☆♪☆ 鉄のみゅーじしゃん ☆♪☆

作編曲家・ギタリスト塩塚博のブログ。
近年は駅メロディの作曲で知られています。

ヌッチ様が、やってくる。

2010年07月16日 00時06分06秒 | クラシック音楽
今回の記事はコアな内容です。ご興味のない方はスルーして下さい。

大好きなオペラ歌手は誰、と聞かれたら、
いろいろいますが、女性だとアンナ・ネトレプコ。
男性はレオ・ヌッチですね。

なんと!!今年はこの二人とも来日して公演してくれるという、大当たりの年になりました。

ただ、愛しのネトレプコは、マスネの「マノン」主役で来日予定ですが、
第二子を妊娠しており、降板する可能性が高いとのもっぱらの噂なので、
僕はチケットは買っていません。

で、ヌッチ様です。



彼はイタリア人のバリトン歌手で、特にヴェルディのオペラでは欠かせない人。
ヌッチは、本当に歌が上手く演技も達者で、どのオペラでも好演していますが、
本来とても陽気なイタリア野郎であり、
表情が豊かで眉毛がまるでマンガのように上下に動く特技があり、
僕は明るいオペラでユーモアと悪戯心のあふれる役柄を演じている彼が大好きです。

僕は彼の出演しているオペラのDVDを何本か所有していますが、
ヴェルディ作品が多く、「オテロ」「リゴレット」「仮面舞踏会」「ファルスタッフ」、
あとドニゼッティの「愛の妙薬」など。
この中では「ファルスタッフ」と「愛の妙薬」が喜劇です。
「妙薬」はヒロインとしてネトレプコも出ており、楽曲も楽しく美しく、大好きなオペラです。

今回ヌッチ様は12月に「バリトン・リサイタル」という形でソロコンサート。
嬉しいぢゃあーりませんか。
もし「リゴレット」のような悲しくて重たいオペラだと、
僕自身がちょっと疲れてしまうし、
ソロコンサートなので、ぜんぶ!!ヌッチです。当たり前だっつうの。
発表されている曲目も明るい曲から悲しい曲までバラエティ豊か。
料金だってオペラと比べたら安いです。

ヌッチ様は68歳、心臓病持ちなので、もう来日できないと言われたこともありました。
っていうことは、これは日本で見られる最後のヌッチ様になるかも知れません。

12/6、東京オペラシティ・タケミツメモリアルホールが既に発表されていましたが、
今日の夕刊に12/10に東京文化会館でももう一本やる事が判明。
これは、両方行っちゃうかー!?

ヌッチ様の歌を聴いてみたい方、Youtubeに結構動画がupされているので
ご覧になってみてはいかがでしょう。

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私的モーツァルト・ベストテン

2010年02月08日 12時23分54秒 | クラシック音楽
前からこのテーマで書こう書こうと思っていたのですが、 やっと書けます 。よかったー。



作曲をなりわいとさせていただいている私にとって、
モー先生は汲めど尽きせぬメロディーと楽想の泉であり、
音楽創作の永遠のお手本です。
三十五歳の若さで亡くなってしまったというのに、
恐るべき数の名曲を世に送り出した奇跡の天才。
もし彼がいなければこの地球における音楽という文化の
進化・熟成が少なくとも百年遅れたに違いありません。

そんな、私の敬愛してやまない先生の、あくまで私的ベストテンです。

例によってピッタリ10曲ということにはなりませんがご堪忍。

曲目は順不同ですが、1位は確定していますのでまずはここから。
悲しいときーーー。(そりゃ「いつもここから」だっつうの)

◆ピアノ協奏曲第24番(第三楽章)

彼が生涯に書いたピアノ協奏曲は27作あり、
20番以降の晩年の作品は特に傑作が揃っています。
全Pコンの中で短調は20番と24番だけであり、ともに緊張感が強く、
悲しみの情念ほとばしる、聴く者の琴線を掴んで離さない作品です。
24番は、減七和音(ディミニッシュコード)が多用され不安感・悲壮感をあおる第一楽章、
20番によく似たやすらぎの第二楽章、
そして私は特に第三楽章にたまらない魅力を感じます。
哀愁と品格がありながらマーチのような軽快なリズムを持つユニークな曲であり、
ただひとつの主題旋律を手を変え品を変え変奏しまくっていく展開で、
とても楽しい作品です。

