地球サミット「Rio+20」が、「壮大な失敗」とも言われながら閉幕しました。
グリーン経済への移行は必要だと思うけれど、
持続可能性(サステナブル)を考える時には、
適正な手段だけでなく、適正な量、適正な対象というモノサシも必要なのに、
今は「手段」ばかりに目が向けられているという印象を持ってます。
そして、新興国・途上国がグリーン経済に反対していますが、
そこに、先進国との格差を埋めていく「公正さ」も必要なのだと思います。
20年前から、「我々には同じ過ちを繰り返す時間はない」と言われながら、
国レベルでは、過ちを正すことができていない。
だけど、私たちの生活レベルでは、どんどん変わっていってる!
世界中から「持続可能なライフスタイル」をテーマに寄せられた、
たくさんの写真を見てほしいです。
http://www.uncsd2012.org/pictures.html
世界のエライ人たちが何を決めようと、何を決められなかろうと、
気付いた人から暮らし方、コミュニティのあり方を変えていく動きがとっても大事で、
それが、世界の変化へとつながっていくんだと思ってます☆
これ以下は、すべてサミット関連記事を転載・リンクさせていただきます<(_ _)>
初めに市民系メディア、続いて一般メディアです。
「私たちは変わる必要がある」--リオ+20でセヴァン・スズキが20年目のスピーチ
http://www.alterna.co.jp/9311
10年ぶり3回目の「地球サミット」(リオ+20)が開催された。本会議が終了し、いま現地ではNGOのデモンストレーションや声明が発表されている。
SDGs(持続可能開発目標)など新たな合意もうまれたが、具体性にかけるという批判も多い。
そんななか、20年前の地球サミットで伝説のスピーチをしたカナダのセバン・スズキがふたたびリオに登場しスピーチをおこなった。
1992年に12才の少女だった彼女は結婚して二児の母。今回、地球サミットのシンボルとしていくつかのサイドイベントに登場。20年の変化を語った。少し言葉を引いてみよう。
--私は92年にひとりの子供として、未来のために声をあげました。あれから20年たちました。今は私は、私たちの子供の未来について声をあげます。
--自然のバランスがティッピングポイントをむかえています。いま私たちは変革の時にいます。 事実を知った科学者として私たちは変わる必要があります。
--私たちが最後のソリューションなのです。いま私のなかに新たな希望が生まれてきています。それは子どもたちへの愛です。
--なぜなら子どもたちは原因と結果のつながりをもたらす存在。彼らのために確かな未来の可能性を残す必要があります。世代を超える力、それは愛です。
20年前には「国連や政府に怒りをぶつければ変化が起きる」と語ったセヴァン自身が母となり、メッセージに子供の世代への思いが強く感じられるものだった。
ひとつの時代の変化を強く意識し、とくにひとりひとりの責任と選択が問われる、と語った。(谷崎テトラ=オルタナ編集委員、地球サミット2012JAPAN) 2012年6月24日(日)10:19
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【リオ発・諏訪京】 国連環境会議出席者と市民の間に大きな溝
http://tanakaryusaku.jp/2012/06/0004543
2012年6月22日 09:14
「リオ+20」会場では各国首脳の挨拶がテレビ中継された。映像はイランのアフマディネジャド大統領。=リオ時間21日、写真:諏訪撮影=
「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が、ブラジルのリオデジャネイロで20日(現地時間)から始まった。
リオの中心地からバスで1時間程の所にある会場は、周囲に豊かな自然が広がる。世界各国の環境団体、学術経験者、政府関係者などが続々と詰めかけ、国際会議特有の熱気を醸し出している。
各国のVIPが出席することもあり、軍隊の警備は厳重だ。自動小銃を持つ兵士が、会場のあちこちに立ちニラミをきかせる。筆者は何とか会場内へ入った。
同地では1992年、地球温暖化対策などで各国が合意した「地球サミット」が開催された。それから20年、地球環境は改善されたのか。だが今回の会議には米国、ドイツ、英国など主要国の首脳らは出席していない。国のリーダーたちがすぐに行動を起こそうという雰囲気はあまり感じられない。
一方、同時に開催されているピープルズサミットでは、「リオ+20」に異を唱えるデモがピープルズサミット会場内や、街頭で度々行われていた。
「政府は進歩していると言うが、少しみれば、社会の環境は後退(悪化)している。国の開発計画に反対する」。トラメガを片手に行進していた若い女性(20代)は訴えた。
あるデモ隊が掲げているのは、『ブラジル初の女性大統領、ジルマ・ルセフ大統領がチェーンソーを担ぐ』絵柄だ。
ブラジルでは今、ベルモンテダム建設計画が関心を呼んでいる。ブラジル政府はアマゾン川の支流に世界第3位となる巨大なダムの建設を予定している。ブラジルの急速な経済発展に電力が必要というのが、政府と財界の見解だ。だが、「すでに進行しているアマゾンの環境破壊をさらに加速させる」と環境活動家は懸念する。
ダム建設予定地の河川沿いに暮らす先住民は、水没のため広範囲にわたって強制移住させられる。水量減少による川の環境悪化も考えられる。
先住民族はピープルズサミットに結集し、ダム建設反対の声をあげている。
「リオ+20」に反対するデモ。=リオ時間19日、ピープルズサミット会場。写真:諏訪撮影=
会場へは環境に配慮したバイオディーゼル大型バスがシャトル運航しているが、リオ市内はバスの排気ガスがひどい。会議参加者は、町の様子をみる暇もなく、ホテルと会場の往復だそうだ。
会議出席者と、会場に入れない市民との間には感覚の違いがあるのではないだろうか。
会議に参加している人に質問した。
「リオ+20への抗議デモが行われていたのを知っていますか?」
「あぁ、何となくきいたわ」とブラジル在住のイタリア人女性が答えた。
「イタリアは国民投票で脱原発を決めましたね?」
「私はそれが良かったのか悪かったのかは分からない。イタリアは、(隣国原発の)リスクを共有しているが、利益は共有していない。原発は安くてクリーンなエネルギーよ」
環境破壊の犠牲者となる住民と特権階級の国連会議出席者。同じブラジル在住者でも認識の違いは大きい。
開発の恩恵に与る者と犠牲になる者。両者の間の大きな溝は、世界規模で存在する。「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が溝を埋めるきっかけになることを願うばかりだ。
◇
諏訪記者は、当方が一部支援しただけで自費によりブラジルに行っております。
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グリーン経済は「人道に対する罪」、先住民らが「リオ+20」批判
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885632/9154671
2012年06月22日 13:23 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)に対抗して開かれている「ピープルズ・サミット(People's Summit)」に集まった先住民たち(2012年6月21日撮影)。(c)AFP/CHRISTOPHE SIMON【6月22日 AFP】
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)に対抗して開かれている「ピープルズ・サミット(People's Summit)」で21日、米大陸5か国の先住民族らが、リオ+20が提唱する「グリーン経済」は「人道に対する罪」だと批判する宣言を発表した。
世界中から約200の環境NGOや社会運動組織などが集まったピープルズ・サミットには、開催国ブラジルから20の先住民400人のほか、カナダ、米国、コロンビア、ニカラグアから計1200人の先住民が参加している。
先住民たちは「カリオカ2(Kari-Oca 2 )」と題する宣言の中で、グリーン経済は自然を「ドル化」し、共同体が持つ権利を剥奪する「人道に対する罪」だと糾弾した。
「持続可能な発達のためには、国家は先住民たちの伝統的な資源管理の方法を認めなくてはならない。地球の均衡を破壊し、季節を抹殺し、異常気象を引き起こし、命を私有化し、人間性の将来を脅かす誤った解決法を容認することはできない」
宣言はまた、「リオ+20」が提唱するグリーン経済について「自然の生命力を商品化することでしか自然を『救う』ことができないという考えを前提にしているが、それは先住民たちと母なる大地が520年にわたって抵抗してきた植民地主義の延長だと考える。私たち先住民の自己決定、自治、それに基づく開発、土地・居住地・資源に対してわれわれが持つ固有の権利などは、ますます各国政府と多国籍企業の連合による攻撃にさらされている」とも訴えている。(c)AFP
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リオ市内をパンの戦車が走行、武器撲滅訴える ブラジル
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885452/9144471
2012年06月21日 20:41 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で19日、車体一面にパンが貼り付けられた戦車が貧困地区サンタマルタ(Santa Marta)の通りを走行した。ドイツの芸術家、Holger Gussefeld氏の作品。武器市場に抗議する目的で、リオデジャネイロで20日に開幕する「国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)」にあわせて制作したという(2012年6月19日撮影)。(c)AFP/Christophe Simon
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リオ+20開幕、「グローバルマーチ」で「グリーン経済」を非難
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885341/9149890
2012年06月21日 16:19 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)の開催に合わせて行われたデモ行進「グローバル・マーチ(Global March)」の様子(2012年6月20日撮影)。(c)AFP/VANDERLEI ALMEIDA
