夕刻になって、3時間余りも続いた猛烈な艦砲射撃がようやく終わりをつげ、敵の艦隊は東方海上に姿を消した。
そこで医務隊は、壕に数名の衛生兵を残してひとまず、飛行場の医務室に集合することになった。
防空壕から出て、飛行場に行く途中の情景は凄惨だった。
陸海軍の食糧集積所や、弾薬庫はことごとく火災を起こし、弾薬庫からは砲弾や銃弾が誘爆するたびに、付近にブルブルと鈍い音を立てて破片が落下してくる。
その間隙を縫うように一人ずつ十数メートルの間隔をおいて走り、医務室に集合したのであったが、来てみれば医務室の屋根は吹き飛び、ベットの破片、毛布やマットが飛散し、惨憺たる有様であった。
その夜、戦時治療所の防空壕に戻った私は、いささかの疲労をおして数名の負傷者の治療に当たった。
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)
そこで医務隊は、壕に数名の衛生兵を残してひとまず、飛行場の医務室に集合することになった。
防空壕から出て、飛行場に行く途中の情景は凄惨だった。
陸海軍の食糧集積所や、弾薬庫はことごとく火災を起こし、弾薬庫からは砲弾や銃弾が誘爆するたびに、付近にブルブルと鈍い音を立てて破片が落下してくる。
その間隙を縫うように一人ずつ十数メートルの間隔をおいて走り、医務室に集合したのであったが、来てみれば医務室の屋根は吹き飛び、ベットの破片、毛布やマットが飛散し、惨憺たる有様であった。
その夜、戦時治療所の防空壕に戻った私は、いささかの疲労をおして数名の負傷者の治療に当たった。
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)