6月22日
今日は14時に唐さんがこの3月まで2年間学んでいた語学学校の最後のクラスの担任であった田中先生に、私の勤めている東大まで来てもらいました。唐さんのお母さんと、唐さんの学校での様子やお友達について聞かせてもらおうということで。唐さんは学校を休んだことがなく、一生懸命勉強していたようです。日本語検定の一級にも合格しています。学ぼうとしていた心理学の専攻がある大学が限られているのと、ここ数年、日本の大学は文部科学省の指導で定員を厳格に守らなければならず(これまで多くの大学が定員を大幅に上回る合格者数を出していた)、大学に合格するのが今まで以上に厳しくなっているので、唐さんはあともう少しだったのですが、昨年度の試験では大学に合格できませんでした。唐さんの日本語力はかなり高いレベルまできているけれど、英語で高い点数を取らなければ合格できない大学が多いので、英語に力を入れようと話していたところだったそうです。唐さんの部屋にはたくさんの英語の参考書があったので、田中先生のお話を聞いて、その理由がやっとわかりました。唐さんと一番仲の良かった女の子は、大阪の関西大学に進学しています。彼女とは神社やお寺を巡ったり、美味しいスイーツを食べに行ったりして、楽しんでいたようです。女の子らしい可愛い洋服が好きで、ある時は二人ともほとんど同じデザインのフリルのついたワンピースを学校に着てきて、びっくりしたそうです。唐さんはピンク色、お友達は青色だったとのこと。卒業旅行として、3月末には茨城の茨城山や偕楽園に遊びに行ったそうです。
語学学校の先生方は皆、この度のことにとても胸を痛めておられて、唐さんの回復を心から祈っているとのことです。語学学校は東京の青山にあり、学校の近くに明治神宮があり、そこのお守りを二つ、購入してきてくださいました。一つは唐さんに。早く病気が治りますようにと。もう一つはお母さんに。唐さんを支えるお母さんの健康や安全も大切だということで。
夜、医師からの連絡によると、唐さんの白血球の値が悪くなっているとのことです。唐さんの結核には薬に対する耐性があり、一般的に使用される結核の薬では抑えられないので、毒性の強い薬を使っています。白血球の値が悪いのはそのためだと考えられますが、結核に対応するには使わざるを得ません。他の症状に対して使っている薬にも、白血球の数値に影響を与える薬があるため、まずはそちらの薬を減らし、様子を見るとのことです。昨日もお話があったように、医師の呼びかけに対して反応があるように見えることもあるとのことです。
語学学校の先生方は、唐さんに黄色のカエルのぬいぐるみも買ってきてくださいました。カエルは日本語で「帰る」と同じ発音。唐さんが目を覚まして、早く学校に、家に帰ってきてほしいという願いが込められています。先生にもお父さん、お母さん、そして多くの人が唐さんの意識の回復を願っていると改めて伝えました。
https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s