オススメ盤/ハスキル(p)マルケヴィチ(指揮)・1960年

◆ピアノ協奏曲第20番

作品トータルの出来は20番の方が上でしょう。
それどころか全Pコンの中でも恐らく最高傑作です。
緊張感あふれる第一楽章、天国のやすらぎの第二楽章、
激情とユーモアの交錯する華やかな第三楽章。
映画「アマデウス」でも重要な場面とエンディングで使用されていました。
なお、ピアノ協奏曲では他に23番、26番、27番がとてもいい曲です。

オススメ盤/24番と同じ

◆交響曲第40番(第一楽章)

この甘くせつない旋律は、誰も文句のつけようのない永遠の名作。
幾多の指揮者やオーケストラが録音していますが、
僕はワルターやベームのようにあまりカッチリしたのは好きでなく、
さざ波のように寄せてくるといったニュアンスで演奏されるものが好きです。

オススメ盤/ジュリーニ指揮フィルハーモニア・1965年

◆アイネクライネ・ナハトムジーク

セレナーデと呼ばれるだいたい10人程の弦楽の為の曲ですが、
普通のオーケストラで演奏されることも多く、僕はオケ編成の方が好きです。
誰もが知っている有名な第一楽章の最初のインパクトあるメロディーもいいですが、
第四楽章まですべて珠玉のメロディーを持った傑作です。

オススメ盤/ベーム指揮ウィーンフィル・1974年

◆ピアノソナタ第11番(トルコ行進曲付き)

みんな大好き、「トルコ行進曲」が第三楽章に出てくるピアノ曲。
第一楽章も第二楽章も超名曲です。
モー先生のピアノソナタは先生の一番ピュアなものが見えるような気がして、興味がつきません。
バッハのような対位法はあまり出てきませんが、
先生独自の伴奏ワールドの多彩さは奥が深いです。
ちなみに他のピアノソナタで僕が好きなのは3番、9番(旧8番)、12番、13番。

オススメ盤/内田光子・1983年

◆クラリネット協奏曲

まあ本当に楽しくて、なごんで、ウキウキする曲。
特に第三楽章のウキウキ感はスペシャルなものがあります。

オススメ盤/プリンツ(cl)ベーム指揮ウィーンフィル・1972年

◆弦楽五重奏曲第4番(第一楽章)

俗に「疾走する悲しみ」と表現される名曲。
先生の短調の作品の中では、琴線の揺さぶられ度合いがトップクラス。
作者の指定するテンポよりも少しスローな方が僕は好きです。

スローなテンポ/ブタペスト弦楽四重奏団+1・1966年
通常テンポ/アマデウス弦楽四重奏団+1・1969年

◆オペラ「フィガロの結婚」

四大オペラ「フィガロ」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「コジ・ファン・トゥッテ」の中でも、
楽曲の出来のよさで更に飛びぬけているのが「フィガロ」。
ウキウキした気分の「序曲」に始まり、「殿様、もし踊りたければ」
「もう飛ぶまいぞ、可愛い蝶々くん」「恋とはどんなものなのかしら」(邦訳はいろいろある)
などなど、親しみやすい名曲が目白押し。
名盤、名舞台、映像作品が多数あるけど、
DVDで出ている1980年の東京公演のライブは贅沢で極上の味わい。
フィガロは、やっぱりヘルマン・プライだ!!