【6月21日 AFP】 環境保護に取り組みつつ資源を浪費しない貧困根絶を目指し、「国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)」が20日、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開幕した。
世界各国が気候変動や砂漠化、種の絶滅への対策を誓った「地球サミット(Earth Summit)」から20年の節目に合わせて開催された同会議には、国連(UN)加盟191か国、各国首脳89人が参加する。
一方、リオ中心部では同日、リオ+20に対抗して大規模なデモ行進が実施された。
色鮮やかで平和的なデモには環境活動家のほか、民間・公的機関に勤める市民、黒人活動家、同性愛者、先住民族、フェミニストなどのグループなど、主催者発表で約5万人が参加。アマゾン(Amazon)熱帯雨林の破壊や先住民族の不当な扱い、リオ+20で提唱される「グリーン経済」への反対を口々に訴えた。(c)AFP/Gerard Aziakou
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リオ会議、15年に新開発目標 グリーン経済は失速
http://www.daily.co.jp/society/world/2012/06/23/0005157305.shtml
リオ+20の最終日、縮んでゆく地球や大企業を非難するコスチュームを身に着けた環境保護団体のメンバー=22日、リオデジャネイロ(AP=共同)
【リオデジャネイロ共同】ブラジルで開かれていた国連持続可能な開発会議(リオ+20)は最終日の22日、環境保全と貧困撲滅に向けた「持続可能な開発目標(SDGs)」を2015年までに策定するなどとした合意文書を採択し閉幕した。
再生可能エネルギー導入量や食料増産量など、具体的な数値目標の議論は先送りになった。環境と経済の両立を目指す「グリーン経済」の工程表づくりも検討されたが、先進国と発展途上国の対立で交渉は失速し、各国が自主的に取り組むとの合意にとどまった。
地球温暖化や生物多様性の損失が進む中、実効性に乏しい期待外れの結果となり、市民団体からは「会議は失敗だ」と批判の声が上がった。
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更新2012年06月21日 10:37米国東部時間
公海の環境保全、大幅後退 リオ会議、環境団体が批判
http://www.usfl.com/Daily/News/12/06/0621_033.asp
違法な漁業活動で生態系が脅かされている公海の生物多様性を保全するため、早期に国際交渉を始めるとの文言が、国連持続可能な開発会議(リオ+20)で採択される文書から交渉の最終局面で削除され、議論を2年以上先送りする表現に大きく後退していたことが21日、分かった。
交渉関係者によると、米国やロシアが「決定は時期尚早だ」などと強く反対し、日本やカナダ、ベネズエラが同調した。環境保護団体は「少数の国の反対で公海の環境保全に極めて重要な機会が失われた」と5カ国を名指しで批判した。
海の面積の3分の2以上を占める公海は、国の領海に属さず、漁業など自由な経済活動が認められている。一部の漁業対象種への規制などはあるが、国の主権が及ばないため規制を無視した違法操業が横行。乱獲でクロマグロなどが絶滅の危機に追い込まれているほか、深海にある貴重なサンゴや海底地形がトロール漁で破壊される被害が起きている。(共同)
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東京新聞【社説】リオ環境宣言 フクシマが教えている
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062402000104.html
2012年6月24日
これは、何だ、と言いたいような、国連持続可能な開発会議(リオ+20)の幕切れだった。十年後では遅すぎる。明日にでも首脳が集まって、仕切り直しをするべきだと、フクシマが教えている。
「何かを始めなければ前進できない」。ブラジルのルセフ大統領が、少しいらだたしげに力説した通りである。
世界百九十カ国・地域の代表が集まった。「われわれの望む未来」と題する宣言(合意文書)は採択された。だが実態は、議長国ブラジルが事前に用意した案文を、そのまま通しただけではないか。
具体的な施策や数値目標は、決められないまま先送りされただけに終わった。結局何も決められなかったのだ。
環境保護と経済成長を両立させる「グリーン経済」への移行は、「持続可能な開発のための重要な手段の一つ」と言葉を濁し、具体的な開発目標は、二〇一五年までに策定するとしただけだ。
私たちは、こんな未来を望んではいない。
持続可能な未来を築くと誓った前回のリオ・サミットから二十年。世界は足踏みどころか、後ずさりを始めてはいないだろうか。
会議自体が低調だった。米大統領は自らの選挙で忙しく、金融危機におびえる欧州連合(EU)は、環境どころではない様子。日本の首相は、ブラジル政府からの強い要請があったにもかかわらず、前回に続いて参加を見合わせた。その中で、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は「持続可能な開発は、人類にとって唯一の選択肢である」と言い切った。
フクシマを経験した私たちには、強くうなずける。
経済成長の坂道を上る途上国が「グリーン経済」に懐疑を抱くのは、両立の具体的な未来図を先進国が示しきれずにいるからだ。だから、資源、エネルギー浪費型の成長モデルに頼ってしまう。
日本政府はリオで、震災の貴重な体験を踏まえ、持ち前のリサイクル、省エネ技術を駆使した「災害に強く、人に優しい『環境未来都市』のモデルをつくる」と表明した。フクシマに報いるためにも、この試みを一歩進めて、破滅的な環境破壊を招く原発に依存しない、持続可能で豊かな未来社会のモデルを、日本から世界に示したい。そうすれば、環境の国際会議も再び前進できる。
私たちが望む未来は、持続可能な社会以外にないのだから。
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社説:リオプラス20 緑の経済へと進めよう
http://mainichi.jp/opinion/news/20120624k0000m070076000c.html
毎日新聞 2012年06月24日 02時33分
ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた国連持続可能な開発会議(リオプラス20)が閉幕した。
今後10年の経済・社会・環境のあり方を議論しようと、世界191カ国・地域から約4万5400人が参加した史上最大の国連会議だったが、先進国と途上国との妥協の末に採択された成果文書「我々が望む未来」は具体的な目標や施策に欠け、かけがえのない地球を将来の世代に伝える明確な道筋は描けなかった。
会議の最大のテーマは、環境を保全しながら豊かさを実現するグリーン(緑の)経済への移行だった。
先進国側はグリーン経済の推進を掲げ、途上国も一定の責任を負うべきだと主張したが、途上国側は開発の邪魔になるなどと反発。結局、グリーン経済の重要性は文書に盛り込まれたが、実行は各国の判断に任された。地球環境保全などに向けた新たな数値目標の策定も合意されたが、項目の具体化は先送りされた。
ちょうど20年前、同じリオで開かれた「地球サミット」では、環境保全や貧困解消を掲げる行動計画「アジェンダ21」が採択され、気候変動枠組み条約と生物多様性条約の署名開始という成果をあげた。東西冷戦の終結で、地球環境問題が世界共通の課題と認識されたのだ。
20年後のリオでは、先進国の経済状況の悪化が影を落とした。新たな資金援助を求める途上国に先進国は応じることができず、オバマ米大統領や英独両国の首相、日本の野田佳彦首相らは出席すらしなかった。
だが、経済活動に伴う生物資源の利用や温室効果ガスの排出は地球の許容量を超える。一方で世界人口は70億人を超え、貧富の差は拡大した。だからこそグリーン経済への移行が必要だ。国連環境計画は世界の国内総生産(GDP)の2%を毎年、再生可能エネルギーや省エネなどに上手に投資すれば、世界経済はグリーンに移行でき、雇用創出や途上国の貧困対策につながると分析する。
玄葉光一郎外相は環境・防災分野で今後3年間に計60億ドル(約4800億円)の政府開発援助(ODA)を拠出すると表明したが、東日本大震災と福島第1原発事故で自然の猛威とエネルギー多消費型社会の危うさを知った日本は、グリーン経済への移行で世界の先導役となるべきだ。成功例を積み上げることで、途上国の理解にもつなげたい。
中国やインド、ブラジルなど新興国が経済発展を遂げ、南北の構図も変わった。各国は、地球環境の保全と途上国の発展の両立を目指す新たな枠組みも探ってほしい。温暖化でも生態系の破壊でも、その影響は国境を越え、一つしかない地球という惑星に降りかかってくるのだから。
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特集社説2012年06月23日(土)
リオ+20 これでは地球環境を守れない
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201206230833.html
先進国と途上国の隔たりが埋まらないまま、地球環境保全の指針は骨抜きにされた。
環境保全と経済成長を両立させる「グリーン経済」実現を目指した「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)。ブラジルに各国首脳が集い、地球環境問題を議論したが、保全の具体的な目標値や行程表の合意は見送られた。
成果文書では、化石燃料への補助金廃止など「適切な措置」を勧告。途上国支援資金について交渉する場の検討も盛り込んだ。しかし厳密なルールづくりに失敗し、決意表明にとどまった印象だ。政策の選択肢という位置づけに実効性はあるまい。
文書は「われわれの望む未来」と題されたが、とても未来を託せる内容ではない。参加国の環境意識の低さがあらためて浮き彫りになった格好だ。各国は、それが環境に対する背任行為であることを自覚しなければならない。
リオ+20は、1992年の地球サミットから20年を契機に、地球環境悪化に歯止めをかけようとブラジルの呼びかけで開催。気候変動枠組み条約や生物多様性条約により実効性を持たせるため、各国が具体的な努力目標を設定するために開催された。
しかし準備会の段階から、資金の負担割合などをめぐって各国間で思惑が交錯。当初は盛り込まれていた具体的な目標値などは削除され、抽象的な努力目標となった。
会議を骨抜きにした大きな要因として、先進国のエゴを指摘せざるをえない。
地球環境を悪化させたのが先進国の開発と破壊にあったことは明白だ。それが急激な気候変動を招き、多様性を奪い富を偏向させてきたのだ。その結果、地球上のエネルギーの8割を2割にすぎない先進国が消費している。
