『禅』の美術の中で最も注目するのが『頂相』である。
『頂相』とは禅師の肖像画や彫刻を指す。
とくに『頂相画』は弟子が師から印可を得たことの証明であり、
師の死後は供養の対象とした関係で、
単なる肖像画以上のリアリティー、
いわば師の真面目(しんめんもく)が表現されていることが要求され、
これが美術技術上の進歩に与えた影響は極めて大であった。
今日われわれが
過去の高僧の生き生きとした姿に接することができるのは、
この伝統の恩恵である。
また、禅から生まれたものの多くは
『頂相画』でなくとも技術だけでなくその精神につながっている。
参考資料:『禅の本』
発行所:(株)学習研究社