松ちゃんの『やりっ放し やられっ放し』

あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる(松任谷由実『緑の町に舞い降りて』より)

5scenes

2005-10-20 19:22:15 | dramas
勘違い…

その男はいつも、振り向いた。
He「I Love You...」

She「...me,too.」
そんな異国人男女の奥で…
その男「!…(俺のこと)??」 (scene1 fin.)

scene2
その男1人。映画館。スクリーンの中の男女が囁き合う。
「I Love You...I love you!!」
その男「!!」 その男は猛烈に意識した。

scene3
その男の想像の中。女と口論している。別れ話だ。
その男「じゃ、じゃあ…」
   女「何よ?(じゃ、じゃあ)って。この場面でじゃじゃ馬グルーミンアップ?どういう神経…」
その男「いわねーよ。おかしいだろ。ってか何で知ってんの!?言えよ、言ってくれてたら…」
   
   女「言ってくれてたら何よ…」
その男「その話で盛り上がって、もしかしたら今時別れ話なんてせずに済んだかもしれんし。」
   女「いや、私たちはこうなる運命だったのよ。タロット占いでも、姓名判断でもそう出てるし。
     極めつけは今朝の星座占いと血液型占いよ。どちらも1位だったし。」
その男「何で1位で別れんだよ?1位なら別れなくてもいいじゃん。」
   女「考えが浅いわね。ラッキーポイントよ。今日別れると人生最大の幸運が巡って来るって…。」

その男「…」
   女「それだけじゃないわ。0学占い、四柱推命、Dr.マリオの風水、京都市中全神社のおみくじ…
     あと、六星占術でもちゃんと出てるし。新宿の有名な占い師にも占ってもらったわ…」
その男「果てしないな…俺ら。」
   女「(果てしない)か…確か、うめもとっていう野球選手の口癖だっけ。彼のフレーズをパクったのね。
     …私がパクる事に敏感なの知ってるでしょ。今だから言うけど貴方の放つ独自のフレーズ。
     私はね、あなたのその独創性には一目置いてたの。なのに…。まぁいいわ、もう終わった話よ。」

その男「只、占いで別れるなんて、なんか嫌だよな。」
   女「あら、理由は他にあるわよ。」
その男「そうなのか?」
   女「当たり前よ。占いごときで別れる訳ないじゃない。占いはとどめに過ぎないわ。」
その男「じゃあ、ほんとの理由を教えてくれないか?」
   女「あなたがやけに「I Love You」にこだわったことよ。」

その男「それだけ?たった…?」
   女「いい!私はねアラビア語で(愛してる)って言いたかったの。それをわざわざ英語で。」
その男「何言ってんだよ!(I Love You)は世界共通の愛の言葉だ。」
   女「そういう考え方がだから、いつまで経ってもイスラム諸国とアメリカは対立し続けるのよ。
     自分の価値観を強制しないでよ。なんでもかんでも民主主義、資本主義を押し付けて…。」

その男「押し付けてないわ!押し付けてるのはアメリカだろうが。」
   女「同じよ。キリスト教とイスラム教の共同作業は、個人レベルでも無理なようね…
     何が(I Love You)よ。ベッドの上でいざ鎌倉って度に毎回毎回こんな話を…
     結局私達本当にセックスレスだったわね。」

scene4
タワーレコードにて。その男、Mr,Childrenの新盤を目の前に…
その男「惜しいなぁ~、字が違うわ…」

scene5
ある町の役所にある書類が提出された。改名の旨が記してあるその紙は、職員の間で話題になった。

その男、小島・I Love You・博史への改名につき…勘違い。

地下1Fの奥にて

2005-10-19 17:26:23 | Weblog
先日(2005/10/25)、久しぶりに大学に行ってみた。

「行ってみた」って…3、4年前にあれほど希望に満ち満ちて
私も大学も光り輝いて、あまりに眩し過ぎて眼が眩み、目を瞑ってあの正門をくぐった時

守衛さんとぶつかって…。
「よし、頑張るぞ」そんな想いで、入学してきた私は
今はもういません。

古巣とでも言おうか、「政研」に顔を出してみた。
某学舎の地下の一室に、細々と居を構えているのですが
相変わらずの顔、風景、雰囲気でした。
あっ、古巣と書きましたが今も籍をおいてます。