途上国が、生活の向上を目的に、経済の発展を目指すのは当然の権利だ。その過程で可能な限り環境に負荷をかけないよう、先進国は技術と資金を提供する義務がある。
日本は環境・低炭素技術導入や防災などで計90億ドルの政府開発援助(ODA)拠出を表明した。ただ、公海の漁業資源管理など多様性の維持については、米国などとともに慎重な姿勢を示した。これでは先進国の都合優先と指摘されても仕方あるまい。
今年は国連ストックホルム会議で「人間環境宣言」が採択されてから40年。この間、人類は地球環境の悪化や資源消費の偏向を認識しながらも経済優先の姿勢を崩さなかった。このままだと「持続不可能」なのは明白だ。
地球上の資源は子孫からの借り物だ。将来の世代に引き継がねばならない。環境保全への取り組みが最重要課題であると認識しなければ「われわれの望む未来」はない。
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リオ+20が閉幕 「壮大な失敗」との批判も
2012.06.24 Sun posted at: 12:16 JST
http://www.cnn.co.jp/world/30007093.html
スモッグに包まれる空。リオ+20では環境と経済成長の両立を目指す宣言が採択された
(CNN) 世界各国の首脳らが地球環境や経済発展の問題を話し合う「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)が20~22日、ブラジル・リオデジャネイロで開催された。同会議は環境と経済成長の両立を目指す宣言を採択して閉幕したが、環境団体からは「壮大な失敗」と批判する声が上がっている。
リオ+20は、1992年に同市で開催された地球サミットから20周年の機会に合わせて開催され、各国首脳約100人を含む約4万人が出席した。ただ、オバマ米大統領やメルケル独首相ら、主要国首脳の欠席も目立った。
会議は22日、「我々が望む未来」と題した53ページに及ぶ宣言を採択して閉幕。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は「リオ+20は根本原則を確認し、新たな方向を指し示した」と評価する声明を出した。
しかし、国際環境保護団体グリーンピースのクミ・ナイドゥ事務局長は、「会議は始まる前から終わっていた」「提案された約束や目標はひとつずつ削られていった」と手厳しく批判。「リオ+20は壮大な失敗に終わった」「唯一の収穫は、もっともな怒りの感情だ。その怒りを行動に移さなければ」と述べた。
貧困問題に取り組む国際団体オックスファムのバーバラ・ストッキング事務局長も「リオはいんちきサミットとして歴史に残る」と断じた。
これに対してオーストラリアのギラード首相は「不満は分かるが、持続可能な開発という目標で合意できたことは前進だと思う」と述べた。
国連によると、会議ではエネルギー、食糧安全保障、飲料水確保、海洋保全などの分野で各国から総額約5130億ドルの拠出表明があった。1億本の植樹計画やグリーン経済事業によるアフリカ貧困女性の救済、年間80万トンのポリ塩化ビニル(PVC)リサイクルなどでも合意した。
また、潘事務総長が飢餓撲滅を目指す「ゼロ・ハンガー・チャレンジ」を発表し、オックスファムはこれを評価する声明を出した。
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リオ+20:途上国、環境より成長…グリーン経済に不信
http://mainichi.jp/select/news/20120622k0000m010082000c.html
毎日新聞 2012年06月21日 22時49分(最終更新 06月21日 23時46分)
事前交渉中、口にガムテープを貼り、「(意見を言えない)未来の世代の声を聞いて」と訴える若者たち=リオデジャネイロで2012年6月17日、比嘉洋撮影
ブラジル・リオデジャネイロで開幕した「国連持続可能な開発会議(リオプラス20)」は、地球環境保全と経済成長に向けた新しい道を探るため、国連史上最大規模の約130カ国の首脳ら5万人が集結した。しかし、最終日の22日(日本時間23日)に採択される成果文書案は、先進国と途上国の対立が解消されず、具体的な目標や施策に欠ける内容となっている。92年の「国連環境開発会議(地球サミット)」以降、環境問題や貧困が深刻化しているにもかかわらず、国際社会の一致点は見えない。【藤野基文、リオデジャネイロ比嘉洋】
成果文書案「我々が望む未来」では、環境保全と経済成長を両立させる「グリーン経済」への移行は各国の自主的な取り組みにゆだねられた。
グリーン経済とは、化石燃料から太陽光などの再生可能エネルギーへ転換し、生態系を守りながら農業を営むなど新しい経済の在り方だ。玄葉光一郎外相は文書案について「次につながるステップになる」と評価したが、オランド仏大統領は「我々の責任や期待を満たしていない」と演説で不満を表明した。
具体的な施策や目標が先送りされた背景には、貧困解消のため経済成長を優先する途上国の事情がある。グリーン経済への移行そのものが、開発の邪魔になると捉えられた。
高い成長率を維持したい新興国も、途上国に同調する立場を取った。中国の温家宝首相は「中国は途上国だ。より発展すれば、より世界に貢献できるようになる」と演説し、さらなる開発の必要性を強調した。途上国は移行の条件として新たな資金援助と、再生エネや省エネの技術移転の確約が不可欠と訴えたが、先進国が金融危機や財政難、グローバル競争の激化を背景に応じなかったことも、合意を難しくした。
92年の地球サミットでは、世界各国の首脳が地球温暖化対策の国際的な枠組みなどに初めて合意。「持続可能な開発」の模索を決めた。しかし、今も国際社会が掲げた目標はほとんど達成できていない。リオプラス20は、こうした状況の転換が目的だった。松下和夫・京都大教授(地球環境政策論)は、成果文書案について「地球サミット以降に策定された合意を再確認する項目が目立ち、『我々が過去に合意した未来』と言った方がいい」と皮肉る。
ブラジル環境長官として地球サミットを準備したジョゼ・ゴールデンベルク氏は「機が熟しておらず、途上国も新興国もグリーン経済で成長できる確証を持っていない。先進国を中心に成功例を積み上げ、利点を示していかなければならない」と指摘する。
◇気温も水位も上昇続く
「世界の食糧生産は70億人の需要を上回るのに、4分の1は1日2ドル以下で生活し、飢えに苦しんでいる。不平等こそが貧困の原因だ。会議は不平等との闘いを最優先にすべきだ」。ニジェールのイスフ大統領は20日の開幕日に演説し、各国に訴えた。
世界の人口は途上国を中心に増え、1992年の55億人から27%増加して2011年には70億人を超えた。経済は拡大し、10年の世界の国内総生産(GDP)は92年比75%増の63兆ドルに成長。食糧生産量は45%増えたが、貧富の差は埋まらず、不衛生なスラムに住む人々は10年に90年比26%増の8億2700万人に上る。
エネルギー供給の8割は枯渇が懸念される化石燃料に頼っている。先進国だけでなく、新興国で化石燃料の大量消費が進み、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量は08年に92年比36%増の300億トンとなった。世界の平均気温は92年から10年までに0.4度上昇。氷河が解けることなどで、世界の平均海面水位は、93年から03年まで毎年平均3.1ミリ上昇した。
しかし、CO2などの温室効果ガス削減の新枠組み交渉は行き詰まっている。モルディブのハッサン大統領は、「地球気候変動で砂浜が浸食され、魚が減っている。地球環境保全は島国だけで対処するのは難しい。国際社会の協力が必要だ」と強調し、早急な行動が必要と各国に呼びかけた。
* * *
17歳少女に拍手「私たちは危機に瀕している」
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20120621-OYT1T00936.htm
リオ+20の開幕式で演説するトリフォードさん=ロイター
若い世代に語りかけるスズキさん=井上陽子撮影
【リオデジャネイロ=井上陽子】ブラジル・リオデジャネイロで20日始まった国連持続可能な開発会議(リオ+20)の開幕式で、ニュージーランドの高校生、ブリタニー・トリフォードさん(17)が各国首脳らを前に演説した。
「私たちの将来は危機に瀕(ひん)している。ここに何のために来たのか、問いかけてほしい」と訴え、会場から大きな拍手を浴びた。
同じリオで20年前に開かれた地球サミットでは、12歳の少女が「どうやって直すかわからないものを壊さないで」と、地球環境保全を訴えて感動を巻き起こした。トリフォードさんはそのスピーチのビデオをお手本に演説の練習をしてきた。
会場には、2児の母になったあの時の少女、日系カナダ人のセバン・スズキさん(32)も、民間団体の代表として姿を見せた。米エール大で生物学を学び、国連の地球憲章委員会委員なども務めた。カナダの先住民の夫と結婚し、小さな島で暮らしている。
「この20年、多くの会議にも出てわかったことは、政治だけでは環境は変えられないということ。私たち自身が声を上げ、行動しなくてはいけない」。スズキさんの声は、力強さを増していた。(2012年6月21日16時19分 読売新聞)
* * *
リオ+20、不満と希望が交錯
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120622001&expand
公式日程は20~22日の3日間だが、リオデジャネイロ周辺では1カ月前から3000以上の関連イベントが開催されており、参加者は5万人を超えているという。先住民族の会合、抗議集会、美術展やテーマを掲げたビーチパーティのほか、自然の搾取に反対するフェミニストのデモも行われている。
2年越しの事前協議は開幕前日の19日に終了し、「The Future We Want(私たちの望む未来)」と題した49ページの合意文書案がまとめられた。持続可能な開発のロードマップを示す同文書は、会議に出席した各国指導者が最終日の22日に採択する予定である。 ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は開幕スピーチで、「従来の開発モデルは既に役目を終えた。現代の課題に対応できなくなっている」と語った。
第1回地球サミット(1992年、リオデジャネイロ)以降の同国の取り組みについても詳しく説明している。国内消費エネルギーの45%を再生可能エネルギー(主に水力発電)に転換し、温室効果ガス排出量の削減目標も独自に設定。また、アマゾンの広大な土地を保護区域に指定している。並行して1800万件の雇用を創出し、農業生産性は180%アップしたという。
