てしかが自然学校

道東の弟子屈町(てしかがちょう)で、活動する日々のあれこれ

平成28年度 子どもパークレンジャー第2回「釧路湿原 エゾシカ追跡大作戦」2017.3.4(土)

2017-03-07 10:42:51 | 日記
環境省 釧路自然環境事務所が主催する子どもパークレンジャーの
今年度第2回目が釧路湿原国立公園で開催されました。
(第1回目の様子はコチラ

「子どもパークレンジャー」(略称JPR:Junior Park Ranger)は
環境省のレンジャー(自然保護官)と一緒に国立公園などにおいて
自然観察や自然解説による自然環境学習を小・中学生に体験してもらうプログラムです。
自然保護の大切さや自然とのつきあい方、また生き物に対する思いやりの心など
豊かな人間性を育むことを目的としています。

今回は、釧路湿原に生息するエゾシカに焦点をあて
レンジャーさんたちが行っている調査の最新情報も交え
知っているようで案外知らないエゾシカのことを学びました。

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前日、弟子屈町内は暴風雪で臨時休校になるほどでしたが
見事に晴れ渡った青空で当日を迎えることができて安心でした。
まずは塘路湖エコミュージアムセンターに集合。


参加者には、子どもパークレンジャー任命証がついた手帳が渡されます。
2回目から参加の子ども達もいるので、改めて任命式です。
最初に、レンジャーさんから地域の概要やエゾシカが増えたことによる諸問題のことが説明され
これらを解決するために、エゾシカのことを調査しているとお話がありました。


野外にでかけエゾシカを見つけるために一人一人に双眼鏡が貸し出されます。
参加者同士の親睦も含め、双眼鏡の練習です。

指示された方向を見ると「手をあげて」や「子ども同士で握手」といったお題が書いてあり
ちゃんと読めたら、そのお題をクリアするというものです。

恥ずかしながらも子ども同士で握手。

準備も整ったので貸切バスで釧路湿原へ出発!


湿原内を通る砂利道を少し走ると、早速エゾシカに出会いました。

双眼鏡の練習の成果を発揮する時です。

「あ、首から何かぶら下げているよ」

そうなんです。調査のためGPS発信機と耳にタグをつけたエゾシカがいるのです。
よく見つけてくれました。

せっかく湿原にきたので、バスはちょっと離れたところで待機しもらい
橋から釧路川を覗きこんだり、遠くの雌阿寒岳を見たり
上空を飛んでいるオオワシを見つけたりと、広い広い空の下、釧路湿原を肌で感じてもらいました。




さらに砂利道をバスで移動して到着したのはコッタロ湿原展望台。
ちょっと高いところから湿原を見てみましょう。

見つけるのがなかなか難しいのですが、エゾシカの群れや
エゾシカが移動した痕跡、シカ道を見つけることができます。

今度は、細岡展望台へ。
いかんせん釧路湿原は広いので、バス移動の時間が長くなります。
そんな時にレンジャーさんにやっていただいた、釧路湿原クイズ。

なかなか盛り上がりましたね!

ランチタイムは細岡ビジターズラウンジへ。
快適な室内を使わせていただきました。


お腹も満たしたところで、細岡展望台へ。
ここは定期的にレンジャーさんがエゾシカの頭数をカウントしているのです。
先回りしてカウント作業をしてもらっていました。


「308頭いたよ」「え~??」「わ、本当だ!たくさんいるよ!」

不思議なもので、いちど見つけてしまうと
コッタロ湿原展望台では、なかなかエゾシカを見つけられなかった子どもも双眼鏡で簡単に群れを見つけます。
わかりますかね?スコープにスマホのカメラを当てて撮影してみました。


続いてレンジャーさんに案内してもらったのはこちら。

施錠され「近づかないでください」と書かれたゲートを特別に開けてもらうと…

エゾシカを捕獲するための囲い罠です。
特別にちょっとだけ中に入らせてもらいました。


さて、再び塘路湖エコミュージアムセンターに戻ってきて、まとめの活動です。
野外で見つけてきた色々な事を、レンジャーさんのお話が繋いでくれます。
首からぶら下げていたGPS発信機の追跡結果のお話。

なんと、釧路から標津まで1年かけて往復している個体がいるのだとか。
最近になって分かってきたこともあるのだそうです。

そして、配られた空中写真にビニールを重ねて、シカ道をマジックでなぞります。
同じ場所の平成16年と平成22年を比べてみると、明らかにシカ道が増えたのがわかります


青が平成16年、赤が平成22年です。
野生動物の個体数を把握するのはとても難しいのだそうですが
釧路湿原ではシカ道が上空から確認できるので、こうした手法が用いられるのだそうです。なるほど!


最後に、班ごとのまとめの作業。
だいぶお疲れの様子も見られますが(笑)、ここが大事です。

班ごとに付箋で、エゾシカについての今日の大発見をひたすら書き出します。

書き出したら意見の整理をして、班として何を発表するかまとめます。


発表に向けて、画用紙にまとめます。見栄えがするように装飾もほどこしてくれました!


いざ発表!参加者同士の大発見を共有します。


緊張の表情ですね(^^)

前回は地域の大人に発表を聞いてもらったのですが
今回はインターネットを通じてたくさんの人に見てもらうことにしています。
発表の内容を大きい写真でどうぞ!







ぜひ、釧路湿原でエゾシカを見た時には
子ども達の発表を思い出していただければ嬉しい限りです。

市町村を越えて集まった子どもたちが
国立公園をテーマに活動をともにできる子どもパークレンジャー。
たくさんの方々にお世話になりながら28年度も無事に終了しました。

子どもパークレンジャーの任務は
当日の活動だけじゃなく、普段の生活でも出来る事がたくさんあります。
みなさんの普段からの活動に期待しています!


(はぎわら)