◆オペラ「魔笛」

楽曲の全体の出来では「フィガロ」に一歩譲るけれど、
CMにも使われている「夜の女王のアリア」や
「俺は鳥刺しパパゲーノ」「パ・パ・パ」などの忘れられない名曲がちりばめられた秀作オペラ。
ファンタジックで楽しいストーリーもグッド。

オススメDVD/サバリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場・1983年
最近はモダンに味付けされたものが多いがこれは正統派。
奇術的な演出もあり、楽しい極上のエンターテインメント。

◆ホルン協奏曲(1番~4番)

4曲あるけど、作品のテイストはほぼ同じで、だいたい一枚のCDにすべて収まっている。
ホルンの雄大でふくよかな音色と、平和で味わいのあるオケを聴いていると、ホントに癒されます。

オススメ盤/ホルン奏者ではデニス・ブレイン(horn)カラヤン指揮・1953年
オケではバウマン(horn)アーノンクール指揮・1973年
アーティキュレーションの掘り込みの深いオケ。


モーツァルト・私的ベストテンは以上です。
次点というか、これ以外の僕のお気に入りとしては
「バイオリンソナタ・第34番」
「ディベルティメント・第17番」
「フルートとハープの為の協奏曲」
「クラリネット五重奏曲」などがあります。

とはいえ僕もモー先生のすべての作品を聴いた訳でもありませんし、
まだまだいい曲があることと思います。
もし、この曲が入ってないのはおかしいだろっ!!といういい曲をご存知の方は、
ぜひご自由にコメントお願いします。

ありがとうございました。

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アンドレ・プレヴィンを語る

2010年01月16日 20時46分22秒 | クラシック音楽
昨夜、指揮者・ピアニスト・作曲家として今なお活躍する現代の巨匠プレヴィンの特番、
「アンドレ・プレヴィン80歳・~モーツァルト 音楽 そして日本~」
がNHK教育テレビで放送されました。



僕はしっかり見て録画もしました。

日本とも関わりが深く昨秋からNHK交響楽団(N響)の常任客員指揮者となったプレヴィンが、
自らの生い立ち、経歴、敬愛するモーツァルト、そして愛する美しい日本を語り、
N響との最新のライブ演奏を楽しむ前半と、
1976年、当時音楽監督だったロンドン響との演奏を楽しむ後半の二部構成。

プレヴィンは、僕も大好きなマエストロ。
この人は、若い頃は映画音楽の作編曲とジャズピアノで大活躍していたのに、
30代にして一念発起、モントゥーに弟子入りしてクラシックの指揮者の修行に励み、
その後指揮者・ピアニストとして成功、素晴らしい仕事を沢山残しています。

クラシックしか知らない音楽家ではない、というのが彼の強み。
クラシックファンしか楽しめない窮屈な音楽でなく、ジャズやポップスの好きな人でも楽しめる、
エンターテインメント性あふれる、シャレた、センスのいい音楽を作り出す人です。

前半の演目は、
モーツァルト/ピアノ協奏曲・第24番(プレヴィン/ピアノと指揮、N響)
モーツァルト/ピアノ四重奏曲(プレヴィン/ピアノ、N響抜粋メンバー)
プレヴィン/自作最新オペラから歌曲

モー先生のPコン24番は彼の得意曲。
84年のウイーンフィルとの録音はこの曲の僕の愛聴盤のひとつであり、
2007年9月にNHKホールでN響とこの曲をやった時は僕もライブで見ています。
そもそもこの曲(の、第三楽章)は僕的にはモー先生の曲の中で一番好きな、
思い入れのある曲なのです。

プレヴィンは、自分も作曲をするので、作者モーツァルトに敬意を表してか
音符のフェイクはほとんどないのがいいですねえ。
(ルービンシュタインやゼルキンはクラシックなのに結構フェイクやアドリブが入って、
ハズレが多くて困ります。)

協奏曲には「カデンツァ」と呼ばれる、オーケストラが停止して
ソリスト一人に任された部分がありますが、作曲家プレヴィンはここで真髄を見せてくれます。
モーツァルトのメロディーを自在に変奏し、
ついには原曲を離脱してオリジナルなプレヴィンワールドへとたどり着く。
ジャズの香りもほのかに漂うモダンでディープなモーツァルトショウへといざなわれる。
これほどオリジナリティ豊かで味わい深くしかも長いカデンツァは、
プレヴィンの独壇場でしょう。