ルセフ大統領は持続可能な開発について、「気候変動に対する最も現実的な対策」と表現し、次のようにコメントしている。「必要な対策を講じるより、何もしない方が結果としてコストが高くなる。積極的な行動が重要だ。1992年の合意内容からの後退は、絶対に避けなければならない」。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も会議に出席。スピーチでは、「持続可能な開発については20年前の地球サミットでも議論したが、いまだに十分な取り組みが実施されていない」と語っている。「経済や社会の従来の発展モデルは既に破綻している。経済成長と持続可能な開発のバランスをとる新しいモデルが必要だ」。
◆ロードマップの策定
リオ+20の合意文書案は、未来の世代のために環境を保全しながら、貧しい地域にも経済発展の機会を広げる必要があると概説する内容だ。温室効果ガスの排出削減を呼びかけるでもなく、持続可能な開発の具体的な目標も設定していない。2015年までに達成すべき「ミレニアム開発目標」の跡を継ぐ、新しい目標の設定も期待されたが、肩すかしを食らったかたちだ。“環境に優しい経済”への移行を推進する300億ドル(約2兆4000億円)規模の基金創設も検討されたが、最終案では却下された。
会議には環境保護活動家も多く参加したが、意義ある進展につながらない不十分な内容と一様に批判している。グリーンピース・インターナショナルの事務局長クミ・ナイドゥ氏は、「リオ+20は各国の思惑に翻弄されてしまった。これで環境保護と経済成長の両立などできるわけがない」と声明を発表した。
世界自然保護基金(WWF)も「あらゆる点で不十分」と評価し、「このままでは時間の浪費に終わる」と警鐘を鳴らしている。
6月20日には、フランスの新大統領フランソワ・オランド氏が登壇し、資金調達目標が設定されていない計画に遺憾の意を表明した。
記者会見に出席したブラジルのアントニオ・デ・アギアール・パトリオッタ外務大臣は、政府も最終案に失望しているか質問され、次のように答えている。「誰もが一様に不満を感じているとしたら、それは妥協の結果だからだ。しかし、開幕の数日前には30%しか合意できていなかった事実を考えれば、これでも上出来だと思う」。
◆成果もある
ブラジル人環境活動家のタッソ・レゼンデ・デ・アゼベド(Tasso Rezende de Azevedo)氏は、厳格な目標設定のない合意文書に不満を持ちながらも、「重大な問題ではない」と語る。会場付近のイベントやオンラインで活発に意見交換できたことから、「リオ+20は大成功」と評価している。
アメリカ、ジョージ・メイソン大学の教授で熱帯生態学者のトーマス・ラブジョイ(Thomas Lovejoy)氏も、関連イベントに希望を感じたという。「民間部門の方が真剣に取り組んでいた。国際開発金融機関の米州開発銀行などは、生物多様性の維持に関する新たな構想を持っている。環境に優しい経済をテーマとするさまざまな集会があり、意見交換が活発に行われていた」とリオ+20のプラス面も報告している。
Photograph by Victor R. Caivano, AP
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日経ビジネス オンライン
現地レポート「fromリオ」
リオ+20成果文書に基本合意、グリーンエコノミーは曖昧さ残す
藤田香特派員が見た「リオ+20」その2
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120621/233647/
2012年6月22日 金曜日
日経エコロジー
持続可能な開発目標の作成に合意
6月20日、191の国と地域が参加する国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開幕し、世界の首相や大統領が持続可能な世界を作るための声明を読み上げた。
リオ+20開会式に参加する藩基文国連事務総長(右)とブラジルのルセフ大統領
本会合を前に合意が危ぶまれていたリオ+20の成果文書は、本会合直前にブラジル政府が再度提出した議長提案を基に各国交渉官で意見を出し合い、基本的な合意を見るに至った。議論が紛糾する中、開催国のブラジル政府が合意を強引に取り付けた形だ。
成果文書は6章構成で約280項目から成る。1、2章はこれまでの行動の再確認、3章はグリーンエコノミー、4章は新しい制度的枠組み、5章はテーマ別行動、6章は実施手段についてだ。
交渉の全体像を追ってきたNGO「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝氏にその評価を聞いた。まず、最大の争点だったグリーンエコノミー。環境対策は行うが、資金を出すのは先進国であることを意味する「共通だが差異ある責任」という文言は外され、先進国の主張が通った形だ。ただし、具体的な内容を盛り込まないまま、ある意味「骨抜きの状態」で合意に至ったという。
グリーンエコノミーがどのような経済であるかは定義せず、「持続可能な開発を進めるためのツール」とし、その実現方法は各国に任せるとした。また、EU(欧州連合)が主張してきた、持続可能な調達のイニシアティブ作りや、環境・社会コストを内部化する経済の在り方についても記述されることはなく、曖昧な内容のままに終わった。「調達の方法や、環境・社会コストの内部化はもっと議論すべきだった」と田辺氏は残念がる。
もう1つの争点だった「持続可能な開発目標(SDGs)」については、SDGsを作成すること、ポストMDGs(ミレニアム開発目標)と統合的に作ることが合意された。作り方の具体的なプロセスも明記された。全体で30人から成るメンバーを各地域から選出し、交渉によって決め、第68回国連総会までに報告するというものだ。ただし、具体的なSDGsのテーマについては水、食料、エネルギー、海洋など具体的なものや数字目標を成果文書に盛り込むことはなかった。
SDGsの記述箇所からも、「共通だが差異ある責任」という文言は外された。ちなみに、「共通だが差異ある責任」は成果文書の総論部分には入っている。
企業のレポートティングの枠組み作りに含み
このほかの争点としては、サステナブル・レポーティングがある。EUは強制力のあるレポーティングを求め、そのための新たな枠組み作りを求めていた。しかし、米国やカナダは企業にレポ―ティングの義務が生じることを懸念し、反対。途上国も反対していた。成果文書では、新たな枠組みを立ち上げる記述はなくなったが、産業界が国連や政府と協調しながら好事例集作りをすることを奨励すると盛り込まれた。「今後の枠組み作りに含みを持たせた形になっている」と田辺氏は言う。
成果文書の基本合意をみて喜ぶ交渉官たち。中央はブラジルの外務大臣
海洋については、公海における海洋生態系の保護のため、国連海洋法条約の下で国際交渉を始めるかを巡って、賛成のEU、反対の日米で綱引きが続いていた。成果文書では、新しい国際交渉を開始するという文言ではないものの、国際的措置を含めて対処するという文言が入り、新しい枠組み作りの可能性が残った。「海洋は議長国ブラジルが成果の1つにしたかったポイント。いずれ議定書の形になるのでないか」と田辺氏は見る。
エネルギー関係で注目されたのは、化石燃料の補助金だ。補助金のせいで国民に化石燃料を安価に提供できている現状が問題視し、補助金の撤廃を記述するかどうかで議論が分かれていた。G20では既に補助金の撤廃は決議している。これを国連の場にも広げられるかが注目されていた。今回の成果文書では明確な撤廃という表現ではなく、「G20以外の国々にも呼び掛ける」という弱い表現にとどまった。
藩基文国連事務総長が昨年声明を出した「万人のための持続可能なエネルギー」は、もともとリオ+20とSDGsを見据えて発言したもので、成果文書でも踏み込んだ記述がなされるか注目されたが、この声明に「留意する」という表現にとどまり、弱い印象を残した。
評価はバラバラ、企業のイニシアティブに期待
成果文書に対して評価は分かれている。リオ+20のテーマである「The Future We Want(私たちが望む未来)」をもじって、NGOグループからは「The Future We Don’t Want(こんな未来、私たちはほしくない)」と声明を出した。新規制がなく、妥協の産物であることを批判したものだ。
踏み込めなかったことを仕方ないとみる向きもある。1992年の地球サミットや2002年のヨハネルブルグ・サミットとは時代が異なり、すでに気候変動枠組み条約や生物多様性条約など既存の環境条約のCOP(条約締約国会議)で個別課題の議論が進んでいる。時期的にも中途半端だ。気候変動については次期枠組みがまだ決まっていない。ヨハネルブルグ・サミットで採択したことの実施状況のレビューは2015年の前にすることが決まっており、リオ+20はそのレビューが出る前に開催されている点も不幸だった。
一方で、国の利害関係が交錯する中で合意に至ったことを評価する声もある。また、リオ+20では企業に関係するサイドイベントが数多く開催され、新しいイニシアティブが立ち上がった。持続可能な証券取引所イニシアティブ、責任ある保険原則、自然資本宣言などだ。こうした民間の動きが新しい流れを作ろうとしている。
日本政府代表団である外務省地球環境課の杉中淳課長は、「グリーンエコノミーについて国連文書の中に位置づけられ、そうした経済の促進について明記されたのは評価できる」と話す。日本が打ち出した防災の町づくりや、幸福度など具体的な明記はないもののGDPを超える評価指標についても盛り込まれたことを評価するという。
成果文書は具体的なテーマや数字に落とし込んで未来像を示すことはできなかったものの、交渉過程を通して、これからの世界が何を必要とし、企業に求められるものは何かを提示してくれたと言えるだろう。
(リオ特派員・藤田香=日経BP環境経営フォーラム生物多様性プロデューサー)
このコラムについて
現地レポート「fromリオ」
2012年6月20~22日にブラジルのリオデジャネイロで開催される「持続可能な開発に関する国連会議(リオ+20)」。今から20年前に同じリオで開かれた「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」で、気候変動枠組み条約と生物多様性条約がまとまり、環境対策を進めるための国際的な枠組みが定まった。それから20年、先進国と途上国の対立が浮き彫りになり、国際枠組みの有効性にまで疑問の声が上がっている。リオ+20は新たな成果を上げられるのか。リオ特派員が現地から報告する。
グリーン経済への移行は必要だと思うけれど、
持続可能性(サステナブル)を考える時には、
適正な手段だけでなく、適正な量、適正な対象というモノサシも必要なのに、
今は「手段」ばかりに目が向けられているという印象を持ってます。
そして、新興国・途上国がグリーン経済に反対していますが、
そこに、先進国との格差を埋めていく「公正さ」も必要なのだと思います。
20年前から、「我々には同じ過ちを繰り返す時間はない」と言われながら、
国レベルでは、過ちを正すことができていない。
だけど、私たちの生活レベルでは、どんどん変わっていってる!