2,3人でウダウダ喋り
政治に、経済に、教育に、エンターテイメントに、就いて…
1割本当で、9割嘘。

今回は、本の話。飲み会の話。魚の話。また、私が携えていた「晩年」を音読してみたり…
3年前にやってた事と何も変わりはしないのです。

それが善いのか悪いのかも、もはや判りません。

約束。

2005-10-18 03:55:28 | Weblog
どうもこんにちは。

今日は2005年の10月の24日の事を書きたくて書きたくて…
何から書こう。

アフターはバーミンガムで
#74ちんと、#GENちゃんさんと、#12(Tomoki)君と、#81(Daiki)君と同席しました。
我々は最初、他の人からかなり疎外されてまして、不安で気落ちなどしたりしました。

それでも、私たちは好い年頃なんだし
出会って2年目だし
その年数以上に濃い意時間を過ごして来た仲なので
でも会話は、淡々と進んでいきました。最近のアフターでは一番楽しかったですね。

別に馬鹿騒ぎもせず
別に爆笑もなく…でしたが
何よりこの組み合わせは初めてで
久々に席を同じくした人がいたのも新鮮で
それが私の心を満たしてくれたのだと思います。

アフターの後に、#6さん#12君#81君と4人でがっつり食べに行くことになり
バーミンガムでは餃子と冷コーだけで耐え難きを耐えまして
…流れで
#77絵と#20君がスペシャルサンクスとして一緒に食べに上ヶ原まで来ることになりまして

伊太利庵にてがっつきました。
#6さんは、そこの店主に食べるのが遅いことを憶えられており
驚き桃の木20世紀でした。

私は、その場である約束をしました。
#81くんと来年ホノルルマラソンを走ります。

私はこの約束を、絶対果たそうと思います。久々にその日の出来事を書いてみました。何か駄目だわ。

きっと…同じ人間という種だから

2005-10-17 03:26:47 | outlook of life
今日(2005年10月24日)、ファブに行ってみました。

顔を出すだけのつもりでしたが、見てるとバスケをしたくなって…
たまたま背中に背負っていたバッグの中にユニとズックが入ってたので、練習に加わりました。

来る途中、仁川駅前交差点で信号の青緑待ちしてた時
其処の角にケンタッキーフライドチキンがあるのですが、
そこの店員さんが、入り口前に立つカーネル翁人形を一所懸命に手入れされていました。

人形だからあそこまで近づいて拭いたりできるのだ。
あれが本当の人間の爺なら、絶対できない。
そう考えると、人間って気持ち悪いものだ。
同じ姿かたちをしているモノで、それが生き物ってだけで気持ち悪く感じる。

悪いが
あなたも
この人も
あの人も
人間…気持ち悪い。

なんで気持ち悪いと思うのだろうか。
自分じゃないから?
自分は気持ち悪くない?
自分ではない、周りに在る全ての人間って気持ち悪いですよね。

自分じゃないのと、生き物っていうのと、その生き物が人間っていう同じ種ってのが気持ち悪い。
気持ち悪い。
他の種、または生き物ではないものは別に気持ち悪い。きっと同じ人間だからなのだ。

そう思うのは、自分が好きだからだろうか。そして…好きなんだけど、好きだからこそ
自分に無いものをきっと持ってるだろう他人に対する僻みからだろうか。

もうちょっと突き詰めてみる必要がある。そに答えをうまく言語化できるよう精進しようと思います。

私が異常に執着する異性の部位に関して。

2005-10-16 03:58:51 | Weblog
どうも~☆

え~、#6さんから『フェチバトン』なるものを頂きました。
いや…なんでね、すぐ誰かに引き継いでもらおうか。

1:あなたは何フェチ?
 →先ず、フェティシズムとは?と思い調べると…異性の一部に対して異常に愛好、執着する態度とある。
  いざ、訊かれてみると…?となるので、そこでananを見てみる。…口フェチか。

2:異性を見るとき、まず何処を見る?
 →まずつま先。次、足首、脛、膝、腿、腰、腹、胸、手、腕、肩、首、顎、口、頬、鼻、目、眉、額…
  と下から上へ順々に見ていく。女の子を見るたびに此れだから、首が疲れて大変である。
  男の女を見る時の見方なんて人それぞれである。見方ひとつで綺麗に見えるものである。
  
3:最近プッシュできる部位
 →背中。最近、ずいぶん大人びたって言われる…じゃなかった。
  最近やっと悩んでいる女の子の背中をプッシュできるようになってきた。
  悩んでいるといっても一概には言えず、特に自分に自信が無くて前に踏み出せない娘。
  後、恋に悩んでいる女の子。自身恋愛経験無いのに、人の恋愛には…結構好い事云えるんですね。

