6月16日、早朝より敵上陸部隊は、圧倒的な海空戦略の援護のもとに、上陸地点のチャランカノア一帯より水陸両用戦車、重戦車を先頭として、わが医務隊の所在するアスリート飛行場方面を攻略するため、すでに南下しつつある、との報告に接した。
敵情を確かめるべく敵上陸地点の方向を見ようと、壕から身を乗り出すと、頭上には相変わらず敵艦上機がいて銃爆撃が激しく、また艦隊からは40センチ級の主砲をはじめとした艦砲射撃が依然として続き、もの凄い勢いで熱帯樹を吹き飛ばし、黒煙と土煙噴き上げる。
午前10時頃だったろうか、岡本軍医長の命により私と北川中尉は部下5名を率いて、飛行場付近の負傷者を収容に行くことになった。
集合地点を宿舎近くのコンクリート製の防火トーチカに決めて、まず私を先頭にして一名ずつが3・40メートルの間隔で、戦時治療所の防空壕を出たのであった。
相変わらず、砲弾の落下と敵機よりの機銃掃射が激しい。
時には伏せ、木陰に隠れたり、サトウキビ畑を縫うようにして、身をかがめながら必死に集合地点に向かった。
小銃を持った下士官兵は、敵の艦上機が超低空で飛行してくると、勇敢にも下から小銃で敵機に対して発砲したりするが、敵機はそれを無視して、わが飛行場付近の建造物に対して一機ずつ、急降下でロケット弾を打ち込んでくる。
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)
敵情を確かめるべく敵上陸地点の方向を見ようと、壕から身を乗り出すと、頭上には相変わらず敵艦上機がいて銃爆撃が激しく、また艦隊からは40センチ級の主砲をはじめとした艦砲射撃が依然として続き、もの凄い勢いで熱帯樹を吹き飛ばし、黒煙と土煙噴き上げる。
午前10時頃だったろうか、岡本軍医長の命により私と北川中尉は部下5名を率いて、飛行場付近の負傷者を収容に行くことになった。
集合地点を宿舎近くのコンクリート製の防火トーチカに決めて、まず私を先頭にして一名ずつが3・40メートルの間隔で、戦時治療所の防空壕を出たのであった。
相変わらず、砲弾の落下と敵機よりの機銃掃射が激しい。
時には伏せ、木陰に隠れたり、サトウキビ畑を縫うようにして、身をかがめながら必死に集合地点に向かった。
小銃を持った下士官兵は、敵の艦上機が超低空で飛行してくると、勇敢にも下から小銃で敵機に対して発砲したりするが、敵機はそれを無視して、わが飛行場付近の建造物に対して一機ずつ、急降下でロケット弾を打ち込んでくる。
(父井手次郎の手記を基にしているので、「私」の記載は父井手次郎を指す。)
徳川おてんば姫(東京キララ社)