自民党の逆風反映か 1日平均383万円も
“闇ガネ”石破首相は説明を
石破茂首相は2024年10月1日の政権発足後すぐに解散・総選挙に打って出ましたが、同時期に官房機密費(報償費)を通例より高いペースで支出していたことが5日、本紙の調べでわかりました。自民党派閥の裏金づくりが問われた総選挙に、官邸の“闇ガネ”と呼ばれる官房機密費を使っていないか、石破首相には説明責任があります。(矢野昌弘)
石破首相は、「国民のみなさんに十分な情報を提供してご判断をいただく」という自民党総裁選中の発言を手のひら返しして、同月9日に衆院を解散しました。
本紙が情報公開請求した官房機密費の支出記録をみると、解散前日の同月8日にカネの動きがありました。官房機密費の金庫から、林芳正官房長官が管理する「政策推進費」の金庫へと9200万円を移動していました。
「政策推進費」は官房長官への“渡し切り”のお金です。官房機密費自体が、会計検査院の調査がなく、使途の説明を求められない“闇ガネ”の要素が強いお金ですが、「政策推進費」は、より闇ガネの要素が強いお金です。
「政策推進費」の金庫に移した9200万円は24年11月1日の時点でゼロになっていました。
総選挙(同年10月15日公示、27日投票)の期間を含めた24日間で9200万円を使い切った格好です。1日平均で383万円になります。
第2次安倍晋三内閣から岸田文雄内閣の11年9カ月(4298日)では1日の平均が313万円でした。
過去の10月期の支出は1日平均300万円に届かない年がほとんどでした。この時期の支出として石破内閣は突出して多い額です。
神戸学院大学の上脇博之教授は「今回の総選挙での自民党の逆風が支出に反映した可能性がある」と指摘します。
そもそも官房機密費とは何か―。林芳正官房長官は昨年2月の衆院内閣委員会で「内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて、内閣官房長官のその都度の判断で使用する」と説明しています。
しかし、麻生太郎内閣で官房長官をつとめた河村建夫氏が昨年、「陣中見舞いとして持って行くことがあった」「官房長官として(選挙応援に)呼ばれた際や、(自民党)総裁が応援に行かないといけないケース」で官房機密費を選挙向けに支出したことを複数のメディアで証言しています。石破首相は、官房機密費を巡る数々の疑惑について答える必要があります。
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