修了

母は夜なべをして、ドレスを縫い上げた。
時間に追われながら作業をしていて思い出したが、昔、私のピアノの発表会に着るドレスを母が同じように、夜なべして作っていた。
何も無理に夜なべしなくてもいいのだが、そこは親子。
やっぱり母も、お尻に火がつくまでしないひとだったのだと思う。

友だちが届けてくれた生花のコサージュを胸に刺し、夜なべドレスの下には、マグマ大使の奥さんが着ていたようなババシャツを着込み、式場に乗り込む。
粛々と型どおりの式が進み、あまりの寒さに歯の根が合わなくなるほど身体がひえきり、紋切り型の送辞に、
「もう～～～～、形ばかりのお言葉はもういいですから！」
と言いそうになったところで、卒業生代表の答辞。
おもしろみのない学校なので、これまたお決まりのものなのか、と思えばそうではなく、寒さも忘れて耳をそばだたせる。
流行言葉を織り込み、パフォーマンスあり、歌あり、のなかなか楽しいものだった。
息子にとっては、楽しい高校生活とは言い難い学校生活だったようだが、最後の今日は、夕方遅くまで同じ部活仲間と過ごして、それなりに楽しそうに帰ってきた。
持ち帰ったアルバムを、家族でわぁわぁ言いながら楽しむ。
とりあえず、一区切り。

発表まであと４日。
今日の歌のように
「さくら、さくら、今咲きほこる」となればいいけどね。