世界中から「持続可能なライフスタイル」をテーマに寄せられた、
たくさんの写真を見てほしいです。
http://www.uncsd2012.org/pictures.html
世界のエライ人たちが何を決めようと、何を決められなかろうと、
気付いた人から暮らし方、コミュニティのあり方を変えていく動きがとっても大事で、
それが、世界の変化へとつながっていくんだと思ってます☆
これ以下は、すべてサミット関連記事を転載・リンクさせていただきます<(_ _)>
初めに市民系メディア、続いて一般メディアです。
「私たちは変わる必要がある」--リオ+20でセヴァン・スズキが20年目のスピーチ
http://www.alterna.co.jp/9311
10年ぶり3回目の「地球サミット」(リオ+20)が開催された。本会議が終了し、いま現地ではNGOのデモンストレーションや声明が発表されている。
SDGs(持続可能開発目標)など新たな合意もうまれたが、具体性にかけるという批判も多い。
そんななか、20年前の地球サミットで伝説のスピーチをしたカナダのセバン・スズキがふたたびリオに登場しスピーチをおこなった。
1992年に12才の少女だった彼女は結婚して二児の母。今回、地球サミットのシンボルとしていくつかのサイドイベントに登場。20年の変化を語った。少し言葉を引いてみよう。
--私は92年にひとりの子供として、未来のために声をあげました。あれから20年たちました。今は私は、私たちの子供の未来について声をあげます。
--自然のバランスがティッピングポイントをむかえています。いま私たちは変革の時にいます。 事実を知った科学者として私たちは変わる必要があります。
--私たちが最後のソリューションなのです。いま私のなかに新たな希望が生まれてきています。それは子どもたちへの愛です。
--なぜなら子どもたちは原因と結果のつながりをもたらす存在。彼らのために確かな未来の可能性を残す必要があります。世代を超える力、それは愛です。
20年前には「国連や政府に怒りをぶつければ変化が起きる」と語ったセヴァン自身が母となり、メッセージに子供の世代への思いが強く感じられるものだった。
ひとつの時代の変化を強く意識し、とくにひとりひとりの責任と選択が問われる、と語った。(谷崎テトラ=オルタナ編集委員、地球サミット2012JAPAN) 2012年6月24日(日)10:19
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【リオ発・諏訪京】 国連環境会議出席者と市民の間に大きな溝
http://tanakaryusaku.jp/2012/06/0004543
2012年6月22日 09:14
「リオ+20」会場では各国首脳の挨拶がテレビ中継された。映像はイランのアフマディネジャド大統領。=リオ時間21日、写真:諏訪撮影=
「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が、ブラジルのリオデジャネイロで20日(現地時間)から始まった。
リオの中心地からバスで1時間程の所にある会場は、周囲に豊かな自然が広がる。世界各国の環境団体、学術経験者、政府関係者などが続々と詰めかけ、国際会議特有の熱気を醸し出している。
各国のVIPが出席することもあり、軍隊の警備は厳重だ。自動小銃を持つ兵士が、会場のあちこちに立ちニラミをきかせる。筆者は何とか会場内へ入った。
同地では1992年、地球温暖化対策などで各国が合意した「地球サミット」が開催された。それから20年、地球環境は改善されたのか。だが今回の会議には米国、ドイツ、英国など主要国の首脳らは出席していない。国のリーダーたちがすぐに行動を起こそうという雰囲気はあまり感じられない。
一方、同時に開催されているピープルズサミットでは、「リオ+20」に異を唱えるデモがピープルズサミット会場内や、街頭で度々行われていた。
「政府は進歩していると言うが、少しみれば、社会の環境は後退(悪化)している。国の開発計画に反対する」。トラメガを片手に行進していた若い女性(20代)は訴えた。
あるデモ隊が掲げているのは、『ブラジル初の女性大統領、ジルマ・ルセフ大統領がチェーンソーを担ぐ』絵柄だ。
ブラジルでは今、ベルモンテダム建設計画が関心を呼んでいる。ブラジル政府はアマゾン川の支流に世界第3位となる巨大なダムの建設を予定している。ブラジルの急速な経済発展に電力が必要というのが、政府と財界の見解だ。だが、「すでに進行しているアマゾンの環境破壊をさらに加速させる」と環境活動家は懸念する。
ダム建設予定地の河川沿いに暮らす先住民は、水没のため広範囲にわたって強制移住させられる。水量減少による川の環境悪化も考えられる。
先住民族はピープルズサミットに結集し、ダム建設反対の声をあげている。
「リオ+20」に反対するデモ。=リオ時間19日、ピープルズサミット会場。写真:諏訪撮影=
会場へは環境に配慮したバイオディーゼル大型バスがシャトル運航しているが、リオ市内はバスの排気ガスがひどい。会議参加者は、町の様子をみる暇もなく、ホテルと会場の往復だそうだ。
会議出席者と、会場に入れない市民との間には感覚の違いがあるのではないだろうか。
会議に参加している人に質問した。
「リオ+20への抗議デモが行われていたのを知っていますか?」
「あぁ、何となくきいたわ」とブラジル在住のイタリア人女性が答えた。
「イタリアは国民投票で脱原発を決めましたね?」
「私はそれが良かったのか悪かったのかは分からない。イタリアは、(隣国原発の)リスクを共有しているが、利益は共有していない。原発は安くてクリーンなエネルギーよ」
環境破壊の犠牲者となる住民と特権階級の国連会議出席者。同じブラジル在住者でも認識の違いは大きい。
開発の恩恵に与る者と犠牲になる者。両者の間の大きな溝は、世界規模で存在する。「国連持続可能な開発会議“リオ+20”」が溝を埋めるきっかけになることを願うばかりだ。
◇
諏訪記者は、当方が一部支援しただけで自費によりブラジルに行っております。
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グリーン経済は「人道に対する罪」、先住民らが「リオ+20」批判
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885632/9154671
2012年06月22日 13:23 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)に対抗して開かれている「ピープルズ・サミット(People's Summit)」に集まった先住民たち(2012年6月21日撮影)。(c)AFP/CHRISTOPHE SIMON【6月22日 AFP】
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)に対抗して開かれている「ピープルズ・サミット(People's Summit)」で21日、米大陸5か国の先住民族らが、リオ+20が提唱する「グリーン経済」は「人道に対する罪」だと批判する宣言を発表した。
世界中から約200の環境NGOや社会運動組織などが集まったピープルズ・サミットには、開催国ブラジルから20の先住民400人のほか、カナダ、米国、コロンビア、ニカラグアから計1200人の先住民が参加している。
先住民たちは「カリオカ2(Kari-Oca 2 )」と題する宣言の中で、グリーン経済は自然を「ドル化」し、共同体が持つ権利を剥奪する「人道に対する罪」だと糾弾した。
「持続可能な発達のためには、国家は先住民たちの伝統的な資源管理の方法を認めなくてはならない。地球の均衡を破壊し、季節を抹殺し、異常気象を引き起こし、命を私有化し、人間性の将来を脅かす誤った解決法を容認することはできない」
宣言はまた、「リオ+20」が提唱するグリーン経済について「自然の生命力を商品化することでしか自然を『救う』ことができないという考えを前提にしているが、それは先住民たちと母なる大地が520年にわたって抵抗してきた植民地主義の延長だと考える。私たち先住民の自己決定、自治、それに基づく開発、土地・居住地・資源に対してわれわれが持つ固有の権利などは、ますます各国政府と多国籍企業の連合による攻撃にさらされている」とも訴えている。(c)AFP
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リオ市内をパンの戦車が走行、武器撲滅訴える ブラジル
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885452/9144471
2012年06月21日 20:41 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で19日、車体一面にパンが貼り付けられた戦車が貧困地区サンタマルタ(Santa Marta)の通りを走行した。ドイツの芸術家、Holger Gussefeld氏の作品。武器市場に抗議する目的で、リオデジャネイロで20日に開幕する「国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)」にあわせて制作したという(2012年6月19日撮影)。(c)AFP/Christophe Simon
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リオ+20開幕、「グローバルマーチ」で「グリーン経済」を非難
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2885341/9149890
2012年06月21日 16:19 発信地:リオデジャネイロ/ブラジル
ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)の開催に合わせて行われたデモ行進「グローバル・マーチ(Global March)」の様子(2012年6月20日撮影)。(c)AFP/VANDERLEI ALMEIDA
【6月21日 AFP】 環境保護に取り組みつつ資源を浪費しない貧困根絶を目指し、「国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)」が20日、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開幕した。
世界各国が気候変動や砂漠化、種の絶滅への対策を誓った「地球サミット(Earth Summit)」から20年の節目に合わせて開催された同会議には、国連(UN)加盟191か国、各国首脳89人が参加する。
