殺人事件を起こしたこと自体、非難されなければならない。しかし、次のような記事について、どう考えますか。
【http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050419/K2005041800481.html
奈良市で昨年11月、小学1年生の女児を誘拐、殺害したとして、殺人やわいせつ目的誘拐などの罪に問われた元新聞販売所従業員、●被告(36)の初公判は18日午後も奈良地裁(奥田哲也裁判長)で続いた。検察側は「早く死刑判決を受け、この世とおさらばしたい。両親に悪いことをしたが、心からわびることは考えていない」などと供述した●被告の調書の内容を明らかにし、反省がみられない態度を強調した。次回5月9日の公判からは被告人質問が始まる。
午後の法廷では、検察側が裁判所に証拠採用された●被告の供述調書を詳しく読み上げた。
●被告が犯行を振り返って「人間がすることではないと思うが、(殺害前に)女児と風呂に入ることなどができ、自分自身は満足しているから後悔していない」とした供述を紹介。さらに「事件が大々的に報道され、大騒ぎになればいいと思った。明日には、『時の人』になれると思いワクワクした」とも語り、犯行を悔いる様子がなかった状況を明らかにした。
自身の性向については「逮捕されていなければ(今年の)正月早々、また事件を起こしていたと思う」「無期懲役になっても20年ぐらいで出てこられる。癖のものですから、また繰り返す」と分析していた事実も指摘した。
さらに、「全国から『●●』という名前(注:自分の名前)に注目され、満足した」などと取り調べの中で話したことを挙げ、際だった自己顕示欲の強さを示した。】
以上の供述を警察はいかにしてとったのでしょうか。自発的に言わせたのか、誘導したのか、あるいは、何らかの交換条件があったのか。それを文面からうかがい知ることはできません。
取調の可視化が必要なのはこんな記事からも分かるということです。
たまたま、今日は、
【福岡市博多区の自宅で03年2月、妻を殺害して遺体を床下に隠したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われたホテル経営●●被告に対する判決公判が19日、福岡地裁であった。川口宰護裁判長は「検察側が殺害したと主張する時間以降に、妻と話したとする住人がいるほか、捜査段階の自白には信用性がない」として、無罪(求刑懲役18年)を言い渡した。
●●被告は03年2月19日午前8時過ぎから同40分ごろまでの間に、自宅で妻の頭部を棒状のもので殴ったうえ、首を絞めて殺害し、台所の床下収納庫に遺棄したとして起訴された。03年5月の逮捕から起訴までの間に自供と否認を繰り返したものの、初公判後は一貫して無罪を主張していた。
判決は、●●被告の近所の男女2人が犯行時刻より後の午前10時ごろ、妻とあいさつを交わしたとする証言について「当日の天気や具体的な行動を挙げて話しており、信用性は高い」と認定した。
●●被告の供述で、使用した凶器の種類が「すりこぎ」から「手製の工具」などに変わった点について、「被告が『警察官からこんなもんじゃないと言われ、想像で作り上げた』と供述するなど、取調官の示唆や態度の変化に従ったために生じた疑いがある」と指摘した。
さらに、供述には殺害時刻など客観的事実と異なる点も含んでいるとして信用性を否定。「ホテルへの出勤状況などから犯行に及ぶことはほとんど不可能で犯罪の証明がない」とした。
弁護人の松原妙子弁護士は「思い込み捜査の結果。検察側に不利な証拠の検討を怠るなど不十分な捜査だった」と批判した。】
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050419/K2005041900084.html
という記事もあり、自白が信用できない事例が今もあることが明確に示されました。
とはいえ、現実は、
【検察庁舎内に接見室がないことを理由に、広島地検の検察官が拘置中の少年(当時17歳)との接見を拒否したのは違法として、広島弁護士会の定者吉人弁護士(55)が、国を相手に100万円の賠償を求めた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第3小法廷であった。
上田豊三裁判長は「検察官や事務官が立ち会った部屋で短時間でも容疑者に接見すること(面会接見)を弁護士が求めるなら、検察側には、これに応じられるよう配慮する義務がある」との初判断を示し、「配慮を怠った広島地検の対応は違法」と述べた。
しかし、今回の検察官には賠償責任が生じるまでの過失はないとして、国に10万円の支払いを命じた1、2審判決を破棄し、請求を棄却した。定者弁護士の逆転敗訴が確定した。
会話の秘密を守るため容疑者と弁護士だけで接見する場合、逃亡防止の接見室が必要だが、全国の地検の半分以上には接見室がない。最高裁が「面会接見」という方法を示して配慮義務を検察側に課したことで、容疑者の権利保護が前進する一方、捜査の現場は新たな対応を迫られそうだ。
判決などによると、定者弁護士は1992年、放火事件で逮捕された少年の私選弁護人になり、広島地検で取り調べのため待機中の少年との接見を申し入れた。しかし、担当検事から「庁内に接見室がない」と断られたため、「刑事訴訟法で保障された接見交通権の侵害」として提訴した。
95年の1審・広島地裁判決は「容疑者を待機させるための部屋なら接見が可能だったのに、拒否したのは違法」として賠償を命じ、99年の2審・広島高裁判決もこれを支持していた。】
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20050419/20050419i314-yol.html
というようなのが実態であり、弁護人の捜査側に対するハンディキャップは非常に大きいわけです。そういう意味でも、少しでもハンデをなくすことにつながる可視化が求められます。
