リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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真夏の地域ケア

2006年08月05日 | Weblog
 これも人類の活動のともなう気候変動の影響かと思われるが、各地で熱波が猛威をふるっているようだ。米国では高齢者や家畜の死亡等、被害は甚大でカルフォルニアのシュワルツネッガー知事からは住民用の冷房センターの設置等も指示され、非常事態宣言をだすといううわさもある。
 ここ長野でもここ数日、真夏日(日中最高気温30℃以上、夜間、朝夕は涼しいのだが・・。)が続いている。高原地帯でありクーラーはない家が多い。病院でも3年前にやっと全館にクーラーが設置されたところで、それまでは夏季の日中の体温37度台は誤差の範囲であった。
 本日は、在宅当番である。この熱さで在宅の高齢者はみなぐったりしている。食欲が落ち脱水になると、尿量が減り、尿路に感染を起こしやすくなる。皮膚は汗で清潔が保てなくなる・・などなど悪循環のサイクルが回り始める。虚弱な在宅の高齢者にはつらい。悪循環を断ち切るために点滴などを試みるが、入院も致し方ない場合もある。命を持っていかれることもある。訪問看護ステーションの看護師は呼ばれて走り回っている。
 この週末、在宅の当番で何度も患者宅に行き、入院が必要か、点滴で様子をみられるのか看取りの選択肢もあるのか、判断に迫られる。自分も熱さでバテ気味なのでつらい。(エアコンの効いた病院図書室に避難している。)老人保健施設などへの越冬入所というのはこの地域では一般的だが、今後は避暑入所というのも出てくるかもしれない。またかつての一部屋暖房運動のように一部屋冷房運動などというのも必要になるのかもしれない。
 行き過ぎた人類活動のゆり戻しであろう、人口増大、自然災害の頻発、凶悪化、気候変化に伴う疫病の流行(HIVなどその序曲にしか過ぎないのだろう。)、環境悪化に伴う食料不足等が日常的に問題となる時代は確実に迫ってきている予感がする。そのときに日本は、人類は冷静に振舞えるだろうか?どのようにカタストロフィを回避しながら人類活動を縮小していけるのだろうか?その際にわれわれ医療者はどのようなことに役に立てるのだろうか?そのような時代に高度医療はどこまで出来るのか?悲惨な時代に備え、Food、Energy、Careの地域圏内自給を目指さなくてはならないし、社会関係資本の蓄積も必要だ。さらには死への免疫をつけておく必要がありそうだ。