80歳になったプレヴィン、ミストーンもなく上手いけど、
やはり以前よりリズムのキレや音符のツブ立ちが弱くなりましたね。
しかし、繊細でリリカル、色気があるピアノは余人の真似できるものではありません。
ユダヤ人であり残酷な戦争を体験した少年時代、
ルックスもカッコよくて何度も結婚離婚を繰り返した波乱の人生が、
すべて芸の肥やしになっているんでしょうか。

1976年、47歳のプレヴィンも面白かったですよ。
曲目は、モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番(弾き振り)
ラヴェル/スペイン狂詩曲。
時代が時代なので、プレヴィン、ロックミュージシャンみたいに長髪。
楽団員も長髪やヒゲの人が多くて、ちょっと笑ってしまいました。
でも演奏内容は、緊張感のある素晴らしいもの。

僕はこれからもプレヴィンを追っかけていきます。
N響との演奏会にも足を運びます。もしよかったら一緒にいかがですか。


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フルヴェンの、ブラ4。

2009年02月16日 00時11分28秒 | クラシック音楽
前回12月に、ドヴォルザークの交響曲第8番、通称ドヴォ8の、
ジュリーニが指揮したものにハマッているという記事を書きました。

年が明けてからは、ブラームスの交響曲第4番、ブラ4にハマッています。
曲自体は前から好きでしたが、何か大きな力に吸い寄せられるように、
ブラ4ワールドへといざなわれてしまいました。

ブラームスの4番、とっても、とっても、いい曲です。
ベートーベンの5番や9番、モーツァルトの40番ほどのポピュラリティはないけど、
美しくもの悲しいメロディが聴く者の琴線を掴んでかきむしる、
ブラームス全作品の中でも、そして交響曲という広いジャンルの中でも
ひときわ輝きを放つ、名曲です。

僕は、クラシックで、気に入った楽曲に出会うと、必ず
違う演奏家や指揮者のCDを何枚か買い求めて、
同じ曲のいろいろな解釈や脚色を楽しんでいます。
これまでにも、同じ曲のCDを10枚以上揃えたことが何度かありますが、
この「ブラ4」も、いつのまにか、集めも集めたり、14枚。



上・左から、クライバー81年、クライバーDVD96年、
ワルター59年、バルビローリ67年、ヴァント97年、
2段目、すべてフルトヴェングラー、43年、48年、49年、50年
3段目、チェリビダッケ86年、アバド91年、ベーム75年
最前列、ジュリーニ89年、69年。



まずはわが親愛なるマエストロ・ジュリーニの指揮した作品。
マエストロならではの、美しくてやさしく、歌心あふれる味わい深い演奏。
冒頭の第一音が「無」の世界からゆっくりとやさしく登場してくる。
テンポは例によって遅めだが、これはこれで「あり」。
69年と89年のものを比べたら、円熟、味わい、録音のよさで
やはり89年のものが軍配。だけど、69年のものも悪くないです。



続いて、伝説のマエストロ、フルトヴェングラー。
先生は1954年に亡くなっているので、残された録音はすべてモノラル、
音質も現在の尺度で言えば劣悪であることは覚悟しなければいけない。
だけどそんな録音でも、フルヴェンのみずみずしくドラマティックな演出と
楽曲へのこだわり・愛情は、時代を超えて聴く者を魅了し続けます。
43年、48年、49年、50年の4種揃えた中で、僕が一番好きなのは48年10/24のもの。
音質は悪いけれど、ダイナミクスが奇跡的にリアルな状態で聴ける。
第一音は完全な「無」の彼方から、長ーい時間をかけて幻のごとく浮かび上がってくる。
この深遠なサウンドにいきなりノックアウトをくらう。
要所要所でこれでもかという程のクレッシェンドがドンズバでやってくる。
テンポ運び・緩急も激しく、でも効果的に自在に動く。
結果、どのバージョンよりも抒情的な演奏となり、聴く者は魂の底から揺さぶられる。
興奮する。そして打ちのめされる。



