逆流許さず原発ゼロの日本へ
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から14年がたちました。地震と津波で原子炉が冷やせなくなり、原子炉建屋が次々爆発し大量の放射性物質が放出されました。現場では強い放射線の下で、原子炉を冷やす懸命の作業や高濃度汚染水流出への対応など緊迫した状況が続きました。
原発周辺の汚染は深刻で、避難を余儀なくされた人は16万人を超えました。汚染は広範囲にわたり、東京でも一時的に水道水の汚染が基準を超え利用が制限されました。このような異質の危険をもつ原発と日本社会が共存できないことは明らかです。
事故の現実を目の当たりにした多くの国民が、原発ゼロを求めて声を上げました。
■教訓投げ捨て転換
ところが石破茂政権は、エネルギー基本計画に原発の最大限活用と新規建設(建て替え)を明記し、原発回帰への転換をはっきりと打ち出しました。原発事故以来掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減する」「原発の新増設は想定していない」という言明をくつがえし、事故の教訓を投げ捨てるものです。
福島ではいまもなお300平方キロメートル以上が帰還困難区域とされ、故郷に戻れていない人は福島県が公表しているだけでも約2万5千人です。避難指示区域外からの避難者などを含めれば4万~5万人ともみられています。避難指示が解除された地域での営農再開は約5割、沿岸漁業の水揚げ量は事故前の4割余りにとどまっています。
原発事故は甚大な被害を引き起こし、いまも被害が続いています。この現実を無視して原発を最大限活用するなど許されません。
最高裁判所が、原発事故に対する刑事責任を認めないことも重大です。
東京電力の旧経営陣の刑事責任を問う訴訟では、15メートル余の津波が起こりうると社内で試算されていたのに、経営陣が対策を先送りしていたことが明らかとなりました。
■最高裁の不当判決
しかし最高裁は5日、事故回避の措置を怠ったといえるほどの「現実的な可能性」を被告が認識していたとは認められないとして、一、二審の無罪判決を支持しました。
原発はひとたび事故を起こせば時間的・空間的・社会的に壊滅的な被害をもたらします。それ故に東電や国には事故防止のため、なしうる最大の対策をとる高い義務があります。最高裁判決は、そうした原発の特殊性への認識を欠いた極めて不当なものです。
最高裁は3年前も損害賠償請求訴訟で国の責任を認めませんでした(6・17判決)。両判決は原発事故の現実に向き合わず、福島県民はじめ事故被害者の思いを踏みにじるもので到底容認できません。
国民世論は明確です。直近の世論調査(日本世論調査会)では62%が原発ゼロを望んでいます。最大の理由は、福島原発のような事故を再び招く恐れがあるからです。
逆流に抗して政府や司法に国民の意思を受け止めさせるには、原発ゼロの世論と運動をいっそう広げることです。日本共産党は、国民とともに原発ゼロの日本をめざして力を尽くします。
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