シャラポワ犬の悲鳴

ようやく、朝夕が少しずつ涼しくなりはじめてきた。

山の方にある夫の実家では、お盆あたりからツクツクボウシが鳴き始めていたけれど、我が家のあたりではまだクマゼミが鳴いている。
ここ何年か、このあたりでは普通のみんみんゼミの鳴き声は聞こえず、それをかき消すほどのクマゼミの大合唱が続いている。
立秋を過ぎた頃から、少しはマシにはなったものの、いまだなきやまず。

そのセミの鳴き声と競うように、シャラポワ犬の鳴き声で毎朝おこされる。
シャラポワ犬とは、夫が命名した近所の飼い犬である。
その犬は、うちのマンションの近くの戸建てで飼われている。
見たことがないので犬種はわからないが、その一家が引っ越してきた当初から一日中ワンワンキャンキャン吠え続けていた。
あまりにうるさいので、ご近所の家から苦情が出たのかも知れない。
ある時から、うぅぅという低いうなり声に変わった。
どうも猿ぐつわみたいなものを噛まされたのかもしれないな、と思っていた。
そのうちに、ヒャアという何とも言えない声がするようになった。
その声が、ちょうどテニスプレーヤーのシャラポワが発する声に似ているのだ。
それで「シャラポワ犬」。
朝と夕方に、よくその声が響くので餌のリクエストをしているのかもしれない。

私は犬を飼ったことがないので、どんなものなのかよく分からないが、犬によってはそんなにワンキャン吠えたりはしないと思うのだが、どうなんだろう。
声帯を替えてしまわれるほど、吠えなければならない理由って何？
猿ぐつわをかませたり、声帯の手術かなにかをしなければなきやませることはできないのだろうか？
その犬を、そこまで吠えさせる原因が何なのか、私は知りたい。