フルヴェンの世界を知ってしまうと、
カラヤンもベームも、ワルターも、そして世間で何故か絶賛されるクライバーも、
淡々と、ヘタするとそっけなく演奏しているように聴こえてしまいます。
(クライバーは81年録音のCDよりも96年のライブDVDの方がいいと思う。)
ジュリーニ以外で僕がこれはいい!!と思うのはまず、
86年のチェリビダッケの日本公演のライブ(右)。
チェリさんは、やると決めた曲に対しては徹底的にこだわり、
自分の思いの丈をすべてぶつけてくる。
オケの団員はかなりしんどいと思うけど、結果としては
ピーンと緊張感の張り詰めた、透徹して隙のない、すごい演奏になる。
チェリさんはフルヴェンの弟子で、若い頃フルヴェンのもとで修行したから、
その意味では現代にフルヴェンを蘇らせた人かも知れない。

でも、もっとフルヴェンの精神を現代のスペックの中で再現してくれたのは、
91年のクラウディオ・アバド指揮のベルリンフィル。(左)
フルヴェン以外の盤の中では第一音が最も長く(ジュリーニより長い)、
テンポやダイナミクスの操り方もとことん気合が入っており、
録音も素晴らしく、これは超オススメ。
アバド自身はフルヴェンをけっして意識したわけではないと思うけれど、
この曲の演奏のいわば王道を、てらわず堂々と清々しく見せてくれたと思います。
ありがとう、クラウディオ。

そんなわけで、僕は毎日この曲を必ず最低二者のバージョンで楽しんでいます。
時間がない時は第1楽章だけでも聴いちゃいます。

皆さん、ブラ4はホントにいい曲ですよ。
これを知らずに死んでしまったら、あまりにももったいないです。
よかったらぜひ聴いてみて下さい。

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オペラ正月、寝正月

2009年01月06日 00時38分46秒 | クラシック音楽
5日から世の中もほぼ平常運転、ですね。

皆さんはどんなお正月を過ごされましたか。

僕は、例年だと大晦日まで演奏仕事があったり、
年を越しての制作仕事の締め切りがあったりということが多かったのですが、
今回はキレイに何もなく、実家も留守で家族集合もなかったので、
ほとんど毎日、オペラのDVDを見ていました。

オペラって、長いんですよ。
120分以内で終わるものはほとんどなくて、135分とか150分、長いと180分。
なので、見る側にも覚悟と気合と、まとまった時間が必要。
この正月はまさにうってつけのオペラ正月でした。
しかも、夕方4時前後からは小1時間昼寝もするので、寝正月でもあったりして。
忙しくててんてこまいの方々から見たら、余裕かまして憎たらしいかも知れませんね。
ホントに申し訳ない。

で、この正月に、新規に購入したものと、最近購入してまだ1回しか見ていないDVDを
だーっと見た訳ですが、そのラインアップはこんな感じです。
椿姫(ヴェルディ)、アイーダ(ヴェルディ)
このふたつは世界文化社の「オペラ名作鑑賞」シリーズ。他に
ほほえみの国(レハール)、
後宮からの逃走(モーツァルト)、
トゥーランドット(プッチーニ)、
ファルスタッフ(ヴェルディ)といったところ。
明日「喋々夫人」「ラ・ボエーム」(プッチーニ)もAmazonから到着予定。

僕は、オペラはまずモーツァルトが基本で、俗に言う4大オペラ、
「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「コジ・ファン・トゥッテ」はとりあえず教科書で、
特に「フィガロ」と「魔笛」が大好きです。



僕の所有しているものでお気に入りは、
フィガロ(右)が1980年日本公演。ベーム指揮、ヘルマン・プライのフィガロ、
ルチア・ポップ、アグネス・バルツァほかのオールスターズによる超ゴージャスなもの。
これは、死ぬほど満足します。満腹と言った方が正解かも。
ベームは翌年81年に、プライもポップも若くして亡くなったので
その意味でも大変貴重なDVDです。

魔笛(左)は、1983年サヴァリッシュ指揮、クルト・モルやポップが出演。
魔笛はとてもファンタジックで夢と冒険のある楽しいオペラで大好きなのです。
4本ほどDVD買いましたが、歌手の力量もさることながら、
豪華でトリッキーな仕掛け満載の舞台装置や、
昔から定番とされてきた楽しい演出がてんこ盛りで、
僕的にはこれが決定版ですね。

