根絶には沖縄の基地撤去こそ
事件が起こるたび米軍や日本政府がお題目のように唱える「再発防止」策に何の実効性もないことは明らかです。
沖縄本島で昨年11月、30代の米海兵隊員の男が面識のない20代女性に性的暴行を加え、けがをさせたとして、不同意性交致傷の疑いで今月8日に書類送検されました。米兵による少女暴行事件に抗議し再発防止を求めた沖縄県民大会が昨年末に開かれたばかりです。断じて許されない事件であり、強い憤りを禁じ得ません。
■再発防止効果なし
県警から通報を受けた沖縄県の玉城デニー知事は8日発表したコメントで、一昨年末の少女暴行事件以来、約1年の間に、米兵による性犯罪という「女性の人権や尊厳を蔑(ないがし)ろにする悪質な犯罪」が、今回の事件を含め5件も発生していると指摘。繰り返される凶悪犯罪に対し「隊員の教育やリバティー制度(行動規制)など、米軍が実施している再発防止策の実効性に強い疑念を持たざるを得ず、在沖米軍内の規律のあり方が問われる深刻な事態である」と批判しました。
在日米軍は昨年7月、沖縄で米兵による性犯罪が相次いで発覚したのを受け、兵士への教育の改善など「再発防止」策を示し、県や地域住民との新たな協議の枠組みである「フォーラム」設置を提案していました。10月には、基地外の米兵の行動を規制する「リバティー制度」を見直し、午前1時から5時まで酒類を主に提供する施設への立ち入りなどを禁止すると発表していました。
しかし、性犯罪防止のためにどんな教育をしているのか、今回、書類送検された海兵隊員がそうした教育を受けていたのかなどは不明です。フォーラムの設置もいまだに実現していません。
日本共産党の赤嶺政賢議員は昨年12月19日の衆院安全保障委員会で、沖縄での米軍の事件・事故は10月以降も、刑法犯11件、交通人身事故2件など計26件も発生していることを明らかにし、「リバティー制度」の見直しなど「米軍の綱紀粛正・再発防止策で事件を防ぐことはできない」と批判していました。
米軍が再発防止にまともに取り組んでいないことは明らかです。日本政府も「綱紀粛正を求める」とただ繰り返すだけでは済まされません。実効ある対策を米側に強く迫り、実際に行われているかどうか検証できるようにすべきです。
■地位協定見直しを
日米地位協定は、米兵が公務外で事件・事故を起こした場合、日本側に第1次裁判権があるものの、米軍が容疑者の身柄を確保していれば起訴まで米側が拘束すると定めています。これへの批判が高まり、「運用改善」として日本側が求めれば起訴前でも身柄の引き渡しに米側が「好意的考慮を払う」ことになりました。しかし、今回の事件では、容疑者の身柄は今も米軍の管理下にあると報じられています。米軍に治外法権的な特権を与える地位協定の見直しは不可欠です。
沖縄には戦後80年たっても、全国の米軍専用基地面積の7割が集中しています。米兵犯罪を根絶するには、米軍基地の縮小・撤去こそ必要です。
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