6月13日の午前中は、前日にひきつずき上空は敵機の跳梁により、全く思いのままにされ、これに対する味方の対空砲火はほとんどなくなっていた。
壕内の負傷者のうち陸軍の者は、原隊の衛生兵によって陸軍の医務隊に引き取られていった。
午後2時頃サイパン、テニアン間の水道に戦艦8隻を主力とした、30数隻の米艦隊が進入して来て艦砲射撃が始まった。
万雷のごとき轟音と共に、わが陸軍陣地、ガラパン市街、アスリート飛行場付近に40センチ、36センチ主砲弾やら焼夷性砲弾を猛烈に打ち込んでくる。
敵艦上機による機銃掃射やロケット弾攻撃、それに爆撃などは、急降下の角度から外れていれば、やや安心して望見していられるが、艦砲射撃だけは砲弾がどこに落下命中して来るのかわからず、ただ炸裂した時をもってはじめて弾着を知る始末で、不気味なことおびただしい。
ただ、全員が防空壕の中に潜み、艦砲射撃の終わるのをじっと待つ以外に方法が無かった。
わが陸上部隊もこれに対しては、なすすべもなく、全くのところ沈黙の状態であった。
徳川おてんば姫(東京キララ社)
壕内の負傷者のうち陸軍の者は、原隊の衛生兵によって陸軍の医務隊に引き取られていった。
午後2時頃サイパン、テニアン間の水道に戦艦8隻を主力とした、30数隻の米艦隊が進入して来て艦砲射撃が始まった。
万雷のごとき轟音と共に、わが陸軍陣地、ガラパン市街、アスリート飛行場付近に40センチ、36センチ主砲弾やら焼夷性砲弾を猛烈に打ち込んでくる。
敵艦上機による機銃掃射やロケット弾攻撃、それに爆撃などは、急降下の角度から外れていれば、やや安心して望見していられるが、艦砲射撃だけは砲弾がどこに落下命中して来るのかわからず、ただ炸裂した時をもってはじめて弾着を知る始末で、不気味なことおびただしい。
ただ、全員が防空壕の中に潜み、艦砲射撃の終わるのをじっと待つ以外に方法が無かった。
わが陸上部隊もこれに対しては、なすすべもなく、全くのところ沈黙の状態であった。
徳川おてんば姫(東京キララ社)