ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

旧知の友と

2005-05-22 | 砂時計
学生時代のことだから、もう、大昔のことになってしまう。
知り合って25年になる。
きっかけは、バイト先のテレビ局。そこでテロップを描いているひとだった。
雑誌MCシスターから抜け出たようなファッションのその人は、いつもお洒落だった。
きちっと切りそろえたボブスタイルのヘア、サドルシューズにサーキュラースカートや、ジーンズ。仕事柄ではあるかもしれないが、抜群に絵が上手くて、センスがよかった。
頭も良くて、色々なことをよく知っていた。
知り合ってたちまち魅了され、下宿にお邪魔したことがある。
まだオートマ車が普及していない時代に、ミッションタイプのスポーツカーに乗って、女性らしからぬ巧みなハンドルテクニックで、狭い駐車場にバックでぴたっと車庫入れ。
古いアパートの一室だったが、その人らしい個性的な部屋作りをしていて、ますます虜になってしまった。
ジャズに興味をもったのも、コーヒーをブラックで飲み始めたのも、いろいろなものを自分で作ろうと思い始めたのも、全てその人がきっかけだった。
自活することを熱望し始めたのもその頃からだ。

それほど、私に影響を与えたその人は、街の暮らしを捨てて、年老いた両親を看るべく実家へ戻った。
蔵を改造した部屋に住み、広い庭を四季の花で埋め尽くし、自らの手で石段を築いていた。
親の世話や、田畑の仕事、その間に二人の男の子の子育て、近所、親戚づきあいをこなし、さらには病気も経験していた。
一日24時間を目一杯使い、人生を120%、いや200%充実させて生きている。
親友とともに、その人と語らい楽しい一日を過ごした。
お互い40を超え、色々なことを経験し、いくつもの紆余曲折を経ていまを生きている。

その人が若かりし頃、
「いまがね、しんどくてつらいなぁ、って思っても明日はどんな楽しいことが待ってるのかな、って思うの。だって、人生谷ばかりじゃないし、谷があれば山があるもの。」と生きることの楽しさを語ってくれたことがある。
本当にそうだと思う。
生きることは大変だけど、楽しいこともいっぱいあるよね、って。

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