新基地 くい打ちずさん
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、防衛省沖縄防衛局は、軟弱地盤が広がる大浦湾側のA護岸の造成のために実施している鋼管(金属製のくい)の打設(打ち込み)工事で、2月末までに計141本を打設したと本紙に明らかにしました。
![]() (写真)大浦湾の鋼管打ち込み現場。右上に向かって濁った水が流出している=1月24日、沖縄県名護市(沖縄ドローンプロジェクト・奥間政則さん提供) |
防衛局によると、着手した昨年8~11月の打設数は計29本でしたが、12月に33本、今年1月に20本、2月に59本とペースを上げています。小型無人機で工事状況を監視している土木技師の奥間政則さんは「作業の慣れもあるが、台風が来ない冬場にできるだけ進めようとしているのではないか」と指摘。防衛局は計1000本の鋼管を打ち込み、3年10カ月で完成させる計画です。
一方、奥間さんによると、鋼管打ち込み工事現場の汚濁防止膜の外への土砂の流出を複数回確認したほか、湾内2カ所の海底を掘り下げる浚渫(しゅんせつ)工事や海上ヤードの建設現場からも土砂が流出しています。奥間さんは「工事を急ぐあまり汚濁防止対策がずさんで、生態系に影響に与える恐れがある」と指摘しました。
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防衛局は、軟弱地盤「改良」のための砂くいの打設工事では、2月末まで約300本を打ち込んだと明らかにしました。同工事は1月29日に開始し、合計約7万1000本を打ち込む計画ですが、現在のペースで単純計算すると砂くいの打設だけで20年以上かかります。台風による工事の中断や、狭い湾内に大型作業船が密集することによる事故の恐れもあり、予定通りに進む保証はありません。さらに、軟弱地盤は最深で水面下90メートルに達するなど、前例のない工事です。
着工から約1カ月となる2月28日の大浦湾には、砂くいを打ち込む大型作業船「サンドコンパクション船」6隻が停泊。うち2隻で土砂をパイプ内に投入する「ホッパー」が稼働しているのが確認されました。
この日、海上で市民8人が「海を壊す工事をやめろ」などと抗議。海上行動チームの島しづ子さんは「この美しい海を、よその国の子どもの命を奪う基地にしないで」と訴えました。
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