【http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050419/K2005041800481.html
奈良市で昨年11月、小学1年生の女児を誘拐、殺害したとして、殺人やわいせつ目的誘拐などの罪に問われた元新聞販売所従業員、●被告(36)の初公判は18日午後も奈良地裁(奥田哲也裁判長)で続いた。検察側は「早く死刑判決を受け、この世とおさらばしたい。両親に悪いことをしたが、心からわびることは考えていない」などと供述した●被告の調書の内容を明らかにし、反省がみられない態度を強調した。次回5月9日の公判からは被告人質問が始まる。
午後の法廷では、検察側が裁判所に証拠採用された●被告の供述調書を詳しく読み上げた。
●被告が犯行を振り返って「人間がすることではないと思うが、(殺害前に)女児と風呂に入ることなどができ、自分自身は満足しているから後悔していない」とした供述を紹介。さらに「事件が大々的に報道され、大騒ぎになればいいと思った。明日には、『時の人』になれると思いワクワクした」とも語り、犯行を悔いる様子がなかった状況を明らかにした。
自身の性向については「逮捕されていなければ(今年の)正月早々、また事件を起こしていたと思う」「無期懲役になっても20年ぐらいで出てこられる。癖のものですから、また繰り返す」と分析していた事実も指摘した。
さらに、「全国から『●●』という名前(注:自分の名前)に注目され、満足した」などと取り調べの中で話したことを挙げ、際だった自己顕示欲の強さを示した。】
以上の供述を警察はいかにしてとったのでしょうか。自発的に言わせたのか、誘導したのか、あるいは、何らかの交換条件があったのか。それを文面からうかがい知ることはできません。
取調の可視化が必要なのはこんな記事からも分かるということです。
たまたま、今日は、
【福岡市博多区の自宅で03年2月、妻を殺害して遺体を床下に隠したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われたホテル経営●●被告に対する判決公判が19日、福岡地裁であった。川口宰護裁判長は「検察側が殺害したと主張する時間以降に、妻と話したとする住人がいるほか、捜査段階の自白には信用性がない」として、無罪(求刑懲役18年)を言い渡した。
●●被告は03年2月19日午前8時過ぎから同40分ごろまでの間に、自宅で妻の頭部を棒状のもので殴ったうえ、首を絞めて殺害し、台所の床下収納庫に遺棄したとして起訴された。03年5月の逮捕から起訴までの間に自供と否認を繰り返したものの、初公判後は一貫して無罪を主張していた。
判決は、●●被告の近所の男女2人が犯行時刻より後の午前10時ごろ、妻とあいさつを交わしたとする証言について「当日の天気や具体的な行動を挙げて話しており、信用性は高い」と認定した。
●●被告の供述で、使用した凶器の種類が「すりこぎ」から「手製の工具」などに変わった点について、「被告が『警察官からこんなもんじゃないと言われ、想像で作り上げた』と供述するなど、取調官の示唆や態度の変化に従ったために生じた疑いがある」と指摘した。
さらに、供述には殺害時刻など客観的事実と異なる点も含んでいるとして信用性を否定。「ホテルへの出勤状況などから犯行に及ぶことはほとんど不可能で犯罪の証明がない」とした。
弁護人の松原妙子弁護士は「思い込み捜査の結果。検察側に不利な証拠の検討を怠るなど不十分な捜査だった」と批判した。】
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050419/K2005041900084.html
という記事もあり、自白が信用できない事例が今もあることが明確に示されました。
とはいえ、現実は、
【検察庁舎内に接見室がないことを理由に、広島地検の検察官が拘置中の少年(当時17歳)との接見を拒否したのは違法として、広島弁護士会の定者吉人弁護士(55)が、国を相手に100万円の賠償を求めた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第3小法廷であった。
上田豊三裁判長は「検察官や事務官が立ち会った部屋で短時間でも容疑者に接見すること(面会接見)を弁護士が求めるなら、検察側には、これに応じられるよう配慮する義務がある」との初判断を示し、「配慮を怠った広島地検の対応は違法」と述べた。
しかし、今回の検察官には賠償責任が生じるまでの過失はないとして、国に10万円の支払いを命じた1、2審判決を破棄し、請求を棄却した。定者弁護士の逆転敗訴が確定した。
会話の秘密を守るため容疑者と弁護士だけで接見する場合、逃亡防止の接見室が必要だが、全国の地検の半分以上には接見室がない。最高裁が「面会接見」という方法を示して配慮義務を検察側に課したことで、容疑者の権利保護が前進する一方、捜査の現場は新たな対応を迫られそうだ。
判決などによると、定者弁護士は1992年、放火事件で逮捕された少年の私選弁護人になり、広島地検で取り調べのため待機中の少年との接見を申し入れた。しかし、担当検事から「庁内に接見室がない」と断られたため、「刑事訴訟法で保障された接見交通権の侵害」として提訴した。
95年の1審・広島地裁判決は「容疑者を待機させるための部屋なら接見が可能だったのに、拒否したのは違法」として賠償を命じ、99年の2審・広島高裁判決もこれを支持していた。】
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20050419/20050419i314-yol.html
というようなのが実態であり、弁護人の捜査側に対するハンディキャップは非常に大きいわけです。そういう意味でも、少しでもハンデをなくすことにつながる可視化が求められます。