ウイグル人という罪─中国による民族浄化の真実─ Tankobon Softcover – September 18, 2021
by 福島 香織 (著), 漫画 清水 ともみ (著)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E4%BA%BA%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E7%BD%AA%E2%94%80%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%B0%91%E6%97%8F%E6%B5%84%E5%8C%96%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F%E2%94%80-%E7%A6%8F%E5%B3%B6-%E9%A6%99%E7%B9%94/dp/4594089402
中国・新疆ウイグル自治区──
そこでは今、何が起きているのか。
タクラマカン砂漠、さまよえる湖ロプノール、天山山脈……。ロバ車が行き交うポプラ並木、羊の串焼きの匂い──
かつて旅人たちを魅了したウイグルの美しい風景、陽気な人々が今、その地から消されようとしている。
1000万人以上の市民が、街のいたるところに設置された監視カメラで常に見張られている。突然やってきた警官に連行され収監。さまざまな拷問を受け、二度と帰らない罪なき人々。強制労働、不妊手術、臓器を取られる子どもたち……
同時代に起きていることとは信じがたい、中国による非道な行ないを黙殺していいのか?
ウイグルの人たちの証言を漫画でTwitter上に発表し、その作品が各国で翻訳・拡散されている清水ともみ氏の漫画、産経新聞北京支局時代から現地取材を続けるジャーナリスト・福島香織氏のレポートで、ウイグルの人たちが置かれている現状を伝える。
とんちん
TOP 1000 REVIEWER
5.0 out of 5 stars ウイグルの現状を1人でも多くの人に拡散を!!で、中国でオリンピック?!
Reviewed in Japan on September 27, 2021
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ウイグル問題に切り込み、日本中に拡散・浸透させるきっかけとなったとも言える、清水ともみ氏・福島香織氏の共著。全15チャプターがそれぞれ清水氏の漫画で始まり、それに福島氏が掘り下げた解説を加えるという、非常に分かり易い構成となっている。
福島氏が1999年に訪れたウイグル西の果て「カシュガル」は当時、「どこから見ても中国ではなく、ウイグル人の住む異国だった」との事だが、20年後の2019年には、すっかり中国の町になっており、警官が増え、漢人・中国語が溢れていたとし、変わり果てたウイグルの地を紹介。
続いて、拘束・拷問を受けたウイグル出身のカザフスタン人や、まだ生きている処刑人から腎臓と肝臓を摘出させられたウイグル人医師、故郷の家族を「再教育施設」に収容されている在日ウイグル人(日本国籍)の証言も掲載している。
本書では、チャプター9以降でウイグルの歴史にも触れており、当時の中華王朝やソ連(ロシア)という近隣の大国に翻弄され続けた様子も解説されている。確かに20世紀前半までは「弱肉強食」が常識の世界情勢ではあっただろうが、今なお「力による現状変更」や、「民族絶滅(ジェノサイド)」による弾圧・差別・迫害が許されるはずがない!!
当然これらの愚行は、ウイグルのみでなく、チベット、内モンゴルにも共通の苦しみを与え、近い将来の香港や台湾、そして我が日本も「チャイナマネーに依存し、国防力を失えばウイグル人と似たような立場になるかもしれない」と、福島氏は警鐘を鳴らしている。
そして2008年、福島氏が北京に在住していた「北京五輪イヤー」に、ウイグル人によるテロ事件が相次いだという。これを中国の報道は、容疑者がウイグル人であるだけで「イスラム過激派のテロ」と決めつけ、更にウイグル人迫害の中国側の「正当な理由になった」としている。
しかし福島氏は、「『仇富事件(金持ちを恨む気持ちからの犯罪)』と、『イスラム過激派テロ(イスラム原理主義者の聖戦)』は、意味合いが全く違う」と主張している。
さて、オリンピックと言えば、2022年も何やら「北京」で冬季五輪が開催されるらしいが、果たしてこんな中国がオリンピック開催地として相応しいのだろうか?!
