手には入ってみたものの・・

消費税があがる前の、三月のこと。
夫が、いきなり念願のロックミシンを買ってくれた。
私に内緒で、ミシン屋さんに相談し、突然のプレゼントである。
家に帰ったら、どどーんとその箱はおかれ、
「こころゆくまでのソーイングライフを！」と、メモが残されていた。

長年、ほしいほしいと思いながら、友人に譲ってもらった一本針２本糸のかがり専用ロックを使っていた。
だが、ここにきてあんなにほしかったはずのロック熱が、さめつつあるのだ。
息子も巣立ち、夫婦二人の気楽な生活が始まるはず、だったのに、姑が近くの施設に入り、生活のリズムは自ずと姑中心になった。
二日に一度、施設に立ち寄り、洗濯物を持って帰ったり、愚痴を聞いたり。
たまにそのリズムをはずし、立ち寄らなければ携帯がなる。
そこでまた、結局はひとしきり小一時間愚痴を聞き、今度は私たちの生活を片付ける。
週末は、退屈している姑をどこかへ連れ出すか、我が家へ連れ帰り、相手をする。
そんなことをしているうち
３月に届いたミシンは、箱を開けることもなく４月の終わりを迎えた。
そして連休こそは！と思っていると、結局は姑の相手やらなんやらで終わってしまい・・
初めてミシンを動かしたのは、姑のズボンのお直し。
結局、買ってもらってからというもの、これといって自分のものを縫うことはなく、
姑と私の母のお直し、練習がてらに縫った節子さんへのＴシャツくらいのものである。

まだまだ、その縫い方もきちんと把握出来ておらず、試行錯誤。
目の黒いうち、いや、目が見えているうちに、それなりのものは縫えるかな・・