真夏の鳥肌

歯医者に出向く。
半年ごとに受けている、歯石除去のためである。
時間のあるときでないと、なかなか喜び勇んで行く気になる場所ではない。
時間と気持ちにゆとりのあるこのとき、とばかりにでかける。

それにしても、いつも思うのは、この超高音のマシンの音、どうにかならないのか。
場所が脳や耳に近いだけに、不快指数ＭＡＸである。
気を散らすために、ＢＧＭのイージーリスニングに耳を傾けようとするが、どうしてもあの「キーン」という金切音が耳に突き刺さってくる。
その音のせいかどうかはわからないが、時折神経にさわって身体が硬直する。
これだけいろいろな技術が進歩しているのに、なぜ歯医者のドリルの音だけは進化しないのだろう。
あの音がなくなれば、きっと入れ歯をいれなければならない人も減るに違いない。

あ、そうか！
入れ歯で稼ぐために、進化させる必要はないからか！

でも、私のかかっている歯医者さんは、儲ける意欲に乏しいひとなので、今日も
「ざっとみて、虫歯らしきものは見あたりませんから、目立って悪いところが出てきたら治療にきてください。」
という。
オープンしたての歯医者に行けば、頼みもしないのにレントゲンを撮り、歯を削り
虫歯をねつ造してくれたりするというのに。

先生、少しは儲け主義に走って、不快な高音を出すドリルを優しい音のするドリルに替えてくださってもかまわないのですけど。
真夏に鳥肌が立つのは、なるべくならお断りしたいのです、わたし。