情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

辺野古での平和のレジスタンス・レポート~ある参加者の感想

2007-07-13 06:57:52 | 有事法制関連
●「飛び込み隊」として参加
 沖縄に着いたのは7月2日の午後だったのでその日は挨拶だけにして、翌7月3日から行動に参加することにしました。翌朝6時に浜へ行ったときには、すでに臨戦態勢。私は辺野古の闘いに参加するのは初めてで、「飛び込み隊」としてボートに乗りました。

 海上では、作業船と警戒船が船団を組んでいます。作業船が行う作業内容を知るために近づくと、警戒船が近づかせまいと邪魔をしに来ます。作業内容を情報公開しないので、作業船に乗せられている機材やダイバーの数からその日の作業内容を推測し、非暴力的な手段で作業をさせまいと抵抗することになるのですが、戦略は日々変わります。例えば「カヌー隊」が作業船のまわりを囲んで作業ができないようにするまで、時間を稼ぐために「飛び込み隊」が先に飛び込んで船の縁につかまって作業しないように説得することもあれば、作業自体を止めさせるために潜ることもあります。私は素潜りでしたが、作業員のダイバーはほとんどタンクを担いで潜っているので、こちら側も熟練した方々はタンクを背負って水中戦になったりします(楽しみのためのダイビングと違うので、すごく高度な潜水技術が必要。ライセンスを持っているくらいではダメだそうです)。

 当初、作業船は「カヌー隊」が数隻囲むと作業を止めましたが、翌々日あたりには方針を変えたようで、振り払うように急発進したり、近づいたカヌーを転覆させたりと危険な場面もありました。あるときには、警戒船から船長がボートに乗り込んできて、恫喝されたこともあったし、夕方に「お疲れさん」と行って去っていったと思ったら、沖でこちら側が諦めて帰るのを待っていたり・・・と、心理戦の様相もあります。無線もすべて盗聴されていて、作業船からこちらの声が聞こえてくることもありました。それを前提にこちら側は無線を使うので、これまた心理・情報戦です。

 一昨日は朝4時半から船が出始めていました。クレーンを載せた大型船・不知が出ているので警戒しましたが、台風4号の上陸を前に、辺野古湾に設置した水中カメラを引き上げる作業でした。一辺が80cm四方くらいの大きな台に載った巨大な水中カメラを引き上げる際に、珊瑚礁を傷つけないか監視していましたが、干潮で浅くなっている箇所ではダイバーだけで巨大なカメラを船の停泊している場所まで移動させるため、珊瑚礁にあたって「ゴリッ、ゴリッ」と削れる音が、潜っていても聞こえてくるほど。「環境調査」自体が環境を壊していました。


●カンパで買ったボートは大活躍!
 ところで、カンパで新規に購入したゴムボート「サーニー・アル・サラーム」号(アラビア語で平和を作る者という意味)は、本当に大活躍でした。サラーム号があるとないとでは、大違いです。ゴムボートといっても100万円以上する立派なもので、こちら側が持っている船の中でも、小回りがきいてスピードが速いので抜群の機動力を発揮。警戒船の船長さんも「今度のゴムボート、よく走るなあ」と言っていました。すべてこちらの船・ボートには「平和」が各国語で書かれたレインボー旗がなびいています。


●毎日が闘い・・・
 私が参加していた1週間のうち、日曜日と月曜日は「結果的に」作業がありませんでした。それでも「作業しない」ことは事前には知らされないので、朝6時すぎにはみんな各地から集まってきていました。情報収集の結果、お昼ごろには解除になりましたが、片道1時間以上の道のりを車で運転してくる人は、早朝4時台に家を出います。沖縄在住の人は、毎日毎日休みなく、船長として、カヌー隊として、飛び込み隊として、また陸での情報収集や座り込み隊として、闘いを続けることが生活になっています。辺野古に向かっていた方が事故を起こしてしまったことが MLにも流れていましたが、沖縄では基本的に移動手段が車なので、60代、 70代の方々も疲れていても運転して通っているのは、いつか事故を起こしてしまうのではないか、体調を崩して倒れてしまうのではないか、と本当に心配になります。


●東村・高江でも工事がスタート
 特に、7月2日から東村・高江でヘリパット建設工事も進められようとしているので、抵抗運動が分散されています。辺野古での作業がなかった日の午後、激励を兼ねて高江に行きましたが、炎天下での座り込みが続いていました。ゲートが4つあるので、高江での反対行動ももっと人が必要です。
 このように辺野古でも高江でも、かなり強行に作業が進めようとしている状況を沖縄のマスコミでさえなかなか報道しないので、現状が知らされずに本当に少ない人数で毎日の激務を続けている、という状況が続いています。