4:異性の好きな部位5つ
 →口
  胸
  尻
  足
  指
 
5:フェチを感じる衣装は?
 →一番フェチを感じる事に、果たして衣装は必要なのでしょうか、いや、要らない。裸がいいと思う。
  しかし、この答えが許されないとなるとやはり…『下着』のみかな。次が…『下着』+マニキュア。
  次が『下着』+マニキュア+ペティキュア。次が『下着』+マニキュア+ペティキュア+化粧。
  なかなか服は着させないよ、はっきり言って。
  
6:バトンを渡す人
 →『ゆめバトン』と同じく#91(UMEMOTO)君
               #13(SAKURAGI)さん
               #77絵で!!

まぁね
今回、私のフェティシズムについて『フェチバトン』を以っていろいろパフォーマンスしましたが
その様はどうだったのでしょうか。

7割嘘で3割本当です。
信じてください。本当です。嘘ではありません。今までの嘘は嘘です…あぁ、自分は何を言ってるんだ。

ああ、どうか、皆様お願いします。どうかどうか、誤解しないでおくんなまし。

ゆめバトン

2005-10-15 02:25:20 | Weblog
どうも~★

#6さんから『夢バトン』なるものを頂きました。
いや、バトンなので、またすぐ誰かに渡さないといけないのか…

Q1:小さい頃何になりたかった?
  →そうですね…普通に『パン屋』ですかね。まず、あの香ばしい匂いで私は、どうかしてましたね。
   何よりパンがめちゃくちゃ好きでしたし、昔。浜崎よりパンの方が全然好きです、はっきり言って。

Q2:その夢は叶った?
  →まぁ、着々と進んでて、順調だったけどファブに入って、頓挫しました。ファブのせいです。
   『魔女の宅急便』に出て来た(海の見える街)みたいな街で営みたいと思って、そっくりの街見つけて
   店も完璧に出来てて、明日オープンって時にうめに誘われたファブに行ったら、ハマっちゃって…。

Q3:現在の夢は?
  →パンも好きですけど、旅行も大好きで…ゆくゆくは日本中のありとあらゆる道を把握したいです。
   たとえ、拉致されて目隠しされて、どこかに連れて行かれても目隠し外した目の前の風景を見て
   「はいはいはいはい、ここね。知ってるわ。ここを30㌔直進して右折して、そこを右にいったら…
   小林だな」って、すぐ現在位置を把握できるGPS人間になりたいです。

Q4:宝くじで3億円当たったら?
  →想像がまったくつかないですね。こういうのは結構考えることがあるんですが、人生変わると思う。
   どう変わるか判らないけど、そう思うから、逆に怖いところもある。
   まぁ当たるに越したことはないのだが…
   人生のモチベーションというのか、果たしてそれを保てるのか?別に3億円あるしいいじゃないっ!
   っていう人もいると思うけどってこんな真面目に考えるのもナンセンスかなと思うのです。  
 
Q5:あなたにとって夢のような世界とは?
  →これが一番難しい質問ですね。「夢のような…」とは…
   将来的現実にそうなって欲しい理想の世界なのか。
   それとも自分では有り得ないと分かりながらも、一度は体験してみたい非現実的な世界なのか。
   前者なら、宇宙世紀ですね。後者なら…小説の世界か、過去の世界です。

Q6 昨晩見た夢は?
  →憶えていません。只私が見る夢は非現実的だがリアルで、基本的に危機感に満ち溢れています。
   何かに追いかけられているとか、何かをしなければならないとか緊迫感でいっぱいなのです。あと…
   昔から見る夢がある。それはなぜか言語化できないし、ただ緊迫感だけは思い出せるのです。
   最近日中にその夢が頭に思い出す時がある。が、やはり説明つかない。緊迫感のみなのです。
  
Q7:ぜひ次にお願いしたい人
  →さて誰に渡そうか…#91(UME)くん
               #13(SAKU)さん
               #77絵で!!

