河野談話「河野氏は国会で説明を」 自民の萩生田総裁特別補佐
自民党の萩生田光一総裁特別補佐は22日のフジテレビ「新報道2001」で、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話に関連 し、「河野氏は最近よく雑誌に寄稿したり特定のマスコミでコメントしたりしている。発言したい気持ちがあるなら、ぜひ国会に出てきて説明してほしい」と述 べた。
また「河野氏は21日に(山口市での講演で)報告書を『すべて正しい』と言った。強制性がなかったという報告書が正しいと認めたわけだ」と指摘した。
政府の談話作成過程検討チームが20日、当時の日韓両政府が談話の文言を原案段階から入念にすり合わせていたとする報告書を提出したことについて「良いも のだ」と評価。「日本の善意が生かされていないことがよく理解できた。直ちに韓国へこれをぶつけてやりとりすることは好ましくないが、慰安婦像設置などの 動きに対し英訳などを世界に発信していくツールに使える」と述べた。
同時に「安倍晋三首相は河野談話を継承すると言っている。与党もその思いは共有したい」とも語った。
22日に閉幕する今通常国会では、日本維新の会が河野氏の国会への参考人招致を求めていたが、第一党の自民党は「犯罪に関係するものを除き、元衆院議員を参考人として呼んだ例はない」として応じなかった。
河野氏は21日の講演で、報告書について「すべて正しい」とした上で、慰安婦募集について「(旧日本軍の)強制性はあった」と改めて主張した。
「河野談話」検証 やはり見直しが必要だ 国会への招致で核心ただせ
信憑(しんぴょう)性のない作文をまだ継承しようというのか。
慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」について、政府の有識者による検証結果が公表された。強制性を裏付ける証拠のないまま、韓国の修正要求を入れ作成された過程が政府の公式の検証で明らかにされた意味は重い。
検証では、唯一の根拠とされた元慰安婦16人の聞き取り調査がまとまる前にほぼ談話がつくられ、聞き取りは事実の究明より「儀式」として行われたことが明らかにされた。事実に目をつぶり、政治決着を急いだ談話の虚構性が一層明確になり、その信頼性が、根本から崩れた。
≪日韓の合作を「隠蔽」も≫
根拠のない談話により、日本の名誉は著しく傷つけられている。やはり談話は、破棄、撤回を含め見直さなければならない。
河野談話は、業者による募集が慰安婦の意思に反して行われた事例があり、「官憲等が直接これに加担したこともあった」などと記述している。ありもしない日本の軍や警察による「強制連行」の論拠として利用されてきた。
しかし、政府が集めた公式資料に、強制連行を裏付ける証拠はなかった。談話作成の事務方トップだった当時の官房副長官、石原信雄氏も今年2月の衆院予算委の証言で認めている。
検証報告書には、日本政府は一連の調査で「いわゆる『強制連行』は確認できない」との認識だったことが明記された。
また談話が原案 段階から韓国側に提示され、韓国側からの修正要求で、慰安婦の募集にあたった業者について「軍の意向を受けた」を「軍の要請を受けた」に書き換えるなどし た交渉経緯が詳述された。こうしたすりあわせによる日韓合作の作文であることは産経新聞の取材でも判明していた。
事実認定に関わる部分まで韓国側の意向をうかがっていたのに、日本政府が「主体的」に談話を作成し、談話に正当性があるなどという強弁は通らない。
検証では、談話の文言をすりあわせた経緯について日本側から「マスコミに一切出さないようにすべきであろう」と韓国側に求めるなど隠蔽(いんぺい)工作が行われていたことも明らかにされた。国民への背信行為である。
当初から政府は、安倍晋三首相の国会答弁で、検証は進めるが、談話は「見直さない」ことを明言していた。菅義偉官房長官は20日の記者会見で「談話を見直さないという日本政府の立場に何ら変わりはない」と重ねて表明した。
安倍政権は河野談話の見直しに意欲を示していたのではないのか。談話を見直さず継承するという結論ありきで、一体この検証も何のために行ったのか、国民は理解できない。
元慰安婦の聞き取り調査資料を国民に早急に公開し、事実の核心の再調査が欠かせない。
≪謝罪外交やめ事実発信を≫
偽りの談話の作成過程は政府内で引き継ぎがなかったことも分かっている。河野氏は談話発表の際の記者会見で強制連行の事実があったか認識を問われ、「そう いう事実があった」と述べている。河野氏や韓国との折衝経緯を知る当時の内閣外政審議室長の谷野作太郎氏らを早急に国会招致し、説明責任を果たしてもらい たい。
韓国では、検証結果公表前から激しい反発があった。発表と合わせるように、島根県の竹島沖の日本の領海を含む海域で射撃訓練を強行する暴挙にも出た。都合が悪いことに対し、力による挑発をしても日韓関係の改善や問題解決にはならない。
河野談話は、歴史教科書など教育にも影を落としている。談話にも使われた戦後の造語である「従軍慰安婦」の記述は、一時中学教科書に一斉に登場した。その後、実証的研究をもとに「従軍」が削除され是正されてはきたが、高校教科書を中心に河野談話に基づく記述が依然ある。
海外でも、韓国だけでなく米国など国際社会に「日本軍の性奴隷」といった誤解と曲解が広がっている。
相手の意向を踏まえ、謝罪を重ねる外交姿勢は国益を害し、国際的にも信用されない。根拠が崩れた河野談話という負の遺産をなくし、事実を発信していかねば、過去の問題が蒸し返され、新たな謝罪要求を生むばかりだ。