天星人語

世間と空、そして(時々)海をぼんやり眺める毎日です。

近況紹介

無職70歳です。65歳と2か月で脳梗塞を発症、5か月間の入院を経て、6か月後に復職しました。 4年後、薬を卒業しました。通院はありません。 好きな言葉は、「着眼大局、着手小局」です。 モットーは、「実態は、現場・現物・現実・数字で確認する」です。なので、根拠は出来るだけ事実・現物を示します。 原理原則は「観察(問題点を探る)・分析(その原因を探る)・判断(緊急と根本的な対策)」です。 読書・筋トレ・散歩・旅・映画館での映画鑑賞時間を過ごすのが好きです。

戦中派不戦日記 おまけ

2005-12-18 11:59:18 | 戦中派不戦日記
 12月31日 ああ昭和二十年!凶悪な年なりき。言語同断、死中に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべき年へ延びんとす。生きることの難しさよ! さりながら、我が途は定まれり。生命ある限りは、科学技術の普及と科学小説の振興に最後の努力を払わん。  海野十三敗戦日記(中公文庫)  近い将来 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記15(最終)

2005-12-14 23:37:32 | 戦中派不戦日記
 12月31日 大雪。雪降るに降る。けぶる林の中に、雉子の声、山鳥の声、樫鳥の声、ひよどりの声。 ○運命の年暮るる。 日本は亡国として存在す。われもまたまたほとんど虚脱せる魂を抱きたるまま年を送らんとする。いまだすべてを信ぜず。    理由は分からない。「戦中派不戦日記」を単に書き写した。著者はあとがきの最後に記す。「人は変わらない。そして、おそらく人間のひき起こすことも」。そうは思 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記14

2005-12-12 09:02:49 | 戦中派不戦日記
 12月28日 夜の炉端に近所の百姓ら集まり、ただ天皇を憂うる声のみ。 たまたま新聞に、北海道にて天皇打倒を演説せる徳田球一が、地方民に袋叩きに合い、民衆天皇陛下万歳を絶叫し、君が代を高唱せりという事件報道せられ、百姓ら、球一がこの村に来たら袋叩きどころかぶち殺すという。 天皇信仰の鉄壁はげに農村にあり。されど、ああ、これら農民の信仰は盲信との区別なし。それゆえに強く、それゆえに弱し。それゆえに恐 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記13

2005-12-11 20:53:22 | 戦中派不戦日記
 11月14日 市ヶ谷駅は石垣の間に屋根をかぶせ、その上に土を盛りあげた原始的な姿である。街路樹の美しかった一口坂もただ廃塵。真っ黒に焦げた電柱が二つに折れて、上の柱は電柱にひっぱられて宙に浮かんでゆれている。靖国神社は雨の中に人影もない。先日アメリカ人が記者が報道していた。「靖国神社、明治神宮などに参詣する日本人はいなくなった。この神道の潰滅こそ日本人の天皇観の革命的変化の先駆となるものである」 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記12

2005-12-10 08:41:08 | 戦中派不戦日記
 10月30日 四時半起床。リュックを背負って千葉県の津田沼へ。 十時三十分着。少し歩いて京成バスを待つ。大行列。ときどき百姓が車をひいて通ると、みんな「何だ?」といって首をさしのばす。飢えた眼である。 青い野菜畑のつづく地平線にレンズのような雲が浮かんでいる。一時間ばかり待って、汚いバスにすし詰めになって、習志野を通って終点に着く。ここから林の中の白い路を歩いて大和田にゆく。風が渡ると後塵万丈三 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記11

2005-12-09 15:01:58 | 戦中派不戦日記
 9月17日 とにかく東条大将はこれからも敵から怪物的悪漢と誹謗され、また日本の新聞も否が応でもそれに合わせて書きたてるであろう。(中略) しかし、彼の人間と存在意義は、遠い後に歴史が決定するであろう。      まったく同感である。 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記10

2005-12-08 18:53:39 | 戦中派不戦日記
 9月12日 連合国司令部より逮捕状を発せられた東条大将それを待つことなくピストルを以て自決を計ったが死に至らず、敵幕舎に拘留せられ、アメリカ軍軍医の手当てを受けつつありと報ぜられる。(中略) 逮捕状の出ることは明々白々なのに、今までみれんげに生きていて、外国人のようにピストルを使って、そして死に損なっている。日本人は苦い笑いを浮かべつにはいられない。   . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記9