一方、リオ中心部では同日、リオ+20に対抗して大規模なデモ行進が実施された。
色鮮やかで平和的なデモには環境活動家のほか、民間・公的機関に勤める市民、黒人活動家、同性愛者、先住民族、フェミニストなどのグループなど、主催者発表で約5万人が参加。アマゾン(Amazon)熱帯雨林の破壊や先住民族の不当な扱い、リオ+20で提唱される「グリーン経済」への反対を口々に訴えた。(c)AFP/Gerard Aziakou
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リオ会議、15年に新開発目標 グリーン経済は失速
http://www.daily.co.jp/society/world/2012/06/23/0005157305.shtml
リオ+20の最終日、縮んでゆく地球や大企業を非難するコスチュームを身に着けた環境保護団体のメンバー=22日、リオデジャネイロ(AP=共同)
【リオデジャネイロ共同】ブラジルで開かれていた国連持続可能な開発会議(リオ+20)は最終日の22日、環境保全と貧困撲滅に向けた「持続可能な開発目標(SDGs)」を2015年までに策定するなどとした合意文書を採択し閉幕した。
再生可能エネルギー導入量や食料増産量など、具体的な数値目標の議論は先送りになった。環境と経済の両立を目指す「グリーン経済」の工程表づくりも検討されたが、先進国と発展途上国の対立で交渉は失速し、各国が自主的に取り組むとの合意にとどまった。
地球温暖化や生物多様性の損失が進む中、実効性に乏しい期待外れの結果となり、市民団体からは「会議は失敗だ」と批判の声が上がった。
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更新2012年06月21日 10:37米国東部時間
公海の環境保全、大幅後退 リオ会議、環境団体が批判
http://www.usfl.com/Daily/News/12/06/0621_033.asp
違法な漁業活動で生態系が脅かされている公海の生物多様性を保全するため、早期に国際交渉を始めるとの文言が、国連持続可能な開発会議(リオ+20)で採択される文書から交渉の最終局面で削除され、議論を2年以上先送りする表現に大きく後退していたことが21日、分かった。
交渉関係者によると、米国やロシアが「決定は時期尚早だ」などと強く反対し、日本やカナダ、ベネズエラが同調した。環境保護団体は「少数の国の反対で公海の環境保全に極めて重要な機会が失われた」と5カ国を名指しで批判した。
海の面積の3分の2以上を占める公海は、国の領海に属さず、漁業など自由な経済活動が認められている。一部の漁業対象種への規制などはあるが、国の主権が及ばないため規制を無視した違法操業が横行。乱獲でクロマグロなどが絶滅の危機に追い込まれているほか、深海にある貴重なサンゴや海底地形がトロール漁で破壊される被害が起きている。(共同)
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東京新聞【社説】リオ環境宣言 フクシマが教えている
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062402000104.html
2012年6月24日
これは、何だ、と言いたいような、国連持続可能な開発会議(リオ+20)の幕切れだった。十年後では遅すぎる。明日にでも首脳が集まって、仕切り直しをするべきだと、フクシマが教えている。
「何かを始めなければ前進できない」。ブラジルのルセフ大統領が、少しいらだたしげに力説した通りである。
世界百九十カ国・地域の代表が集まった。「われわれの望む未来」と題する宣言(合意文書)は採択された。だが実態は、議長国ブラジルが事前に用意した案文を、そのまま通しただけではないか。
具体的な施策や数値目標は、決められないまま先送りされただけに終わった。結局何も決められなかったのだ。
環境保護と経済成長を両立させる「グリーン経済」への移行は、「持続可能な開発のための重要な手段の一つ」と言葉を濁し、具体的な開発目標は、二〇一五年までに策定するとしただけだ。
私たちは、こんな未来を望んではいない。
持続可能な未来を築くと誓った前回のリオ・サミットから二十年。世界は足踏みどころか、後ずさりを始めてはいないだろうか。
会議自体が低調だった。米大統領は自らの選挙で忙しく、金融危機におびえる欧州連合(EU)は、環境どころではない様子。日本の首相は、ブラジル政府からの強い要請があったにもかかわらず、前回に続いて参加を見合わせた。その中で、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は「持続可能な開発は、人類にとって唯一の選択肢である」と言い切った。
フクシマを経験した私たちには、強くうなずける。
経済成長の坂道を上る途上国が「グリーン経済」に懐疑を抱くのは、両立の具体的な未来図を先進国が示しきれずにいるからだ。だから、資源、エネルギー浪費型の成長モデルに頼ってしまう。
日本政府はリオで、震災の貴重な体験を踏まえ、持ち前のリサイクル、省エネ技術を駆使した「災害に強く、人に優しい『環境未来都市』のモデルをつくる」と表明した。フクシマに報いるためにも、この試みを一歩進めて、破滅的な環境破壊を招く原発に依存しない、持続可能で豊かな未来社会のモデルを、日本から世界に示したい。そうすれば、環境の国際会議も再び前進できる。
私たちが望む未来は、持続可能な社会以外にないのだから。
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社説:リオプラス20 緑の経済へと進めよう
http://mainichi.jp/opinion/news/20120624k0000m070076000c.html
毎日新聞 2012年06月24日 02時33分
ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた国連持続可能な開発会議(リオプラス20)が閉幕した。
今後10年の経済・社会・環境のあり方を議論しようと、世界191カ国・地域から約4万5400人が参加した史上最大の国連会議だったが、先進国と途上国との妥協の末に採択された成果文書「我々が望む未来」は具体的な目標や施策に欠け、かけがえのない地球を将来の世代に伝える明確な道筋は描けなかった。
会議の最大のテーマは、環境を保全しながら豊かさを実現するグリーン(緑の)経済への移行だった。
先進国側はグリーン経済の推進を掲げ、途上国も一定の責任を負うべきだと主張したが、途上国側は開発の邪魔になるなどと反発。結局、グリーン経済の重要性は文書に盛り込まれたが、実行は各国の判断に任された。地球環境保全などに向けた新たな数値目標の策定も合意されたが、項目の具体化は先送りされた。
ちょうど20年前、同じリオで開かれた「地球サミット」では、環境保全や貧困解消を掲げる行動計画「アジェンダ21」が採択され、気候変動枠組み条約と生物多様性条約の署名開始という成果をあげた。東西冷戦の終結で、地球環境問題が世界共通の課題と認識されたのだ。
20年後のリオでは、先進国の経済状況の悪化が影を落とした。新たな資金援助を求める途上国に先進国は応じることができず、オバマ米大統領や英独両国の首相、日本の野田佳彦首相らは出席すらしなかった。
だが、経済活動に伴う生物資源の利用や温室効果ガスの排出は地球の許容量を超える。一方で世界人口は70億人を超え、貧富の差は拡大した。だからこそグリーン経済への移行が必要だ。国連環境計画は世界の国内総生産(GDP)の2%を毎年、再生可能エネルギーや省エネなどに上手に投資すれば、世界経済はグリーンに移行でき、雇用創出や途上国の貧困対策につながると分析する。
玄葉光一郎外相は環境・防災分野で今後3年間に計60億ドル(約4800億円)の政府開発援助(ODA)を拠出すると表明したが、東日本大震災と福島第1原発事故で自然の猛威とエネルギー多消費型社会の危うさを知った日本は、グリーン経済への移行で世界の先導役となるべきだ。成功例を積み上げることで、途上国の理解にもつなげたい。
中国やインド、ブラジルなど新興国が経済発展を遂げ、南北の構図も変わった。各国は、地球環境の保全と途上国の発展の両立を目指す新たな枠組みも探ってほしい。温暖化でも生態系の破壊でも、その影響は国境を越え、一つしかない地球という惑星に降りかかってくるのだから。
* * *
特集社説2012年06月23日(土)
リオ+20 これでは地球環境を守れない
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201206230833.html
先進国と途上国の隔たりが埋まらないまま、地球環境保全の指針は骨抜きにされた。
環境保全と経済成長を両立させる「グリーン経済」実現を目指した「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)。ブラジルに各国首脳が集い、地球環境問題を議論したが、保全の具体的な目標値や行程表の合意は見送られた。
成果文書では、化石燃料への補助金廃止など「適切な措置」を勧告。途上国支援資金について交渉する場の検討も盛り込んだ。しかし厳密なルールづくりに失敗し、決意表明にとどまった印象だ。政策の選択肢という位置づけに実効性はあるまい。
文書は「われわれの望む未来」と題されたが、とても未来を託せる内容ではない。参加国の環境意識の低さがあらためて浮き彫りになった格好だ。各国は、それが環境に対する背任行為であることを自覚しなければならない。
リオ+20は、1992年の地球サミットから20年を契機に、地球環境悪化に歯止めをかけようとブラジルの呼びかけで開催。気候変動枠組み条約や生物多様性条約により実効性を持たせるため、各国が具体的な努力目標を設定するために開催された。
しかし準備会の段階から、資金の負担割合などをめぐって各国間で思惑が交錯。当初は盛り込まれていた具体的な目標値などは削除され、抽象的な努力目標となった。
会議を骨抜きにした大きな要因として、先進国のエゴを指摘せざるをえない。
地球環境を悪化させたのが先進国の開発と破壊にあったことは明白だ。それが急激な気候変動を招き、多様性を奪い富を偏向させてきたのだ。その結果、地球上のエネルギーの8割を2割にすぎない先進国が消費している。
途上国が、生活の向上を目的に、経済の発展を目指すのは当然の権利だ。その過程で可能な限り環境に負荷をかけないよう、先進国は技術と資金を提供する義務がある。
日本は環境・低炭素技術導入や防災などで計90億ドルの政府開発援助(ODA)拠出を表明した。ただ、公海の漁業資源管理など多様性の維持については、米国などとともに慎重な姿勢を示した。これでは先進国の都合優先と指摘されても仕方あるまい。