記憶に新しい先般の「東京オリンピック」では、開催直前になって、森喜朗氏、佐々木宏氏、小山田圭吾氏、小林賢太郎氏らが他人の発言や切り取り、はたまた過去の個人的な経歴をほじくり返され、差別だの蔑視だのと袋叩きにされて辞任・解任に追い込まれたが、「国家ぐるみ」でジェノサイド・弾圧・迫害・差別が「現在進行中」の中国で、本当にオリンピックやって良いのか??!
森氏らを叩きのめして辞任・解任にまで追い込んだマスゴミ・無能野党・芸能人・著名人、その他これに便乗した面々は、是非とも「森叩き」以上の熱量で「正義の魂」を燃え上がらせ、中国を追い込んでいただきたいものである!!
そして、その中国によるジェノサイドに対して我が国は、「規定がない」とか、自民党内の親中派や公明党の「妨害」により、「非難声明」や「国会決議」さえも出せないという、相変わらずの「腰抜け」対応・・・。日本人から外国人への「ヘイト」はダメで、外国人から日本人への「ヘイト」はOK!とかいう「ヘイト法」は、すんなり通したくせに!!
2012年にアメリカが制定したという「マグニツキー法」日本版の成立を早急に望む!!
「あとがき」にて清水氏は、ウイグル人弾圧に耳を傾ける中で気付かされるとして、「日本人は偶然にも大きな侵略を受けていない奇跡のような国に生きている」、「帰るべき故郷がある、守れる領土がある、母国語で話す、自由に仕事に就ける、思った通りの発言ができる、国歌が歌える、国旗があり公の場で振ることができる」と、日本人には当たり前に思える事を列挙し、これらは「先人が戦いながら命を賭して守って来たものであり、彼らの守った未来に私たちは生きている」として締めくくっている。
この日本人にとって「当たり前」に思えることを、中国から弾圧を受けている人々に1日でも早く取り戻してもらうために、1人でも多くの人々に伝えていきたい。そして、我々の子や孫の未来にも、この「当たり前」をつないでいきたいものである。
ラグタイム ララバイ
5.0 out of 5 stars 漫画とルポルタージュの最良のコラボ作品
Reviewed in Japan on October 3, 2021
福島香織&清水ともみ両氏のコラボ本「ウイグル人という罪」この本についてもあえて「まんが」としてのすばらしさを紹介します。正直「まんがにしたらわかりやすくなるだろう」という志の低い作品がありすぎる。「まんがだからこそできる表現」をしているからこそ清水氏は評価されるべきなんだから。
50頁から54頁まで描かれたカシュガルの風景。福島氏は観光客ビザを使って、現在のウイグル情勢を見事に紹介してきました。その内容が、ここでは見事に再現されている。これは大事なことだと思うのですけど、現在の中国、そしておそらく北朝鮮のピョンヤン、又ナチスやスターリンの統治時代もそうだったと思いますが『厳しく抑圧された息苦しい風景』などは表面的には全く存在しない。むしろ「清潔で健康的、犯罪も何もない明るい世界」がそこにはひろがっている。本当の全体主義体制はそう見えるのです。
人間が自由に生きている限り、そこには矛盾もあり、衝突やトラブルもおき、街にはごみが出てくるのは致し方ない。人間が完全に統率され、自由を奪われ、そして恐怖の下看視されている社会は、逆に「明るく清潔」に見えるのです。そしてその見えない部分で、とてつもない恐怖と人間への抹殺が行われている。
52頁上段のコマで、「街には子供たちが中国の童謡を歌いながら歩く姿があった」というセリフと絵が描かれているのですが、子に出てくる少女たちは本当に明るくかわいく描かれている。実際にそうだと思います。彼ら彼女らは、中国の歌を歌い、共産党を象徴する赤いスカーフをつけて「明るく」生きている。
同じように、ヒトラーユーゲントも、スターリン時代のピオネール(少年団)も、きっと明るく健康的に見えたでしょう。逆に言えば、それ以外の表情は許されないのです。そしてさらに洗脳が進めば、中国の唄、中国共産党の価値観以外は考えられない人間にされていく。
