徳川慶喜log~徳川と宮家と私~

徳川慶喜家に生まれた母久美子の生涯、そして私の人生。

父・井手次郎~精強261空”虎部隊”サイパンに死すとも⑦・大空中戦2~

2019-08-05 05:00:00 | 日記
もとより、わが陸、海軍の各陣地の対空機銃もこの敵機に対して、猛烈と射撃を開始する。
上空からは紫白色の曳光機銃弾が雨あられと降り注ぎ、わが方の各陣地からも機銃弾が橙赤色の曳光をひき、敵機に向かって火の粉のように噴き上げていき、敵機に吸い込まれるように命中するのが手に取るように見える。

戦時治療所の防空壕付近は、敵機の急降下の角度から外れていたので、医務隊は全員防空壕より出て、入口付近でこれら敵機の攻撃を展望していた。
敵グラマンF6Fのなかには翼端を破壊され、海上方面に不安定な飛行で去ってゆくものや、尾部を吹き飛ばされ、目の前をきりもみの状態ですぐ近くの甘庶畑に撃墜されたもの、黒煙を引きながら低空でタポーチョ山の方に消えていくものなど、多数が目撃された。

そのうち、ガラパン市街、タナバク水上基地、アスリート飛行場付近にダグラス、グラマンらの急降下爆撃機が現れたかと思うと、弾倉を開いて爆弾を投下しては急上昇していく。
たちまち同方面からは、爆弾の炸裂音と、物凄い黒煙が上空に吹き上がっていった。

徳川おてんば姫(東京キララ社)