というわけで
ついこの前まで、『バトン』なんて、何か俗っぽくてやってらんねぇよ…夏。
それを俺のブログで書くなんて尚更だ。消化しているみたいだし…なんてグレてたけど…

果たしてやっちゃいました。
これで私も俗な人間の仲間入りかと思うと、悲しいのです。

悲しいことに、それだけってのも悲しいのです。

成長

2005-10-14 00:38:16 | dramas
ピアノを前に、母娘がレッスンをしている。

母「はい!まず、『ド』!!『ド』は何のド?言ってごらんなさい。」
娘「ォーゥ・…・ァッショ…」

母「は!?聞こえない。」
娘「オールド・ファッション…」
母「違うでしょ!ドーナツ、ドーナツよ!何度言わせるの?」

娘「だって…」
母「だって何よ。」
娘「オールド・ファッションもドーナツじゃん!」
母「じゃんって何よ、じゃんって!何、ハマっ子ぶってんのよ!」

娘「そらさないでよ!」
母「ひ~とみ~…」
娘「話よ!!何でこの場面でFIELD OF VIEWなのよ!それにお母様、ちゃんと見つめてくれてたじゃない!」
母「DEENよ!だから素人は困るのよ。」
娘「とにかく!話を、そらさないでよ。早く次の『ド』までいきたいの。私、成長したいの!」

母「…分かったわ。じゃあ続き、いきましょ。」
娘「はい、お母様。」
母「いい?最初の『ド』は何がなんでもドーナツのドよ。種類とか味とか、どうでもいいの。」
娘「…判らないわ!最初が『ド』だから?そんなに『ド』が始めに来なきゃいけないの?」
母「違うわ!決して。それが理由なら…
  なぜ『ソ』が蒼井そらの『ソ』になるのよ!…ごめん。あなたにはまだ難しい話ね。」


娘「いいんです。謝らないで、お母様。…判りました。」
母「幸子、成長したいなら、その(なんで)っていう探求心を大切にしなさい。…『ド』の次、何だと思う?」
娘「…『ウ』。ドウモファソラ…」
母「ちょ、ちょっと!何よそれ。最初の3つがオカシイわ。吹き込まれたのね?誰なの?言ってみなさい。」
娘「…」

母「幸子!」
娘「隣のお兄ちゃん…」
母「まさか…!!」
娘「そうよ、ひろしお兄ちゃんよ。」

母「あれほど釘を刺したのに…いい?これから一切、近づいちゃだめよ!」
娘「何で!?何でよ?何でお母様は、そんなまでして嫌うのよ!?」
母「逆に…逆になぜそこまでして彼の肩をもつの?最近みんな彼を異常にリスペクトしちゃって…」

娘「…彼は神よ。彼の言葉を聞いたことある?【そこに理由はない】【可能性はゼロじゃない】」
母「それがうそ臭いのよ!彼のフレーズに何度騙されたか…お母さん、同じサークル同じ代だったの…」

娘「それでお母様、性転換して女に…確かに今も同じフレーズって成長ないわね。…目が覚めたわ。」

紀伊の国にて。

2005-10-13 17:11:24 | Weblog
どっも。

昨日(2005/10/19)までお金が、無さ過ぎた。
部屋中探しても50円にも満たないであろう。

これでは難波に行けない。
梅田には定期があるので行けるが
其の先、御堂筋にも乗れない。

先週の秋華賞で当てた馬券を払い戻すしか手は無い。
2枚在る。
3連単と3連複。
3連複の方だけを払い戻してプラス2220円。

今度の菊花賞にとっておこうと思っていたのに
交通費になるとは…
難波で用事を済ませ、梅田に帰ってくる。
紀伊国屋。何か本屋に足が向いちゃう。
2冊ほど買おうか…

まだ読まれてない本のことを思う。
私の部屋の炬燵机の上に積まれている何冊かの本。
本とは
この本が欲しいと、買ってすぐ読みふける、電車の中でも、歩きながらでも。

それが本にとって1番いい読み方ではないか。
告白します。
今、あの積まれている本は、あまり読む気がしない。

でも、本を最後まで読むことが、買った者の責任でもある。
だから、買うのは、読んでからにしようと

手に取った2冊を元に戻し、紀伊の国を後にした。

都内病院にて。~ANOTHER STORY~(1)

2005-10-12 15:21:04 | dramas
自分の大事な人が目を覚ます。其の嬉しさは、其れ迄の疲れを消す。

冷静で居られなかった。
いや、主治医を探しに行った事に関してのみ冷静と言える。

女「せんせーい!せんせーい!!」
病院の廊下を走る。「病院の中を走るなんて…」と周りは冷たい視線。
が、気にしない、というか気づかない。どっちも。

看護婦「アナタ、廊下を走らない!!ここを何処だと思ってるの。」
   女「彼が…彼が目を覚ましたんです!!どうして走らずに居られようか、いや、居られない。」
看護婦「あなた、人が怒ってる時によくもまぁ、ご丁寧に最後まで反語を言ってくれて。
     …喧嘩の最中にどうして反語の説明なんてできようか、いや、できない。」

