今回は、日本経済新聞の元旦企画、「経営者20人による2025年の株価見通しを」を取り上げてみました。
株価は経済の体温計なので、日本社会の現状と未来を示しています。
明日を示す(だから長期的ではありません)、炭鉱のカナリアであり社会の予言者です。
【伝えたい要旨】
市場価格と本質価値ー日経平均株価、9割が「最高値更新」 経営者20人予想
25年の株価変動要因、日本は「参院選挙結果」、世界は「トランプ」
大波乱含みの25年株価
結論ー基礎的な条件が重要ですが
株価を分析するには、市場価格(Market Price)と本質価値(Intrinsic Value)に分けて考えています。
市場価格(Market Price)
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定義:市場価格は、特定の資産や商品が市場で取引されるときの価格です。(商品には取引ごとに値段が付く)
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特徴:
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市場参加者の需要と供給によって決まります。
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短期的には、投機や心理的要因、ニュースやトレンドなどの影響を受けることがあります。
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例として、株式市場の株価や不動産市場での物件価格がこれに当たります。
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本質的価値(Intrinsic Value)
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定義:本質的価値は、資産や企業の内在的な価値を指し、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づいて計算されます。
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特徴:
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企業の財務指標(利益、キャッシュフロー、資産)や経済環境に基づきます。
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投資家が資産が過小評価または過大評価されているかを判断する基準になります。
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長期的な視点で評価されることが多いです。
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これは企業だけでなく国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支等がこれに当たります。
企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債等の財務状況が挙げられます。
また、PER(株価収益率)という大事な指標があります。
ファンダメンタルズの内容はすぐに市場価格の上下に影響しないものが多いのですが、国や企業の運営の状況を知る上の重要な指標となっています。
市場価格は日々変動しますが、長期的には、本質的な価値に収れんして行く傾向があります。
日本は、供給不足という構造問題が顕在化すると予想しています。
25年、国内と国外の波乱要因
日経平均株価、9割が「最高値更新」 経営者20人予想
主要企業の経営者20人に2025年の株式市場の見通しを聞いたところ、9割が日経平均株価の終値ベースの史上最高値である4万2224円を超えると回答した。
内外景気の拡大が企業業績を支えるとの見方が目立つ。
金利上昇の恩恵を受ける銀行や、成長が続く半導体関連、賃上げ効果が波及する小売りなどの期待が高い。
主要企業経営者は内外景気の拡大が続く、と予想しているそうです。
株価の根拠、まずは企業業績ですので景気拡大すれば株価は上がるでしょう。
しかし、トランプの関税政策が実行されたらば、輸出産業、特に自動車産業に大打撃となります。
天星人語は「庶民個人投資家」の端くれと自覚しています。
だから、景気拡大は望むところです。
波乱なく穏やかな景気拡大が続いて欲しいものです。
25年、国内と国外の波乱要因
まず、国内です。
経済的には、トランプが公約通りの関税政策を実施すれば、輸出産業、特に自動車産業が大打撃を受けます。
また、7月の参院選挙結果です。
過半数維持ラインは、63もしくは50議席です。
与党が参院選で議数を減らすことで、政治が不透明になるでしょう。
一旦、売りが広がると予想します。
過去のように「野党」だけに票が流れることはなく、複数の「ゆ党」が躍進するでしょう。
*信越化学工業の斎藤さんひとりが7月の安値予想です。
7月最安値を予想しています。
国内政治だけでなく、トランプ関税の影響も7月にかけてあるかもしれません。
次に、国外ではトランプの政策です。
輸入関税と移民制限の問題です。
この結果、25年の米国はインフレと景気停滞、つまりスタグフレーションが発生する可能性が高いだろうと予想しています。
教科書的な見立てではインレ要因と経済活動の制約となるため、世論や企業家からの反発が予想されます。
*インフレと(株価と逆相関する)米国金利の動向に目が離せません。
さらに、司法と議会の状況から判断すると、少なくとも次の中間選挙までの2年間は、トランプが思い通りに政策を実行することは難しいでしょう。
現実的な政策に修正するのか、それとも公約通りに進めるのか、事実を見るまで分かりません。
トランプの朝令暮改は知られることです。
政策の予見可能の低さが、市場から見た最大のリスクです。
また、貿易戦争の敗者が米国消費者になる可能性が高い。
経済状況は、トランプのトランプ王朝を築く目算を左右します。
最後に、両国とも社会的な存在感の大きい自動車産業について触れておきます。
テスラの世界販売が初の減少、24年1%減 中国BYDが肉薄
これは、電気自動車の販売動向です。
テスラ社の販売台数は、中国の新興自動車企業であるBYD社の勢いに押されています。
今後、イーロン・マスクの政治的活動にも反発がでるでしょう。
国産メーカーも国外では販売台数が伸びません。
予想通りですが、自動車において特異点が発生しそうです。
さらにこの特異点は、単に自動車という道具に限らずにより広範な社会変革が生じるかもしれません。
*特異点とは、人間社会が科学技術の急速な発達により、大変化が生じる転換期のことです。
天星人語が何度も書く、心を持つロボット君の実用化です。
まず、AIがどのように発達するのでしょうか。
自動運転技術もどうなるでしょう。
自動車産業のリーダーは変わるでしょう。
24年、BYD世界販売4割増の427万台
既存自動車とEV車は、動力源の構造が違うので新興企業に千載一遇の大チャンスがあります。
これを活かしたBYD社が躍り出ました。
話を株価に戻します。
1月2日の米株式市場でテスラの株価は一時8%安となりました。
イーロン・マスクはトランプの規制緩和にかけています。
自動運転への規制を緩和して、自動運転技術への制約をより小さくしようと目論んでいます。
安易な緩和をすると、交通事故は急増するでしょう。
果たして、2025年の株価動向はどのようになるでしょう。
日々の株価は、良い悪いニュースに踊ることでしょう。
国内の市場は、世界最大のカネの出し手である米国に左右されます。
寝ても覚めてもトランプが主人公となる25年でしょう。
25年、天星人語はこうなるだろうとは書けない、政治経済とも大波乱含みの展開を予想しています。
【補説】
トランプは政体としては絶対君主を目指しています。
*絶対君主(Absolute Monarch)は、国家の統治権を全て君主が掌握し、法や議会などの制約を受けずに統治を行う君主自身を指します。
この政治体制の下では、君主が立法、行政、司法などのあらゆる権限を独占し、全体的な国家運営を行います。
また経済は、重商主義(Mercantilism)です。
重商主義とは、16~18世紀に広く採用された経済理論で、国家の富を増やすために貿易黒字を重視し、国内産業を保護・育成する政策を推進しました。
金や銀などの貴金属を、(今は仮想通貨含む)主な富の源泉とみなし、輸出を増やし輸入を抑えることで国家の経済力を強化しようとしました。
また、植民地を獲得し、その資源を本国に供給する構造を築くことも特徴です。
さらに外交は、一国主義(Nationalism)です。
一国主義とは、主に19世紀以降の概念で、国家としての利益や自主性を最優先とする思想です。
一国主義は国民意識や愛国心を強調し、国家の独立性や内政不干渉を重視します。
紆余曲折ありますが、止めるも進めるも、出来るのはトランプだけです。
民主的な選挙により選ばれました。
命令すれば軍も従います。
絶対君主(=独裁者)だけが 世界を解釈し・ルールを作り・刑罰を下します。
【参考】
経営者の24年日経平均予想 「4万円」的中は20人中4人
*青字と図は、日本経済新聞電子版