ) 年に北朝鮮による男女4組の拉致疑惑・拉致未遂事件を大々的に初報したが、産経の荒唐無稽な虚報、捏造(ねつぞう)として葬られた」
そして阿部記者は、丁寧な確認取材の上、「20年前、13歳少女拉致 北朝鮮亡命工作員証言 新潟の失踪事件と酷似」として、1997年2月3日付朝刊1面に掲載しました。
阿部記者は記しています。「少女Aではなく、横田めぐみ、と実名で報じた。名前公表による影響を危惧した家族の中で滋さんだけが実名派だった」
▼産経はなぜ、この手記・記事を、きょうの朝刊1面トップに掲げなかったのでしょう。
ぼくが自宅で読んだ東京本社最終版では社会面のなかほどに、むしろひっそりと掲載されています。
( 大阪本社版などでは違うかも知れません。ぼくは都内在住ですから確認できません )
元記者だから ?
そんなことは関係ないでしょう。
拉致なんて大嘘だという北朝鮮の工作が、当時の日本の社会の隅々にまで行き渡っていて、報道機関、評論家、学者、テレビのコメンテーター、そしてもちろん政治家、この人々が拉致なんて無いと広めていたからこそ、事件への取り組みが遅れに遅れた、その事実こそ大切です。
それだけではない。
たった今も、この事実がほとんど変わっていないことに、気づく人は少なくないでしょう。
北朝鮮と中国、韓国による工作活動が、日本社会の隅々に依然、染み込んだままであり、それだけではなくネットの時代になって、中国に大金をもらってネットに日夜、せっせと嘘と中傷誹謗を書き込んでいる日本人を筆頭に、日本社会への工作がますます効果的に行われていることもまた、重大そのものです。
▼この産経新聞の阿部雅美記者、そして、国家公安委員長だった梶山静六さんが居なければ、今なお、横田めぐみさんをはじめ非常に多くの拉致被害者の存在すら隠されたままだったでしょう。
梶山さんは、かつて参議院予算委員会で以下のように答弁しました。
「昭和53年以来の一連のアベック行方不明事犯、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚でございます」
これが日本政府として拉致事件の存在を公式に発言した最初でした。
▼わたしたちは、ごく最近だけでも有本恵子さんのお母さま、有本嘉代子さんを喪い、横田めぐみさんのお父さま、横田滋さんを喪いました。
喪失の悲しみと、抑えに抑えた怒りを、拉致被害者の全員救出の力に変えるほかありません。
ぼく自身も今、国会議員です。責任はどこまでも重いです。
そして、日本国民、多くのふつうに生活するみなさんが、北朝鮮、中国、韓国の卑劣な工作、なかでも最も効果を上げているネット工作にみずから打ち克ってくださいませんか。
それがあって初めて、ぼくら日本の同胞、はらからのほんとうの連帯は成り立ちます。まさか自分は大丈夫と思っているかたでも、こゝろの深くまで工作に侵されていることが実際は少なくない、いや、深刻に多いと感じることが毎日のようにあります。
一緒に考えましょう。
今こそ、一緒に考えましょう。