リンスの香り

携帯のインストラクターの髪の香り。

会社を辞めたコが、次の会社で営業をさせられている。
携帯の取次店をやっている会社なので、女性社員も総動員で契約を取らされるらしい。
その一環として、ドコモのインストラクターを派遣し、無料の講習会を色々な場所で開催してくれる、というので我が社もサクラを頼まれた。
中高年ばかりの職場なので、こういう講習会は非常にありがたい。

颯爽とクリスマスカラーの制服（！！）を纏って現れた３人のスタッフ。
それぞれが一人一人について、マンツーマンで詳しく教えてくれる、というノリだ。
だが。
実際の事情は、当初の説明とは違っていた。
当初、この話を持ってきた元社員のコによれば、ドコモでなくてもどこのどんな機種でも説明できます、ということだった。
しかし、いざ色々と説明を求めると、
「いや、これは、ドコモじゃないので、あんまりわからないのです。」となる。
それなら、くる必要はないんじゃないの？
こっちの３人がもっているのは全てａｕなのだから。
それは最初から伝えてあることだった。
結局、ドコモ茸クリスマスバージョンのお土産を残し、携帯の使い方はなんらわからないまま、クリスマスカラーの３人のレディは帰って行った。

個々に説明を受けているとき、私の担当だった若い女の子の髪の毛からは、ふんわりとリンスの香りが漂った。
夕方になっても、こんなにもはっきりとリンスが香るなんて、と妙なところで感心してしまう。
毎朝、息子のボリューム弁当を詰めるために油煙の中で格闘する私からは、生活臭しかしないよな、とふと寂しく思ってしまった。