停滞をもたらす格差をただせ
経済的困窮が拡大しています。
物価の影響を除外した実質賃金は1996年をピークに2023年までに年収で74万円も低下しました。暮らしに困難をもたらしたことが内需を冷やし「失われた30年」と言われる経済停滞を生んでいます。
そこを、円安を起因とする急激な物価高が襲いました。生鮮食品を除く消費者物価指数は24年11月に前年同月比2・7%上昇と、39カ月連続の上昇です。帝国データバンクによると今年1月の主要食品メーカーの値上げはパンを中心に1380品目で22年の同社の調査開始以来、1月としては最多です。
厚労省の最新の「23年国民生活基礎調査」で生活意識が「苦しい」とした世帯は59・6%と前年の51・3%から8・3ポイント上昇しました。
■主要7カ国最下位
GDP(国内総生産)の5割以上を占める消費が落ち込んだため国内経済が弱体化しています。
名目GDP(23年)の国際比較では、人口が日本の3分の2のドイツに抜かれ世界第4位に転落しました。1人当たり名目GDPでは、日本は主要7カ国(G7)中最下位となり、韓国を下回っています。円安によってドル換算の金額が減った要因はありますが、日本経済そのものが成長しなくなっています。
一方、大企業は大幅に利益を増やしています。資本金10億円以上の大企業の経常利益は24年3月に前年から8・4兆円増の76・3兆円となり、3年連続で過去最高益です。内部留保は前年度から27・9兆円積み増して539・3兆円となりました。
■中小への直接支援
自民党・公明党政権は法人税の減税や労働法制の改悪を進め、大企業を優遇してきました。しかし大企業がいくらもうけても賃金は上がらず、内需が増えませんでした。このゆがみを正さなければなりません。
物価上昇を大幅に上回る賃上げを実現するため、大企業の内部留保への課税は待ったなしです。これを財源に中小企業の賃上げを直接支援します。賃上げに回した分を課税対象から除くことで、大企業の賃上げも促進します。
税・財政は、所得の再分配によって暮らしを守り、格差を是正するためにあります。この本来の役割を取り戻すことが急務です。
とりわけ、生計費非課税と応能負担の二つの原則が重要です。
生計費非課税の原則から、課税最低限の引き上げは当然です。ただ、政府の税制改正大綱では、住民税の基礎控除引き上げが見送られたため、高額所得者には最高4万円の減税となる一方、年収200万~400万円ではわずか5000円の減税にとどまります。
消費税は、生計費に課税する最悪の税制です。廃止を目指し、緊急に減税すべきです。
応能負担の原則からは、
大企業の税負担割合が中小企業よりも軽くなっていることや、所得が1億円を超えると所得税の負担割合が下がる「1億円の壁」をもたらす証券優遇税制などの是正が必要です。
経済停滞から抜け出すためにも内需を増やす格差是正が必須です。
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