物的証拠

昨日、近所のショッピングセンターで買い物をした。
食料品を買って、そのあと、時々立ち寄る雑貨屋で買い物をする。
私の後ろに、その雑貨屋にはおおよそ場違いな雰囲気のおばさんが居た。
年の頃で５０歳代後半、季節外れな白いポリエステルのノースリーブワンピを、一枚で着ている。
ストッキングもはいておらず、ノーメイクで髪もぼさぼさ。
あまりの異様な雰囲気に、思わず好奇心をそそられ、チラチラ視線を投げていた。
それがまずかった。

今日、定期検診に行こうと財布を見るとお金がない。
えっ！！！
確か、昨日雑貨屋で買い物したときに１万円札を出した。
小銭をもらわないような精算の仕方で支払ったことは覚えている。
確か７千円くらいのおつりをもらったはず。
だが、財布の中にも、バッグの中にも、まったくその形跡がない。
セレブマダムなら、たかが７千円くらい、と鼻にもかけないだろうが、私にとっての７千円は痛い。
顔を引きつらせる私に、夫が
「あ～あ、また、いつものこっちゃ。
命を落とさんかっただけ、マシやと思っときや。
それより、今から運転する車を壊さんといてや。もう、買いとうても売ってない希少価値のクルマなんやからな。」
と言われてしまった。

記憶を辿るが、支払ったこととメンバーズカードを受け取ったことまでは記憶にある。
そうだ！レシート！！
と、レシートを探すとバッグの中でくちゃくちゃになりながらも残っている。
ってことは、おつりとカードとレシートはもらったってこと？
でも、おつりをもらい忘れていたら、レジのひとがおっかけてくるよね？
財布に入れたつもりが、そのおばさんに気をとられてハラハラと落としたってこと？
誰かがそれを拾ってぽっぽないない、したってこと？

頭の中にクエスチョンマークをいっぱいにしながら、乳ガンの１年後検診に臨む。
市の検診でごったがえす待合室でも、頭の中は昨日の７千円のことばかり。
診察を受けていても、再発の心配より７千円。
先生の
「異常なしですね。」という言葉も上の空。

とにかく念のため、お店に電話して現金の落とし物か、おつりの取り忘れがなかったかどうか確認しよう。
そう、思って祈るような気持ちで電話する。
「あいにく、拾得物は昨日はなかったのですが。。。
あ！ちょっとお待ちください。」
と待たされること２分ほど。
「昨日、レジのお金が７千円ほど合わなかったのですが、ひょっとしてお客様のおつりでしょうか？
レシートはお持ちですか？」
頭の中に、「リボンの騎士」のラストシーンで鳴らされる鐘が鳴り響く。
リンゴーン、リンゴーン♪

結果、レシートに打たれたナンバーと、おつりの金額がぴったりと一致して、無事解決。
やっぱりレシートは、おいとかなくっちゃ。
っていうより、もっとしっかりしなくっちゃ！だよね、私・・・