   女「あなただって言ってるじゃないの。兎に角今は反語どころではないわ。あなたに構ってる暇も…」
看護婦「いや、こんな時だからこそ反語は必要なの。こんな時だからこそよっ!」
   女「反語反語反語反語ってしつこいのよ。何故、そこまで反語にこだわるの?あなた、まさか…」
反語婦「そう。反語婦よ。バレちゃったらしょうがないわね。驚いた?」
   女「そ、そりゃ驚くわよ。人が、こんな時にどうして驚かずに居られようか、いや、いられ…」

女・反語婦「ない!」
   女「!」
反語婦「ふふ。今のは【居られようか】で止めておくべきよ。」
   女「どうして…どうして…」
反語婦「文法的に言って、今のは話の流れを考えると…」
   女「いや、そんな話じゃなくて。どうして、看護婦さんじゃなくて反語婦なんですか!」

反語婦「…そうね、あなたには話ししておこうかしらね。あれは学生時代よ…後は容易に想像が…」
   女「つかないわよ。つくわけないじゃない、学生時代ってキーワードだけで。何が、何があったの?」
反語婦「…あの頃私たちは看護学校でナースを目指して、必死で勉強してたわ。」
   女「必死で…」
反語婦「そう、必死で。必ず死ぬ、勉強しないと必ず死んでしまうと。本気で信じてたわ。」
   女「いや、【必死】というのはそういう…まぁいいわ、それで?」
反語婦「モチベーションの問題ね。あなたもあるでしょ?何かに頑張ってて、その情熱が冷めてしまう。」
   
   女「誰にでもね。」
反語婦「私にもあったわ…ずっと看護学を脇目もそらさず勉強してたからなぁ…ある日突然プッツンよ。」
   女「勉強が手につかない。」
反語婦「そう、勉強をしなくなり、どうなってもイイとまで思ったわ。でも、気づいたの。死なない、と。」
   女「当たり前じゃないの!まだ信じて…」
反語婦「聞いて!勉強しなきゃ死ぬと信じてた私が、自ら勉強を放棄した。此れは明らかな自殺行為よ!
     でも…死ななかった。未遂よ。」
   女「未遂って…それであなた、どうしたの?」

反語婦「其の時私には裏切られた感覚があった。」
   女「裏切られた…?」
反語婦「そう、自分に。世の中に。」
   女「どういうこと?」
反語婦「必死に勉強する事が「勉強しなきゃ死ぬ」と定義してた世の中と、それを信じてた私によ。」
   女「そんな風に定義されてないわよ。」
反語婦「それなら、たとえどう定義されようと、私がそう定義してた時点で、定義されてないのと同じよ!」
   
   女「…」
反語婦「定義してない世の中のせいよ!…話を進めるわ。私は裏切られたと思った。
     私は世の中どうでもいいと男に、酒に溺れた。堕落よ。」
   女「デカダン…。」
反語婦「私は、ついにアレに手を出した。それは既に私の仲間・看護学生のあいだに出回っていたわ。」
   女「まさか…ドラッグ!?」

反語婦「ふん!
     クスリなんか目にもくれないわよ。…反語よ。は・ん・ご☆」
   女「何が反語よ!別に恐ろしくなんて…」
反語婦「いかにも素人が言いそうなことね。いい?反語にも依存性があるのよ。」
   女「反語に依存性?」

反語婦「そう。特にフレーズにこだわる男なんていちころじゃないかしら。例えば今テレビとか出てる…
     あの博史弁護士。『No Reason』だの『HIROGERE』だのもの凄いフレーズにこだわってるけど、
     彼が一度でも反語に触れたら一発よ。それに彼、話は逸れるけど、ランキング大好きらしいし。」
   女「まぁ最低ね。まぁそんなことより、その反語漬けのあなたがなぜ病院で働いているの?」

反語婦「ア、アン…いや、タウン、タウ…そうよ!タウンワークよ。あれ、あってるっけ?」
   女「いや、求人情報誌の名前なんてどうでもいいの!どういう経緯かを…」
反語婦「募集してたの、反語漬けの看護学生を。世の中まだまだ捨てたもんじゃないわね。」
   