他に僕が好きなのはビゼーの「カルメン」、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」、
レハールの「メリーウイドウ」などなど(オペレッタと呼ばれるものも含む)。
ただ、オペラで避けて通れないヴェルディとプッチーニが僕的に弱かった。
なのでこの正月はこの二者の名作を制覇しようとしているワケです。

ヴェルディは素晴らしいです。大好きです。
モーツァルトに負けないくらい、いいメロディといいオケの宝箱です。ざくざく出てきます。
しかも、全編にわたり、オーケストラも歌も休みなしに演奏し続ける。これはすごい。
指揮者が疲れるでしょうね。 

プッチーニはまだまだこれから勉強しますが、
どの作品もストーリーが重いので注意が必要です。
トゥーランドットは有名なアリア(歌曲)につられて
予習なしで全部見たら大変なことになります。
確かに名作だろうしこれはあくまで「作り話」だろうけど、
話の残虐さに僕はついて行けませんでした。

ところで、世界文化社から出ている「オペラ名作鑑賞」シリーズ、これはバツグンです。



DVD2枚と、とても丁寧で分かりやすい解説ブックレットがついて4800円。
Amazonあたりじゃもっと安いです。しかも、2種類のDVDの内容が、
いかにも王道のオーソドックス演出と、モダンなアレンジのシャレた演出、
という組み合わせだったり、
豪華でスケールの大きい舞台ライブと、
より音楽をリアルで近くに聴ける、スタジオ収録ものorオペラ映画、
という組み合わせだったりと、とても有意義な2枚組みなのです。
しかもその出典は現在他社から出ていないものでありながら、
豪華キャスト・指揮者の揃った、文句のないおいしい内容です。
これはいいですね。僕もあと2-3セット購入するつもりです。

今日は、とりとめのない内容ですいません。
オペラに関してはまたおいおい書かせていただきます。

それはそうと、5日、新宿で、僕はエンジェルを見てきました。
あ゛ーっ!!ひかないで下さい。けっして頭がおかしくなった訳ではありません。
このせち辛い世の中に、信じられないほどステキでキレイで、
感動を与えてくれる、そんな人がいるのです。僕にはエンジェルに見えます。
詳しいことは書きません。というか書けませんが、ホントに素晴らしいです。

僕も音楽家として、エンジェルは無理だけど、皆さんの癒しになれるよう
がんばっていこうと思います。
ではまた。
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ジュリーニの、ドボ8。

2008年12月18日 16時35分41秒 | クラシック音楽
皆さんはクラシックの名曲を違う奏者やオーケストラで聴き比べてみたこと、ありますか。

ジャズやポップスの場合、同じ曲を違う人がやれば、
楽器の編成もアレンジも違うし、第一に歌う人の個性が違う。
だけど、クラシックの場合は、基本的に同じスコアを音にしているのだから
あんまり違わないんじゃないかと思うでしょ。

で実際どうなのかというと、これが見事に違うのですね。
確かに、あまり違いのわからない平凡な演奏もありますが、
マエストロ(巨匠)と呼ばれている指揮者やプレーヤーの作品になると、
その人独自の解釈と脚色で、実に個性的な世界が広がっていきます。

たまたま「クラシックジャーナル」誌で、名曲名盤の聴き比べをする企画を
やらせていただいたこともあって、
いろんなマエストロの世界を実感することができました。

オーケストラ指揮者のマエストロで、有名な人と言えば、
カラヤン、バーンスタイン、ベーム、フルトヴェングラー、トスカニーニ、
ワルター、クレンペラー、クリュイタンス、チェリビダッケ、クライバー、
いろいろな名人がいましたが、僕が一番好きなのは、ジュリーニ。



カルロ・マリア・ジュリーニはイタリア人の指揮者で、
1914年生まれ、終戦後めきめきと頭角を現し、名指揮者として活躍、
1998年に引退、2005年に逝去しています。
ご覧の通りのダンディーなおじさんで、
名前の割には沢田研二さんには似ておらず(ジュリー似?)
クリント・イーストウッドに一番似ているでしょうか。