そして58頁から60頁。ここで描かれる中国人警官のセリフと表情がまた素晴らしい。多分この警官は、個人としてはきっと善良で純粋な人なんだろうと思う。中国共産党の宣伝をそのまま信じ、この土地に秩序をもたらすために身を埋める覚悟を持っている。でも、それがどんなに残酷なジェノサイド政策の一環なのかは全く気が付かないし、考えも及ばない。
警官は福島氏にも親切に接するのだけど、その目は、純粋ではあるけど、同時にウイグル人を全く理解しようとせず、明確に遅れた犯罪的な民族とみなす冷酷さを漂わせている。そして、その言葉を全て受け止めた福島氏の60頁冒頭のコマの悲しさを秘めた表情が、せりふはなくてもこの警官への思いをすべて語っている。
この数ページを読むだけでも、この作品は漫画とルポルタージュの裁量のコラボになっていることがわかるはず。ぜひご一読をお勧めします。「夢のコラボ」という言葉はあんまり簡単に使いたくないが、これはまさにそのような一冊。
《在日ウイグル人の吐露》「ジェノサイドを見過ごした漢民族も日本企業も共犯者」“ウイグル人弾圧”を見て見ぬふりする日本に抱く思い
2021/11/03 17:00
https://news.goo.ne.jp/article/bunshun/world/bunshun-49293.html?page=4
楊 2021年3月30日、公明党の山口那津男代表が、「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べて、ウイグル問題を理由にした対中制裁に慎重姿勢を見せました。
公明党は、「日中友好政党」であっても、政権与党ですから、これは非常に無責任な言い方だと思います。国会議員には調査権がありますから、プロジェクトチームでもつくって、在日ウイグル人を調査すればいい。あるいは公明党として独自に調査をすればいい。その上で「人権侵害はない」と言うのなら、それはそれでいい。ところが、山口代表は、何の調査もせずに「証拠不十分」と言っています。
日本は「ジェノサイドの共犯者」になる前に行動を
ローズ まず第一歩として、欧米各国が「中国は悪い」と非難してくれました。日本がそれもしないのは、どうかと思います。
楊 これまで日本は、言わば「見て見ぬふり」をしてきました。中国の民族問題は非常に深刻で、悪化していることも分かっていたのに、さまざまな理由から、発言や関与を控えてきたわけです。
于田 日本は、イスラーム諸国と良好な関係を保っています。今のところ、強く発言してくれたのは欧米諸国ですが、もし日本がウイグルのために発言してくれれば、その声は、これまで以上にイスラーム諸国にも広まると思います。
また中国と地理的に近い日本がウイグルについて発言するのは、欧米諸国の発言以上に信頼度が高いものとなるはずです。ですから、日本が発言してくれることが非常に重要なんです。
楊 ウイグル人への弾圧は、欧米メディアが報じてから、日本でも取り上げられるようになりましたが、そもそも、こういう発言をする我々に対して、日本のメディアは、結構冷淡なところがあります。「反中の右翼に利用されるだけだ」と受け止められてしまうんです。しかし、「ジェノサイド」に右も左もありません。とくに「人権擁護」を標榜しているはずのリベラル派が、この問題を黙って見過ごすのは、おかしいと思います。
于田 日本の大手企業も同様で、ウイグル人の強制労働で作られた製品などを使い続けていたら、「ジェノサイドの共犯者」になってしまいます。
「自由」と「民主主義」の国で、世界のリーダーの一員である日本の皆さんに、ウイグルの現状を知っていただきたい。そして日本政府に対しても、勇気を持って明確な行動を起こしていただきたいと心から願っています。
【前編を読む】子供の名前を自由に付けられない、家の中でもウイグル語禁止…中国政府による“ウイグル人弾圧”のヤバい実情
(于田 ケリム,楊 海英/文春新書)