地球の科学、SDGsにおける最重要キーワードである。科学の視点から地球についての知識、現状を再認識してみよう、という一冊。
地球は誕生してから46億年、広さは5.1億平方km。地球上の生物の全地球レベルの大規模絶滅は知られているだけで5回起きた。昔、理科の時間に習った先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代、それぞれの切れ目には大規模絶滅があった。その中でも最大のものは2億5100万年前、古生代の終わりのペルム紀と中生代最初の三畳紀に地球上の生物のうち96%が死滅した。シベリアでの火山爆発がその原因とされ、CO2、メタンガスが暴走的温室効果を引き起こし、極端な温暖化が起きた。生物が回復を始めるのに2000万年かかっている。
中生代白亜紀の終わりに恐竜が絶滅するきっかけがユカタン半島に落ちた直径10kmの大規模隕石。このときには舞い上がった大量の塵で太陽光が遮られ寒冷化が起きた。これがきっかけで哺乳類が爬虫類に代わり地球上に居場所を拡大して生物は進化したが、その回復にも膨大な時間がかかっている。
ヒト属がアフリカ大陸で分布を広げ、地上を闊歩するのは最近の20万年ほど。その20万年の間にも気候崩壊は起きている。22000年前には氷河期でカナダやヨーロッパは暑い氷に覆われていた。最終氷河期には陸上では20度以上気温が低下、海水が氷り海水面は100m以上下がった。現在の地球は17000年ほども継続する間氷期の中にある。
地球を形成するのは、大きく分けると岩石、空気、水、生命。地球上に人類がほった最深の穴は1992年、ソビエト連邦に研究のために掘削された12kmの穴だったが、予想以上の温度と地圧で計画を断念、ドリルが引き抜かれた途端に穴は気圧によりふさがった。地球の表面積の10%は氷河に覆われ、3分の1は森林、市街地は3%である。
空気は大気圏にある。地表から330km、国際宇宙ステーションが軌道を回るところまでが大気圏とされる。大気圏には78%の窒素、21%の酸素、1%の水蒸気、0.04%のCO2が含まれるが、その最下層の対流圏は1万メートルまで。雲ができて雨が降るなどの気象現象のほとんどはここで起きている。
水は、氷、水、水蒸気からなる。地球上の水の97%が海水、地球表面の71%が水で覆われ、海水の8割ほどは水温5度以下で、その塩分濃度は数億年ほど一定している。
生物はそのほとんどが地上200m、地下3mの狭い範囲に生息している。そして岩石、空気、水に影響を受け、お互いに良い影響を与えあっている。太陽からの光と熱は3分の1は反射され残りは吸収されるが、このバランスは氷の面積やCO2やメタン濃度により上下するので、バランス変化は温暖化寒冷化の原因となる。水は蒸発、降水を繰り返す水循環によりバランスを保つ。岩石と海、樹木はCO2を貯蔵し、生成と吸収により炭素循環のバランスを取る。
現在、人類がそのバランスを崩しつつある。水と空気、そして生物にも強い影響を与え数百万年レベルで保たれているバランスが変化しつつある。そのバランスを可視化するツールはその人類により進化しつつある。地図、GIS、AI、それを人類が学ぶことで、バランスの変化を多くの人類が理解し感じることができれば、バランスの変化速度を抑制することができるかもしれない。現在は地理学の必要な時代になっている。本書内容は以上。
SDGsをアピールすることは重要で、企業活動にも政府による環境保護活動にも影響を与える可能性もある。ひょっとしたら野生動物の生息域変化、そういう変化が感染症の流行の原因になり、その原因に気候変動があるかもしれない。人類の子孫のことに思いを巡らす必要があるということ、再度認識を深めたい。