昭和枯れすすき

夫の学生時代の友人を招いて食事を共にする。
浪人して入った夫と同級生なので、私と同級生でもあるＭ君。
昭和３４年生まれである。
私と夫は関西圏で大きくなったが、Ｍ君は地方都市で大きくなったので若干、その環境にズレはあるものの、ほとんどその記憶は共有している仲間である。

今日も、ＢＳの「お宝ＴＶ」を見ながら、話は昔話に・・
そこで出たのが「お歯黒」である。
いまや、知る人を探す人が大変な昔話である。
夫の中で、オロナインといえば浪速千栄子。
「痔にもよろしおまっせ。」というフレーズとともにお歯黒が塗られた歯で、にまっとほほえむＣＭが流れていた。
私もおぼろげながら覚えている。
お歯黒は、私の祖母もしていた記憶がある。
子供心に、おばあちゃんになると歯が真っ黒になるんだ、と信じていた。
そんな話も、同世代ならわかり合える話である。

そういえば「赤チン」。
子どもの頃には、どこの家庭にも必ずあった「赤チン」。
すりむけば、オキシフルで消毒して、シュワシュワ白い泡がでるのを楽しみ、ティッシュでぬぐったあとは赤チンがお決まりのコースだった。
いたずら小僧や、お転婆娘の膝小僧には、常に赤チンがついていた。
いつのころからか、赤チンが姿を消した。
お歯黒も赤チンも、静かにフェードアウトしてしまっている。
嗚呼、昭和。
時代の波は、静かに砂浜に刻まれた文字を消し去ってゆく。