   女「じゃあ、ここの看護婦はみんな反語婦なの?」
反語婦「そうよ。ここではしつこい反語も許可されてるし、看護学も学べるし。楽園よ、シャングリラよ。」

   女「どっちでもいいわよ。どっちでも。でも、あなた、今とても良い顔してる。逝ってる顔ね。」

都内病院にて。

2005-10-11 20:46:41 | dramas
東京都内のある病院。

1人の男がベッドで寝ている。傍らの女はガールフレンドだろうか。
ずっと彼を献身的に看病してきたのだろう。彼女の顔には、疲れの色が伺える。

微かにではあったが、男の口が、動いた。微かに。
女「!!」
男「…ど。どぅ…も…」

男、はっきりとした言葉は発せないが、何か言いたそうだ。
女「い、意識が戻った…誰か呼んで来るね!」
彼女は飛び立って廊下を駆けていった。「せんせーい!!…んせーい!…ぇーぃ…」

彼女はうれしかった。
当たり前だ。
半年間意識が全く戻らなかった彼が、喋ったのだから。
女「先生!!…ぁれの、彼の意識が戻りました!!」

先生「誰だね君は?確かに私は普段、先生と呼ばれているが医者ではない。
   弁護士だ。来る所を間違えたようだね。」
 女「あっ、すいません。失礼しました。」
先生「ちょっと君!!待ちたまえ。」
 女「何か?」

先生「話を聞こうじゃないか、鍋でもしながら。いいかい?」
 女「いや、その、今それどころじゃ…」
先生「お金は取らないよ。」
 女「いや、お金の問題じゃなくて…大事な人の意識が戻ったんです。だから早く主治医に知らせないと」
先生「そうか大事な人か…それは良かった。丁度私の愚息も、意識不明の重態でね…」
 女「あの、もう行っていいですか?」

先生「ちょっと待ちなさいっていっているだろう。というか、人が話してる途中でしょうが!!」
 女「私もう行きます!!!」
先生「人が鍋を準備してる途中でしょうが!!お、おい…訴えてやるーーー!」
女は振り切り、階段を駆け下りた。玄関らしき出口を通り、外にでる。
女「何なの、あの人。田中邦衛のものまねなんかして…」
見上げてみると、『HIROGERE弁護士事務所』の看板が。そこは大阪だった。
きっと女は(何としたことか。浮かれモードでまさか大阪まで来てしまうとは)と思ったに違いない。

その頃、病院では…
男「…でさー、次に見たのが女の夢で、出てくる女が不思議な事に今の彼女じゃなくて別の女なんだよ。
  これ浮気じゃないよ。な?おふくろ。いろんな女が出てきたけど、結局俺はあいつを選ぶんだろうな…
  あっ、もしかしたら、好き過ぎて…そっか逆説か!そんなことより、あいつ、どこ行ったんだろう…」
主治医「…目茶々々、喋っていますね。さっきまで意識不明だったとは考えられない。」
   母「息子は、もう心配ないんでしょうか…」

主治医「見てください、この姿。心配のしの字も要りません。唯、「んぱい」は必要ですがね…」
   母「えぇーーーーーーー!!!」
主治医「はっはっはっはっは!冗談ですよ、奥さん。」
   母「ん、もう。先生ったら。」
主治医「兎に角、この調子だと1週間以内には退院できます。御主人には連絡されましたか?」
   
   母「いいえ。実はあの人とは今別居中なのです。彼は今、大阪で弁護士事務所を構えてます。」
主治医「大阪?小島…!!!もしかして…」
   母「そうです、あの悪名高い悪徳弁護士こそ私の夫なのです。」
主治医「そうですか…あっ、あの1つお聞きしてよろしいですか?」
   
   母「ええ、構いませんけど。」
主治医「テレビでもよく聞くんですが、あの『可能性は0じゃない』とか『××さんは…苦手です』っていうの
     あれって、プライベートでもあのフレーズをよく使われるんですか?」

   母「はい。それが原因で別居を…法廷でも使ってるらしいんですが、いくら有効だからといって…」
主治医「ま、まぁとにかく奥さん、息子さんも回復された事だし。荒げない荒げない、落ち着いて!」

   母「…何でも家庭に持ち込んだりして!家庭を家庭裁判所か何かと間違えてるんじゃないかしら。」