朝日新聞http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050402/K2005040202300.htmlによると、
「大学受験を理由の一つとして保釈を求めていた東京都内の男性被告（２０）＝大麻取締法違反の罪で起訴＝に対し、最高裁第二小法廷（滝井繁男裁判長）が試験前日に保釈を許可する決定を出していた」そうだ。
確かに、「受験が保釈許可の理由となることは珍しい。」というか、第１回の裁判期日前にそのような理由で許可になることはほとんどない。最高裁がそのような決定を出したことは、今後の地裁レベルでの運用に影響を与えるのではないでしょうか。
同小法廷の挙げた理由は「前科前歴がなく、家族と同居し、芸術大学を目指して受験勉強中であり、試験の期日が目前に迫っている」ということだ。
決定までの経過は：
男性は今年１月、大麻を所持したとして逮捕、起訴された。弁護人は保釈を求めたが、検察側は「証拠隠滅の恐れがある」などと反論。請求は２度退けられ、今回の３回目の請求も東京地裁で却下され、異議申し立ても棄却された。このため、弁護側が最高裁に特別抗告していた。最高裁決定は３月９日付。第二小法廷は「地裁決定を取り消さなければ著しく正義に反する」と述べた。
とのことです。
弁護人の山下幸夫弁護士の粘りはさすが！！
ほかのブログを見ると、法律家以外は、甘すぎるっていう声が多いようだ。
しかし、そもそも、刑事訴訟法は、８９条で
保釈の請求があつたときは左の場合を除いては、これを許さなければならない。
１ 被告人が死刑又は無期若しくは短期１年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
２ 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期１０年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
３ 被告人が常習として長期３年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
４ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
５ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
６ 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
と規定しており、原則大麻所持（５年以下の懲役）など軽い罪の場合、保釈されなければならない。
しかし、実際の運用は、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」などとして、起訴されても（起訴されるまでに２０日間くらい拘束されているのが通常）裁判が開かれるまでは保釈されないことが多い。例え、執行猶予になることが明白な事案でも…。
裁判がすぐに開かれるならまだいいが、実際には起訴されてから裁判の期日までに１、２ヶ月かかる。ということは、執行猶予確実な場合でも、２、３か月は身柄を拘束されることが多いということです。
この拘束期間の長さは、国際的にも批判を浴びています。
「国連規約人権委員会で出された日本政府に対する勧告・1998年11月19日」http://homepage2.nifty.com/jinkenken/kiyaku.htmは、
【22．委員会は、起訴前勾留は、警察の管理下で23日間もの長期間にわたり継続し得ること、司法の管理下に迅速かつ効果的に置かれず、また、被疑者がこの23日の間、保釈される権利を与えられていないこと、取調べの時刻と時間を規律する規則がないこと、勾留されている被疑者に助言、支援する国選弁護人がないこと、刑事訴訟法第39条第３項に基づき弁護人の接見には厳しい制限があること、取調べは被疑者によって選任された弁護人の立会いなしで行われることにおいて、第９条、第10条及び第14条に規定する保障 が完全に満たされていないことに深く懸念を有する。委員会は、日本の起訴前勾留制度が、規約第９条、第10条及び第14条の規定に従い、速やかに改革がされるべきことを、強く勧告する。】としており、起訴前の勾留だって安易に認められるべきではない旨（保釈される権利を与えられるべきである旨）指摘しています。
「大学受験を理由の一つとして保釈を求めていた東京都内の男性被告（２０）＝大麻取締法違反の罪で起訴＝に対し、最高裁第二小法廷（滝井繁男裁判長）が試験前日に保釈を許可する決定を出していた」そうだ。
確かに、「受験が保釈許可の理由となることは珍しい。」というか、第１回の裁判期日前にそのような理由で許可になることはほとんどない。最高裁がそのような決定を出したことは、今後の地裁レベルでの運用に影響を与えるのではないでしょうか。
同小法廷の挙げた理由は「前科前歴がなく、家族と同居し、芸術大学を目指して受験勉強中であり、試験の期日が目前に迫っている」ということだ。
決定までの経過は：
男性は今年１月、大麻を所持したとして逮捕、起訴された。弁護人は保釈を求めたが、検察側は「証拠隠滅の恐れがある」などと反論。請求は２度退けられ、今回の３回目の請求も東京地裁で却下され、異議申し立ても棄却された。このため、弁護側が最高裁に特別抗告していた。最高裁決定は３月９日付。第二小法廷は「地裁決定を取り消さなければ著しく正義に反する」と述べた。
とのことです。
弁護人の山下幸夫弁護士の粘りはさすが！！
ほかのブログを見ると、法律家以外は、甘すぎるっていう声が多いようだ。
しかし、そもそも、刑事訴訟法は、８９条で
保釈の請求があつたときは左の場合を除いては、これを許さなければならない。
１ 被告人が死刑又は無期若しくは短期１年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
２ 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期１０年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
３ 被告人が常習として長期３年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
４ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
５ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
６ 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
と規定しており、原則大麻所持（５年以下の懲役）など軽い罪の場合、保釈されなければならない。
しかし、実際の運用は、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」などとして、起訴されても（起訴されるまでに２０日間くらい拘束されているのが通常）裁判が開かれるまでは保釈されないことが多い。例え、執行猶予になることが明白な事案でも…。
裁判がすぐに開かれるならまだいいが、実際には起訴されてから裁判の期日までに１、２ヶ月かかる。ということは、執行猶予確実な場合でも、２、３か月は身柄を拘束されることが多いということです。
この拘束期間の長さは、国際的にも批判を浴びています。
「国連規約人権委員会で出された日本政府に対する勧告・1998年11月19日」http://homepage2.nifty.com/jinkenken/kiyaku.htmは、
【22．委員会は、起訴前勾留は、警察の管理下で23日間もの長期間にわたり継続し得ること、司法の管理下に迅速かつ効果的に置かれず、また、被疑者がこの23日の間、保釈される権利を与えられていないこと、取調べの時刻と時間を規律する規則がないこと、勾留されている被疑者に助言、支援する国選弁護人がないこと、刑事訴訟法第39条第３項に基づき弁護人の接見には厳しい制限があること、取調べは被疑者によって選任された弁護人の立会いなしで行われることにおいて、第９条、第10条及び第14条に規定する保障 が完全に満たされていないことに深く懸念を有する。委員会は、日本の起訴前勾留制度が、規約第９条、第10条及び第14条の規定に従い、速やかに改革がされるべきことを、強く勧告する。】としており、起訴前の勾留だって安易に認められるべきではない旨（保釈される権利を与えられるべきである旨）指摘しています。