この人はどういう指揮をするのか。

その前にあの有名マエストロ達はどうなのか、ザックリとですが書きます。

ベーム/とてもキッチリカッチリしたオケを几帳面に作り上げる、
文部省推薦の「チョー安心して聴ける」クラシック界の校長先生。

カラヤン/言わずと知れた超スーパースター。作品の商品としての価値を重視して、
ビジュアルも含めたトータルプロデュースで次々と作品を発表し続けた人。
ナルシスト。完璧主義者。

それに対して、ジュリーニの振るオケは、
イタリア人らしい美意識に貫かれた、美しく詩情的で、歌心にあふれた演奏。
遅めに設定したテンポの中でじっくり表現されたアンサンブルは
味わい深くてせつなくて、聴く者の琴線を捉えて離さない。
そんなふうに表現できるかと思います。

指揮者にもいろんなタイプがあり、何日もかけて徹底的にリハーサルを重ね、
一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルを作り上げる人もいます。
対してジュリーニは団員を権力で支配するのでなく、フランクに打ち解けて
一緒にひとつのアートを作り上げていく、そんな人だったそうです。
団員にはメロディーを心から歌うように弾くことを常に口にし、
団員の個性や魅力を引き出し、本番での緊張感から来るフレッシュな爆発力を重視。
そのため、リハーサルはキメ細かくやるけれど連日やるようなことはしなかったそうです。
コンサートやレコーディングが終了すると、その瞬間に団員が感動して涙する、
そんなことも多くあったといいます。

引退直前の97年に、彼がブルックナーの交響曲9番を振るコンサートがあり、
DVDが発売されていますが、チャプター1はそのリハーサルが収録されています。
83歳のジュリーニは、大御所なのにちっとも偉そうなそぶりもなく、
リハのスタジオに「やあやあこんにちは」と言いながら入って来る所から始まり、
部分的にリハをし、団員に説明とダメ出しを行い、
結果がよいとやさしい笑顔で「素晴らしい!!」と褒めてくれます。
自分もプレーヤーになったつもりでジュリーニにダメ出ししてもらう気分、
これはホントにしびれます。
このDVDを見て僕はますます彼が好きになりました。

僕が所有しているジュリーニの作品の中で、特に愛聴しているものは、

ショパン/ピアノ協奏曲1・2番、ツィマーマン(ピアノ)、78・79年
モーツァルト/交響曲40・41番、ニューフィルハーモニア管弦楽団、65年
ブラームス/交響曲第4番、ウィーン・フィル、89年
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界から」、ロイヤル・コンセルトヘボウ、92年
ドヴォルザーク/交響曲第8番「イギリス」、同上、90年
そして同曲のシカゴ交響楽団、78年。

中でもドヴォルザークの8番(ドボ8)、これに今ハマッているのです。
ジュリーニは98年に引退しますが、89年頃から
自らの死期を悟ったかのように、名曲の集大成となる録音を多数残しました。
枯淡の境地に達したマエストロは、以前より更に遅いテンポで
じっくりと、そしてやさしく、以前から何度も吹き込んできた名曲に再び命を吹き込みます。

ドボ8の90年バージョンもとても甘くやさしくせつなくて、ホントに癒されます。
78年のものは、ジュリーニも多少若いし、シャキッとしていてテンポも少し速いけれど、
よく歌うジュリーニ節の基本は同じで、これもすごく魅力的です。
ということで私はこの2作を毎日交互に聴いているのです。
90年のものは、初めて聴く人は避けた方がいいかも知れません。
ジュリーニにずっぽりハマッた、ある程度年齢の行った人でないと
ちょっとつきあいづらいかも知れませんね。
78年のものの方が皆さんにオススメかな。

ジュリーニを心から愛するファンの人たちは数多いですが、
素晴らしいファンサイトがあります。
http://homepage3.nifty.com/giulini/
すいません、了解とっていませんが載っけてしまいました。
もしジュリーニに興味を持たれた方、このサイトはいい情報満載ですので
訪れてみてはいかがでしょう。

