ほんわかドラマのなかの毒

なんだかんだ言いつつも、結局いつものように最終回までみるともなくみてしまった。
オールスター総出演的な最終回はいつものことなんだけど。
ほんわかとしたこのドラマ、どうせなら全編を通じて善人でいてほしかった。
というのも。
堅物なヒロインの父親が、一念発起、素人のど自慢に出場した。
その秘密を一部の家族に知られてしまい、放映の日まで内緒にしてもらう父親。
放送直前、その秘密をヒロインが家族に発表し、皆で固唾を飲んでテレビに注目。
みごと鐘を鳴らし、賞を取る父親。
その夜、家族、住み込みの工員まで巻き込みお祝いの会がもたれる。
そこに大慌てで駆け込む一人の女。
それこそは、家族の一人である姉の姑なのであった。
その登場の仕方は、ホームコメディにありがちなバタバタなのだが、よく考えてみると
かなりシュール。
そのひとは姑らしく、一人息子の家に押しかけ、嫁の生活習慣やら、育児に口出しするに終わらず、自分のやりかた、自分のお気に入りを押しつけ、お嫁さんの留守に自分の気に入らないものをゴミ箱に勝手に捨てるような強引なひとである。
だが、夫に先立たれて、一人息子も家族とともに団地で暮らし、今は寂しい独り暮らし。
なのに。
あの堅物親父に関する大発表の席にも、そしてお祝いの席にも、そのお姑さんは喚ばれてはいなかった。
みんなが和気藹々と宴に興じる中、一人慌てふためいて駆けつけるお姑さん。
「え。皆、知ってたの・・・」と、力なく言葉するお姑さん。

なんか、可哀想・・・
校医をつとめる小学校で一人悩みを抱える児童がいればそれを気にかけ、大病院が近所にできようと、下町の人々を支えて行くんだという健気な姿勢で生きるヒロインが、家族であるその姉のお姑さんひとりだけをはじくなんて。
お姉さんの暮らしに事細かく口出しするお姑さんに一矢報いたのか。
そこまで気が回らない、相変わらずのヒロインなのか。
ぬるさを売りにしながら、結構きつい毒が最後に盛られていたりして・・

というのは、私の考えすぎかも。
それより、そこまで他人の姑の気持ちを考えるのなら、自分の姑をもっともっと大事にしなくちゃね。