tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

“ヒドいオチ”ナンバーワン映画 『[リミット]』

2013-11-12 17:59:36 | 雑感
いやあ、なんともヒドいオチの映画だった。『[リミット]』

<あらすじ>
イラクで突然襲われたアメリカ人トラック運転手、ポール・コンロイ。目を覚ますと、そこは地中に埋められた木製の棺桶の中だった。限られた酸素しかない閉ざされた場所、手元にあるのはライター、ペン、懐中電灯、携帯電話のみ。携帯電話で家族や会社、警察、FBIに連絡を取ろうとするが、埒が明かない。さらに、犯人のテロリストから無理な要求を突きつけられ…。


※以下、ネタバレあり。

・極限状態に置かれていることを差し引いても、主人公が無闇にパニックになりすぎる。助けを求めるために電話をかけている相手なのに、電話口ですぐにキレだす。それじゃうまくいくわけがない。「不安神経症」で薬を飲んでいるというエピソードが挟まれ、もともと主人公は正常な精神状態ではないことが示されるが、そもそもそんな人がイラクの砂漠=危険地帯で働いてちゃダメだろう。いずれにせよ、主人公に感情移入しづらい。

・バッテリー残量を気にするわりに、携帯電話での無駄な会話が多すぎる。オイルは貴重なはずなのに、箱の中の空気も貴重なはずなのに、ライターを無駄に点けすぎる(「画面が真っ暗」じゃ映画として成立しないという“ご都合”から?)。「過去に誘拐されたが無事に解放された学生」の名前をわざわざペンで板に書きとめる必要がどこにある?(それが「展開上重要な伏線」だから?)

・主人公を「地中に埋める」テロリストの目的がわからない。兵士ではない民間人トラックドライバーをいたぶることに意味はないし、ただ単に弄びたいだけにしてはずいぶん手が込み過ぎている(わざわざ棺桶やらシャベルカーまで用意したのか?)。アメリカから金を引き出す交渉道具にしたいのなら、人質は指示も監視もきちんと及ぶ場所に置くべきであって、携帯電話も圏外になりがちな、まかり間違えば命も落としかねない、不確かな場所に閉じ込めておく意味がない。

・不意に闖入するヘビ(ヘビが出入りできるような隙間が木箱にあるのなら、そこを手がかり・足がかりにして脱出は考えられなかったのか?)。“こんな状況でわざわざ”就労規則を持ち出して解雇を通告してくる会社。同僚の殺害現場動画を送りつけてきたり、指を詰めろと命令してきたりするテロリスト。テロリストの要求に応じたとしても成算はないのにそれに従う主人公。どれも、残酷さを殊更に演出したいがためのわざとらしさを感じる。

・助けを求めた先の当局はどれも頼りない。アメリカ本土からか、イラクの出先機関からか、いずれにせよ、携帯電話のGPSで位置情報を特定できるのは事実だとしても(実際はできていないが)、救援隊が主人公の居場所に徐々に近づいているのなら、その経過がもっと描かれてもいいはず。たとえば「今、君の居場所を半径500m以内で特定した。もう少し頑張るんだ!」と励ましの電話を入れてくる、とか。それが、いきなり「今、掘っているぞ!」と緊迫のシーンを持ち込まれてもね…ついていけない。

・そして最後の“オチ”だ。これがヒドい。後味の悪い終わり方だから、バッドエンドだからヒドいのではない。昔懐かしい動詞で言うなら「ズッコケる」ような終わり方だからヒドいのだ。激情に駆られるばかりで、冷静な判断力・行動力に欠ける主人公にはあまりシンパシーは湧かないし、そうかと言って、テロリストの残忍な仕業に、透徹した意志や計画性が見えるわけでもない。つまり、どっちに転んでも、結果は腑に落ちるものではないのだ。主人公が無事に救われれば「なんと都合のいい結末!」と思うだろうし、無念の死を遂げれば「結局彼はなんで命を失う必要があったの?」と思うことだろう。だから、の捻りなのかも知れない。この結末は。それにしたって、ずいぶんふざけた結末だ。さまぁ~ずの三村なら「そっちかよ!」とツッコミを入れることだろう。笑えばいいのか?この結末は。でも、ここに「笑い」はいらないだろう。

…まあ、これだけツッコませてくれるんだから、案外この映画、面白いのかも知れない。

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