今日も長くてすいません。ではまた。
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クラシックジャーナル誌のこと

2008年12月09日 23時49分23秒 | クラシック音楽
プロフィールの欄にもありますが、
僕は幼少時からずっと父親が聴いていたクラシック音楽を
否応なしに聴いて育ちました。

自分の意志で音楽を聴いたり演奏したりするようになってからは、
父親への反発もあって、ロックやジャズに熱中していました。
しかし、大人になり、音楽で生活するようになって、
ふと気がつくと、家でくつろいでいる時に聴く音楽はほとんど
クラシック音楽になってしまいました。

父親が当時好んで聴いていたモーツァルトやシューマン、
ピアノのクララ・ハスキルやソプラノ歌手のエリザベート・シュヴァルツコップは
そのまま私の愛聴盤となりました。

現在の僕のお気に入りの人たちは、
作曲家は、モーツァルト、ショパン、ラヴェルが僕の3大巨匠。
他に、ドヴォルザーク、シューマン、ヨハン・シュトラウス、レハールなど。
あと、ブラームスの室内楽もいいな。
オーケストラ指揮者は、ジュリーニ、クライバー、ミュンシュ。
チェリビダッケも、すごいなー。
あと、アンドレ・プレヴィン。この人は指揮者としても巨匠ですが、
ピアニストとしてもめちゃくちゃ魅力的でシャレている。
ジャズも弾くし、作曲家としてハリウッド映画などの作曲もする、
憧れのマルチミュージシャン。
ピアニスト単体では、やっぱりハスキル。
彼女を超えるピアニストは、永遠に出てこないんじゃないかな。
あと、ソプラノ歌手のシュヴァルツコップ。
美声、というのはこの人のことだよねー。

とまあ、大好きな人がいっぱい、います。
これらの人達について、おいおいこのブログでも書いていこうと
思います。
最初は指揮者のジュリーニについて、書こうと決めています。
お楽しみに。

ところで、プロフィールの欄に「クラシックジャーナル」誌にも執筆、とあります。

クラシックの僕の好きな名曲をいくつかの演奏者によるバージョンで聴き比べをし、
バッサバッサと斬ってしまう、という記事を、
僕が知人友人に向けて出していたメールマガジンのようなものに付録して
皆さんに読んでもらっていました。そうしたら、
これミョーに面白い、と評価してくれる人がいて、
「クラシックジャーナル」誌に紹介していただいたのです。

僕はもちろんクラシック評論家ではありませんし、
専門知識も大してありませんが、音楽家のプロではあるので、
評論家のプロとは異なる目線で、面白い記事が書けるかも知れない。
よし、じゃあやってみようということで、
連載企画「塩塚博の オレ流名曲名盤聴きまくり・これぞ、名盤!どこが、名盤?」
を書かせていただきました。テーマは
第30号(08年2月)ベートーヴェン/交響曲第9番・合唱付
第31号(08年4月)ショパン/ピアノ協奏曲1・2番
第32号(08年6月)ラヴェル/ダフニスとクロエ
第33号(08年8月)ブラームス/ピアノ五重奏曲
第34号(08年10月)モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番
の5回にわたり、書いています。
第34号は、この雑誌の最新号なので、今書店にある
クラシックジャーナル誌を見れば、
ホントに僕の書いた記事が載っています。



クラシックジャーナル誌のHPは
http://www.alphabeta-cj.co.jp/cla_j/index.html

ただ残念なことに、この最新号をもって連載は終了してしまいました。
なので、ぜひ、書店でご確認下さい。
幻になってしまう可能性、大!!であります。
マニアックな雑誌なので、大きな書店か、大手CD店に行かないと、
置いていません。
あとは発刊元の「アルファベータ」から取り寄せ、ですね。

この記事を5回分書いたことで、僕もすごく勉強になりました。
今後の音楽家人生にも大いに役立てていこうと思っています。
ありがとうございました。

ではまた。
コメント (1)
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