今年は国連ストックホルム会議で「人間環境宣言」が採択されてから40年。この間、人類は地球環境の悪化や資源消費の偏向を認識しながらも経済優先の姿勢を崩さなかった。このままだと「持続不可能」なのは明白だ。
地球上の資源は子孫からの借り物だ。将来の世代に引き継がねばならない。環境保全への取り組みが最重要課題であると認識しなければ「われわれの望む未来」はない。
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リオ+20が閉幕 「壮大な失敗」との批判も
2012.06.24 Sun posted at: 12:16 JST
http://www.cnn.co.jp/world/30007093.html
スモッグに包まれる空。リオ+20では環境と経済成長の両立を目指す宣言が採択された
(CNN) 世界各国の首脳らが地球環境や経済発展の問題を話し合う「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)が20~22日、ブラジル・リオデジャネイロで開催された。同会議は環境と経済成長の両立を目指す宣言を採択して閉幕したが、環境団体からは「壮大な失敗」と批判する声が上がっている。
リオ+20は、1992年に同市で開催された地球サミットから20周年の機会に合わせて開催され、各国首脳約100人を含む約4万人が出席した。ただ、オバマ米大統領やメルケル独首相ら、主要国首脳の欠席も目立った。
会議は22日、「我々が望む未来」と題した53ページに及ぶ宣言を採択して閉幕。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は「リオ+20は根本原則を確認し、新たな方向を指し示した」と評価する声明を出した。
しかし、国際環境保護団体グリーンピースのクミ・ナイドゥ事務局長は、「会議は始まる前から終わっていた」「提案された約束や目標はひとつずつ削られていった」と手厳しく批判。「リオ+20は壮大な失敗に終わった」「唯一の収穫は、もっともな怒りの感情だ。その怒りを行動に移さなければ」と述べた。
貧困問題に取り組む国際団体オックスファムのバーバラ・ストッキング事務局長も「リオはいんちきサミットとして歴史に残る」と断じた。
これに対してオーストラリアのギラード首相は「不満は分かるが、持続可能な開発という目標で合意できたことは前進だと思う」と述べた。
国連によると、会議ではエネルギー、食糧安全保障、飲料水確保、海洋保全などの分野で各国から総額約5130億ドルの拠出表明があった。1億本の植樹計画やグリーン経済事業によるアフリカ貧困女性の救済、年間80万トンのポリ塩化ビニル(PVC)リサイクルなどでも合意した。
また、潘事務総長が飢餓撲滅を目指す「ゼロ・ハンガー・チャレンジ」を発表し、オックスファムはこれを評価する声明を出した。
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リオ+20:途上国、環境より成長…グリーン経済に不信
http://mainichi.jp/select/news/20120622k0000m010082000c.html
毎日新聞 2012年06月21日 22時49分(最終更新 06月21日 23時46分)
事前交渉中、口にガムテープを貼り、「(意見を言えない)未来の世代の声を聞いて」と訴える若者たち=リオデジャネイロで2012年6月17日、比嘉洋撮影
ブラジル・リオデジャネイロで開幕した「国連持続可能な開発会議(リオプラス20)」は、地球環境保全と経済成長に向けた新しい道を探るため、国連史上最大規模の約130カ国の首脳ら5万人が集結した。しかし、最終日の22日(日本時間23日)に採択される成果文書案は、先進国と途上国の対立が解消されず、具体的な目標や施策に欠ける内容となっている。92年の「国連環境開発会議(地球サミット)」以降、環境問題や貧困が深刻化しているにもかかわらず、国際社会の一致点は見えない。【藤野基文、リオデジャネイロ比嘉洋】
成果文書案「我々が望む未来」では、環境保全と経済成長を両立させる「グリーン経済」への移行は各国の自主的な取り組みにゆだねられた。
グリーン経済とは、化石燃料から太陽光などの再生可能エネルギーへ転換し、生態系を守りながら農業を営むなど新しい経済の在り方だ。玄葉光一郎外相は文書案について「次につながるステップになる」と評価したが、オランド仏大統領は「我々の責任や期待を満たしていない」と演説で不満を表明した。
具体的な施策や目標が先送りされた背景には、貧困解消のため経済成長を優先する途上国の事情がある。グリーン経済への移行そのものが、開発の邪魔になると捉えられた。
高い成長率を維持したい新興国も、途上国に同調する立場を取った。中国の温家宝首相は「中国は途上国だ。より発展すれば、より世界に貢献できるようになる」と演説し、さらなる開発の必要性を強調した。途上国は移行の条件として新たな資金援助と、再生エネや省エネの技術移転の確約が不可欠と訴えたが、先進国が金融危機や財政難、グローバル競争の激化を背景に応じなかったことも、合意を難しくした。
92年の地球サミットでは、世界各国の首脳が地球温暖化対策の国際的な枠組みなどに初めて合意。「持続可能な開発」の模索を決めた。しかし、今も国際社会が掲げた目標はほとんど達成できていない。リオプラス20は、こうした状況の転換が目的だった。松下和夫・京都大教授(地球環境政策論)は、成果文書案について「地球サミット以降に策定された合意を再確認する項目が目立ち、『我々が過去に合意した未来』と言った方がいい」と皮肉る。
ブラジル環境長官として地球サミットを準備したジョゼ・ゴールデンベルク氏は「機が熟しておらず、途上国も新興国もグリーン経済で成長できる確証を持っていない。先進国を中心に成功例を積み上げ、利点を示していかなければならない」と指摘する。
◇気温も水位も上昇続く
「世界の食糧生産は70億人の需要を上回るのに、4分の1は1日2ドル以下で生活し、飢えに苦しんでいる。不平等こそが貧困の原因だ。会議は不平等との闘いを最優先にすべきだ」。ニジェールのイスフ大統領は20日の開幕日に演説し、各国に訴えた。
世界の人口は途上国を中心に増え、1992年の55億人から27%増加して2011年には70億人を超えた。経済は拡大し、10年の世界の国内総生産(GDP)は92年比75%増の63兆ドルに成長。食糧生産量は45%増えたが、貧富の差は埋まらず、不衛生なスラムに住む人々は10年に90年比26%増の8億2700万人に上る。
エネルギー供給の8割は枯渇が懸念される化石燃料に頼っている。先進国だけでなく、新興国で化石燃料の大量消費が進み、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量は08年に92年比36%増の300億トンとなった。世界の平均気温は92年から10年までに0.4度上昇。氷河が解けることなどで、世界の平均海面水位は、93年から03年まで毎年平均3.1ミリ上昇した。
しかし、CO2などの温室効果ガス削減の新枠組み交渉は行き詰まっている。モルディブのハッサン大統領は、「地球気候変動で砂浜が浸食され、魚が減っている。地球環境保全は島国だけで対処するのは難しい。国際社会の協力が必要だ」と強調し、早急な行動が必要と各国に呼びかけた。
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17歳少女に拍手「私たちは危機に瀕している」
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20120621-OYT1T00936.htm
リオ+20の開幕式で演説するトリフォードさん=ロイター
若い世代に語りかけるスズキさん=井上陽子撮影
【リオデジャネイロ=井上陽子】ブラジル・リオデジャネイロで20日始まった国連持続可能な開発会議(リオ+20)の開幕式で、ニュージーランドの高校生、ブリタニー・トリフォードさん(17)が各国首脳らを前に演説した。
「私たちの将来は危機に瀕(ひん)している。ここに何のために来たのか、問いかけてほしい」と訴え、会場から大きな拍手を浴びた。
同じリオで20年前に開かれた地球サミットでは、12歳の少女が「どうやって直すかわからないものを壊さないで」と、地球環境保全を訴えて感動を巻き起こした。トリフォードさんはそのスピーチのビデオをお手本に演説の練習をしてきた。
会場には、2児の母になったあの時の少女、日系カナダ人のセバン・スズキさん(32)も、民間団体の代表として姿を見せた。米エール大で生物学を学び、国連の地球憲章委員会委員なども務めた。カナダの先住民の夫と結婚し、小さな島で暮らしている。
「この20年、多くの会議にも出てわかったことは、政治だけでは環境は変えられないということ。私たち自身が声を上げ、行動しなくてはいけない」。スズキさんの声は、力強さを増していた。(2012年6月21日16時19分 読売新聞)
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リオ+20、不満と希望が交錯
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120622001&expand
公式日程は20~22日の3日間だが、リオデジャネイロ周辺では1カ月前から3000以上の関連イベントが開催されており、参加者は5万人を超えているという。先住民族の会合、抗議集会、美術展やテーマを掲げたビーチパーティのほか、自然の搾取に反対するフェミニストのデモも行われている。
2年越しの事前協議は開幕前日の19日に終了し、「The Future We Want(私たちの望む未来)」と題した49ページの合意文書案がまとめられた。持続可能な開発のロードマップを示す同文書は、会議に出席した各国指導者が最終日の22日に採択する予定である。 ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は開幕スピーチで、「従来の開発モデルは既に役目を終えた。現代の課題に対応できなくなっている」と語った。
第1回地球サミット(1992年、リオデジャネイロ)以降の同国の取り組みについても詳しく説明している。国内消費エネルギーの45%を再生可能エネルギー(主に水力発電)に転換し、温室効果ガス排出量の削減目標も独自に設定。また、アマゾンの広大な土地を保護区域に指定している。並行して1800万件の雇用を創出し、農業生産性は180%アップしたという。