2005-12-07 19:16:06 | 戦中派不戦日記
 9月1日 新聞がそろそろ軍閥を叩きはじめた。「公然たる闇の巨魁」といい、「権力を以て専制を行い、軍刀を以て言論を窒息せしめた」といい「陛下を盾として神がかり信念を強要した」という。そして。-「われわれ言論人はこの威圧に盲従していたことを恥じる。過去の十年は、日本言論史上未曾有の恥辱時代であった」などと、ぬけぬけと言う。      ミスリードした日本の言論人たちの犯罪はどのように裁かれたのかな . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記8

2005-11-25 18:44:34 | 戦中派不戦日記
 8月16日 明るい。くらくらするほど夏の太陽は白く燃えている。負けたのか! 信じられない。この静かな夏の日の日本が、今の瞬間から、恥辱に満ちた敗戦国となったとは!   日本が負けた。嘘だ! いや、嘘ではない。  . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記7

2005-11-24 18:46:18 | 戦中派不戦日記
 8月14日 もう十二時近いころであろう。天地は森閑としている。 この数日、夜、警報が鳴らない。この二,三日は、昼でさえ全国的には敵機の来襲がいささか衰えたようである。それが却ってぶきみ千万である。日本がソ連に宣戦しないことを思い合わせて、実にえたいの知れない不安が這い上がってくる。 寝ようと務めた。しかし、寝られない。胸が波を打って、眼が冴えて、頭は嵐のような空想を果しもなく描いていく。   . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記6

2005-11-18 18:33:54 | 戦中派不戦日記
 8月10日 日本人の大部分は、理性的にはこの戦争には勝てまいと考えている。しかし感情的には、まさか負けやしないだろうとまだ考えている。(中略) 最後の一兵まで、など口でいうのはたやすいが、事実として出来ることではない。向うの三割をやっつけたとき、こちらが七割やっつけられたとしたら、あとは物理的に袋叩きに会うのが戦争というものだ。無益で悲惨な戦争だ。女子供をみなわれわれの手で処分し得るとは、いかに . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記5

2005-11-16 18:27:15 | 戦中派不戦日記
 8月8日 広島空襲に関する大本営発表。 来襲せる敵は少数機とあり。百機5百機数千機来襲するも、その発表は各地方軍管区に委せて黙せし大本営が、今次少数機の攻撃を愕然として報ぜしは、敵が新型爆弾を使用せるによる。「相当の損害あり」といい「威力侮るべからざるものあり」とも云う。嘗てなき表現なり。いかなるものなりや。  広島、長崎に原子爆弾が落とされた。表現できない人的被害が発生した。 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記4

2005-11-12 09:18:23 | 戦中派不戦日記
 6月3日 これは現実のことなのか。ほんとうに何もない! 赤い焼土の上には、ここもまた鶏小屋みたいな赤トタンの塊が、ぽつりぽつりと散在しているのみ。-その中を、陸軍のトラックが群れをなして往来している。  原因がなにであろうと、戦争は避けるべきだ。   . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記3

2005-11-06 09:33:31 | 戦中派不戦日記
 5月29日 B295百機横浜を大爆撃した由。品川あたりもやられたという。 6月3日 朝、自転車で下目黒の焼け跡へいってみる。 途中の電車通りの焼け跡もそうだが、いたるところ罹災者が一坪ほどの掘っ立て小屋をたてて住んでいる。(中略) これは現実のことなのか。ほんとうに何もない!赤い焦土の上にはここもまた鶏小屋みたいな赤トタンの塊が、ぽつりぽつりと散在しているのみ。   東京、横浜、名古屋、大阪と大 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記2

2005-11-01 09:08:54 | 戦中派不戦日記
 3月10日 午前零時ごろより三時ごろにかけ、B29約150機、夜間爆撃。東方の空血の如く燃え、凄惨言語に絶す。 爆撃は下町なるに、目黒にて新聞の読めるほどなり。(中略)昨晩目黒で、この下町の炎の上を悠々と旋回しては、雨のように焼夷弾を撒いているB29の姿を自分は見ていた。おそらくきゃつらは、この下界に住んでいる者を人間仲間とは認めない、小さな黄色い猿の群れとでも考えているのであろう。勿論、戦争で . . . 本文を読む
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