●これから
 実際に辺野古の闘いに参加してみて、もっと交代要員が必要だ、ということを身にしみて感じました。諦めずに闘う仲間たちをどう増やしていくか。それと同時に、このような強硬手段をこれ以上継続させないための世論喚起をどうすればいいのか。マスメディアが報道しない、ということが本当に悔しくなります。
 「とにかく来て」という呼びかけに応えたいと、辺野古に行く計画を立てました。ブログには現在の闘いの状況が詳しく報告されていますが、どこに泊まるのがいいのか、何を持っていけばいいのか、移動の手段や食事、そもそも自分が役に立つのかを判断するための情報はあまり書かれていません。幸い、Tさんが何度も辺野古へ通っていたので、私の場合は助かりました。だから、関心はあるけれど、もっと詳しいことが知りたい・・・という方のための、ガイドセミナーやリーフレットを作りたいなあと考えています。特に、これから学生さんたちが夏休みに入るので、一夏を辺野古で過ごすことをぜひ勧めたいと思います。
関心のある方はどうぞお気軽にご相談ください。

 海上での闘いが危険を伴うので、もっと気軽に参加できるよう「プカプカ隊」を募ってはどうかという案もミーティングで出ていました。美しい辺野古の海で、たくさんのカヌーがプクプカ浮いて遊んでいるだけでも抑止力になるからです。

 もちろん、経済的援助もとても重要なので、辺野古カンパ箱を置こう、という案が出ています。支援金は、有効に、大切に使われていました。海からあがった後の水道代・温水シャワー代もカンパから出されていました。
 現在、ゴムボートをもう一隻購するための、カンパを募っています。

振込先 郵便振替口座 01700-7-66142
加入者名  ヘリ基地反対協議会
※通信欄に必ず「ゴムボート代」と書いてください


 乱筆ですが、取り急ぎご報告です。
 辺野古では、そろそろ今日の闘いが始まろうとしている時間です。

■■以上、某MLからの無断引用(一部内容変更)■■

「君、いい体してるね。辺野古ジュゴン警備隊に参加してみないか?」

※画像はここから









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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毎日新聞がいち早く通信・放送融合法構想の問題点を指摘!~ブログやHP規制反対のパブコメを!その8

2007-07-13 03:35:45 | メディア(知るための手段のあり方)
 

 「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の中間とりまとめについて、大手メディアが取り上げていないのではないか?という疑問をぶつけていたら、ある方から、すでに毎日新聞では大きく取り上げられているよっていう情報を頂いた。チェックしてみたところ、確かに6月25日朝刊メディア面で、メディアのエキスパートである臺宏士記者が大々的に展開していた。とっても分かりやすいので、引用してみたい。なお、パブコメの期限は7月20日午後5時、ぜひ、あなたも出して下さい!(参照記事:その1その2その3その4その5その6その7←クリック)。

 臺記者は、第一に、「適合性審査」について取り上げた。日本弁護士連合会主催のシンポジウム「放送が危ない!」にパネリストとして出演した元テレビ朝日記者の岩崎貞明・メディア総研事務局長の話を引用しつつ、次のように述べる。

【「いよいよ(番組内容も審査される)事業免許になるのか。いろいろ問題もある」と危惧(きぐ)の念を示した。
 現行のテレビやラジオの放送免許は、番組基準などを定めた放送法ではなく、無線局という施設の管理などについて規定した電波法に基づいて交付される。行政が番組内容の妥当性に踏み込まずに免許交付の可否を審査する仕組みにし、放送の自由を保障するための知恵だと考えられてきた。
 岩崎氏が懸念したのは、番組内容に踏み込みかねない「適合性審査」を中間取りまとめが打ち出したからだ。
 岩崎氏は「総務相が再免許に当たって直接、テレビ局の番組内容を審査する権限を持つことになり、非常に危険だ。恣意(しい)的な判断の余地が大きくなる恐れがある」と指摘する。また、ある民放関係者も「現在でも免許権を持つ総務省に対して、放送局ははっきりモノを言えない。さらに拍車がかかり、萎縮(いしゅく)効果は大きい」と懸念する】

 この指摘はもっともなことだ。中間とりまとめには、はっきりと、【適合性審査については、現在の無線局免許ではなく、コンテンツ配信法制に基づく制度に移行するに際し、民主主義の発達に果たすべき役割や非常時の情報伝達、地域性の確保など、特別メディアサービスとして求められる社会的機能が何かを明確化すること】と書かれている。

 臺記者は、これに対する総務省情報通信政策課の反論を掲載する。【「適合性審査は、CSなど委託放送事業者に対する現行の審査のようなイメージで、規制を強化するものではない」と説明し、表現の自由を制約することはないとの立場だ】。

 しかし、現在、放送局に対する適合性審査はないのだから、新たに導入される以上、コンテンツに踏み込んで規制される恐れが大きいことは間違いない。

 
 臺記者は、第2に、【公然通信(仮称)と名付けたホームページやブログへのコンテンツ規制】を取り上げた。【新聞社や通信社による記事のネット配信も公然通信に該当するという】のであるから、新聞記者にとっても死活問題である。