ルセフ大統領は持続可能な開発について、「気候変動に対する最も現実的な対策」と表現し、次のようにコメントしている。「必要な対策を講じるより、何もしない方が結果としてコストが高くなる。積極的な行動が重要だ。1992年の合意内容からの後退は、絶対に避けなければならない」。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も会議に出席。スピーチでは、「持続可能な開発については20年前の地球サミットでも議論したが、いまだに十分な取り組みが実施されていない」と語っている。「経済や社会の従来の発展モデルは既に破綻している。経済成長と持続可能な開発のバランスをとる新しいモデルが必要だ」。
◆ロードマップの策定
リオ+20の合意文書案は、未来の世代のために環境を保全しながら、貧しい地域にも経済発展の機会を広げる必要があると概説する内容だ。温室効果ガスの排出削減を呼びかけるでもなく、持続可能な開発の具体的な目標も設定していない。2015年までに達成すべき「ミレニアム開発目標」の跡を継ぐ、新しい目標の設定も期待されたが、肩すかしを食らったかたちだ。“環境に優しい経済”への移行を推進する300億ドル(約2兆4000億円)規模の基金創設も検討されたが、最終案では却下された。
会議には環境保護活動家も多く参加したが、意義ある進展につながらない不十分な内容と一様に批判している。グリーンピース・インターナショナルの事務局長クミ・ナイドゥ氏は、「リオ+20は各国の思惑に翻弄されてしまった。これで環境保護と経済成長の両立などできるわけがない」と声明を発表した。
世界自然保護基金(WWF)も「あらゆる点で不十分」と評価し、「このままでは時間の浪費に終わる」と警鐘を鳴らしている。
6月20日には、フランスの新大統領フランソワ・オランド氏が登壇し、資金調達目標が設定されていない計画に遺憾の意を表明した。
記者会見に出席したブラジルのアントニオ・デ・アギアール・パトリオッタ外務大臣は、政府も最終案に失望しているか質問され、次のように答えている。「誰もが一様に不満を感じているとしたら、それは妥協の結果だからだ。しかし、開幕の数日前には30%しか合意できていなかった事実を考えれば、これでも上出来だと思う」。
◆成果もある
ブラジル人環境活動家のタッソ・レゼンデ・デ・アゼベド(Tasso Rezende de Azevedo)氏は、厳格な目標設定のない合意文書に不満を持ちながらも、「重大な問題ではない」と語る。会場付近のイベントやオンラインで活発に意見交換できたことから、「リオ+20は大成功」と評価している。
アメリカ、ジョージ・メイソン大学の教授で熱帯生態学者のトーマス・ラブジョイ(Thomas Lovejoy)氏も、関連イベントに希望を感じたという。「民間部門の方が真剣に取り組んでいた。国際開発金融機関の米州開発銀行などは、生物多様性の維持に関する新たな構想を持っている。環境に優しい経済をテーマとするさまざまな集会があり、意見交換が活発に行われていた」とリオ+20のプラス面も報告している。
Photograph by Victor R. Caivano, AP
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日経ビジネス オンライン
現地レポート「fromリオ」
リオ+20成果文書に基本合意、グリーンエコノミーは曖昧さ残す
藤田香特派員が見た「リオ+20」その2
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120621/233647/
2012年6月22日 金曜日
日経エコロジー
持続可能な開発目標の作成に合意
6月20日、191の国と地域が参加する国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開幕し、世界の首相や大統領が持続可能な世界を作るための声明を読み上げた。
リオ+20開会式に参加する藩基文国連事務総長(右)とブラジルのルセフ大統領
本会合を前に合意が危ぶまれていたリオ+20の成果文書は、本会合直前にブラジル政府が再度提出した議長提案を基に各国交渉官で意見を出し合い、基本的な合意を見るに至った。議論が紛糾する中、開催国のブラジル政府が合意を強引に取り付けた形だ。
成果文書は6章構成で約280項目から成る。1、2章はこれまでの行動の再確認、3章はグリーンエコノミー、4章は新しい制度的枠組み、5章はテーマ別行動、6章は実施手段についてだ。
交渉の全体像を追ってきたNGO「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝氏にその評価を聞いた。まず、最大の争点だったグリーンエコノミー。環境対策は行うが、資金を出すのは先進国であることを意味する「共通だが差異ある責任」という文言は外され、先進国の主張が通った形だ。ただし、具体的な内容を盛り込まないまま、ある意味「骨抜きの状態」で合意に至ったという。
グリーンエコノミーがどのような経済であるかは定義せず、「持続可能な開発を進めるためのツール」とし、その実現方法は各国に任せるとした。また、EU(欧州連合)が主張してきた、持続可能な調達のイニシアティブ作りや、環境・社会コストを内部化する経済の在り方についても記述されることはなく、曖昧な内容のままに終わった。「調達の方法や、環境・社会コストの内部化はもっと議論すべきだった」と田辺氏は残念がる。
もう1つの争点だった「持続可能な開発目標(SDGs)」については、SDGsを作成すること、ポストMDGs(ミレニアム開発目標)と統合的に作ることが合意された。作り方の具体的なプロセスも明記された。全体で30人から成るメンバーを各地域から選出し、交渉によって決め、第68回国連総会までに報告するというものだ。ただし、具体的なSDGsのテーマについては水、食料、エネルギー、海洋など具体的なものや数字目標を成果文書に盛り込むことはなかった。
SDGsの記述箇所からも、「共通だが差異ある責任」という文言は外された。ちなみに、「共通だが差異ある責任」は成果文書の総論部分には入っている。
企業のレポートティングの枠組み作りに含み
このほかの争点としては、サステナブル・レポーティングがある。EUは強制力のあるレポーティングを求め、そのための新たな枠組み作りを求めていた。しかし、米国やカナダは企業にレポ―ティングの義務が生じることを懸念し、反対。途上国も反対していた。成果文書では、新たな枠組みを立ち上げる記述はなくなったが、産業界が国連や政府と協調しながら好事例集作りをすることを奨励すると盛り込まれた。「今後の枠組み作りに含みを持たせた形になっている」と田辺氏は言う。
成果文書の基本合意をみて喜ぶ交渉官たち。中央はブラジルの外務大臣
海洋については、公海における海洋生態系の保護のため、国連海洋法条約の下で国際交渉を始めるかを巡って、賛成のEU、反対の日米で綱引きが続いていた。成果文書では、新しい国際交渉を開始するという文言ではないものの、国際的措置を含めて対処するという文言が入り、新しい枠組み作りの可能性が残った。「海洋は議長国ブラジルが成果の1つにしたかったポイント。いずれ議定書の形になるのでないか」と田辺氏は見る。
エネルギー関係で注目されたのは、化石燃料の補助金だ。補助金のせいで国民に化石燃料を安価に提供できている現状が問題視し、補助金の撤廃を記述するかどうかで議論が分かれていた。G20では既に補助金の撤廃は決議している。これを国連の場にも広げられるかが注目されていた。今回の成果文書では明確な撤廃という表現ではなく、「G20以外の国々にも呼び掛ける」という弱い表現にとどまった。
藩基文国連事務総長が昨年声明を出した「万人のための持続可能なエネルギー」は、もともとリオ+20とSDGsを見据えて発言したもので、成果文書でも踏み込んだ記述がなされるか注目されたが、この声明に「留意する」という表現にとどまり、弱い印象を残した。
評価はバラバラ、企業のイニシアティブに期待
成果文書に対して評価は分かれている。リオ+20のテーマである「The Future We Want(私たちが望む未来)」をもじって、NGOグループからは「The Future We Don’t Want(こんな未来、私たちはほしくない)」と声明を出した。新規制がなく、妥協の産物であることを批判したものだ。
踏み込めなかったことを仕方ないとみる向きもある。1992年の地球サミットや2002年のヨハネルブルグ・サミットとは時代が異なり、すでに気候変動枠組み条約や生物多様性条約など既存の環境条約のCOP(条約締約国会議)で個別課題の議論が進んでいる。時期的にも中途半端だ。気候変動については次期枠組みがまだ決まっていない。ヨハネルブルグ・サミットで採択したことの実施状況のレビューは2015年の前にすることが決まっており、リオ+20はそのレビューが出る前に開催されている点も不幸だった。
一方で、国の利害関係が交錯する中で合意に至ったことを評価する声もある。また、リオ+20では企業に関係するサイドイベントが数多く開催され、新しいイニシアティブが立ち上がった。持続可能な証券取引所イニシアティブ、責任ある保険原則、自然資本宣言などだ。こうした民間の動きが新しい流れを作ろうとしている。
日本政府代表団である外務省地球環境課の杉中淳課長は、「グリーンエコノミーについて国連文書の中に位置づけられ、そうした経済の促進について明記されたのは評価できる」と話す。日本が打ち出した防災の町づくりや、幸福度など具体的な明記はないもののGDPを超える評価指標についても盛り込まれたことを評価するという。
成果文書は具体的なテーマや数字に落とし込んで未来像を示すことはできなかったものの、交渉過程を通して、これからの世界が何を必要とし、企業に求められるものは何かを提示してくれたと言えるだろう。
(リオ特派員・藤田香=日経BP環境経営フォーラム生物多様性プロデューサー)
このコラムについて
現地レポート「fromリオ」
2012年6月20~22日にブラジルのリオデジャネイロで開催される「持続可能な開発に関する国連会議(リオ+20)」。今から20年前に同じリオで開かれた「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」で、気候変動枠組み条約と生物多様性条約がまとまり、環境対策を進めるための国際的な枠組みが定まった。それから20年、先進国と途上国の対立が浮き彫りになり、国際枠組みの有効性にまで疑問の声が上がっている。リオ+20は新たな成果を上げられるのか。リオ特派員が現地から報告する。
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