 臺記者は、有害情報や中傷、規制の要望が強いことを指摘したうえ、導入される制度について公式見解について書いている。

【現在、ホームページやブログ、掲示板などの記述は、一定の条件を満たせば、インターネット接続業者が悪質な書き込みの被害者からの求めに応じて、相手の氏名や住所を開示しても民事上の責任を負わないことなどを規定した「プロバイダー責任制限法」以外には、原則として規制のない分野だ。
 その一方で、わいせつ映像や、音楽や番組、パソコンソフトの不正コピーなど違法コンテンツの流通、18歳未満の青少年に有害な情報、誹謗(ひぼう)中傷やプライバシー侵害に対する法規制を求める声も小さくない。
 このため中間取りまとめも、違法・有害コンテンツの流通に関する最低限の配慮事項として、関係者全員が順守すべき「共通ルール」の策定を提言した。接続業者らによるコンテンツの削除基準の法的な根拠とするという。また、都道府県が定めた青少年健全育成条例の有害図書販売規制を参考にした規制導入を検討することを求めた】。

 これに対し、【こうした法的規制は、表現の自由を侵害するのではないかという指摘も出ている】ことを指摘する。

 そして、識者の見解を聞く。
【日本ペンクラブ言論表現委員会委員長を務める山田健太・専修大准教授(メディア法)は、日弁連のシンポジウムで、会員作家の発言を大手接続業者が削除した例を挙げて「既に規制はグレーゾーン(の表現)に対しても相当強力に行われている」と指摘した。
 総務省と電気通信事業者4団体は昨年11月、違法情報の判断基準を定めたガイドラインを出した。山田准教授は「総務省が主導して業界団体と二人三脚で規制している現状では、放送番組規制にも入り込むのではないかと危惧せざるを得ない」と懸念を示した。
 大阪府青少年健全育成審議会委員の園田寿・甲南大学法科大学院教授(刑法、情報法)も「共通ルールといっても(事実上の)法的な義務が発生し、内容によっては、裁判所が判断する際の規範や、被害者らが裁判を起こす根拠規定になり得る。個人の情報発信に対し事前抑制的に働くだけでなく、お墨付きを得たとして接続業者が安易に削除する恐れがある。慎重にしないと過剰反応の引き金になる」と警告を発する。総務相が行政指導の根拠として乱用する恐れもある】

 これに対する総務省の反論は、【「共通ルールは、自ら守る規定をイメージしている。コンテンツに対する議論では表現の自由に配慮したい」(情報通信政策課)】ということだが、日本で、この種の自主規制が結局は、政府主導で行われるのは、いつものこと。「青少年社会環境対策基本法案」のときもここ(←クリック)のように批判されている。

 端的にいうと、表現の自由を規制するなら、政府から独立した機関を設けるべきであるのに、そのようにせず、総務省傘下におこうとしていることが問題なのだ(ここここ←クリック参照)。



最後に、中間とりまとめの概要について分かりやすく説明してあるので、引用します。

主要紙には目を通しているつもりなのですが、この記事は見落としていました。情報提供ありがとうございます。


■■引用開始■■

 ◇中間取りまとめ公表、TV・HP個別に規制--総務省研究会

 情報通信法(仮称)は、政府と与党が06年6月に、通信と放送の融合を進めるための総合的な法体系について、「2010年までに結論を得る」と合意したことで検討が始まった。

 総務省は昨年8月に大学教授ら専門家による「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長、堀部政男・一橋大学名誉教授)を設置。研究会は19日に「中間取りまとめ」を公表した。

 それによると、放送法や電気通信事業法など放送と通信を区分し無線や有線など事業形態ごとに定めている現行の9本の関連法を情報通信法に一本化する。放送番組のネット配信を容易にして、通信と放送の融合を促進させる狙いだという。

 コンテンツについては、新法に「コンテンツ配信法制」を盛り込み、社会的機能や影響力に応じて(1)地上波テレビなどの「特別メディアサービス」(2)衛星放送(CS)、ケーブルテレビなどの「一般メディアサービス」(3)ホームページ(HP)などの「公然通信」--に3区分し、それぞれに応じた規制に移行する。社会的影響力は▽映像・音声・データ(文字)▽テレビ受像機などの端末によるアクセスの容易性▽視聴者数--などの基準に照らして類型化する。

 情報通信法では、特別メディアサービスについては、「報道は事実を曲げないですること」などを定めた放送法の現状の規定を維持する。一方、一般メディアサービスについては、同法の政治的公平などを求めた条項、災害放送義務などを緩和し、新規参入を促すという。政党や宗教放送も視野にあるとみられる。

 公然通信は、インターネット上の違法・有害コンテンツ対策として、インターネット接続プロバイダー(ISP)やユーザーが配慮する「共通ルール」を盛り込む。

 一方、災害対策基本法や国民保護法に基づく指定公共機関や、NHKの役割については言及していない。

 研究会は7月20日まで、中間取りまとめに関する一般の意見を募集するとともに、関係団体のヒアリングを実施し、12月に最終報告書をとりまとめる。情報通信法案は地上波デジタル放送への完全移行(11年7月)に間に合うよう10年の国会提出を目指している。

■■引用終了■■









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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