情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

新聞協会がクロスオーナーシップ規制に反対の意見書~批判の必要大!

2006-09-09 14:47:15 | クロスオーナーシップ問題
日本新聞協会メディア開発委員会は,このほど,総務省の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」取りまとめ(案)に対する意見書(←クリック)を提出した。新聞・テレビ・ラジオのクロスオーナーシップ規制に反対するもので,多様な言論の流通を阻害し,ひいては表現の自由を侵害するものだ。このような営利目的の意見書に対しては,新聞テレビが系列化している現状では,市民が批判するほかない!以下,意見書を引用する。

■■引用開始■■

1.「第2章 マスメディア集中排除原則の基本的考え方 2 マスメディア集中排除原則の見直し」について


 マスメディア集中排除原則が制定された1959年以降、メディアの質的多様化や量的拡大は急速に進んでいます。地上民間テレビジョン放送は、約9割の世帯において4チャンネル以上の視聴が可能となっており、ラジオ、BS・CSの各衛星放送、CATVとあわせ、多くの視聴者が多チャンネルの放送を享受しています。また、インターネット利用人口は9,000万人に迫ろうとしています。全国紙、地方紙、雑誌等の印刷媒体に加え、各種の放送、インターネットメディアを利用することで、人々の情報入手手段の多元性と情報内容の多様性は、当時とは比べものにならないほど拡大しています。このような状況から当協会メディア開発委員会は繰り返し、マスメディア集中排除原則、とりわけ同原則に含まれる「三事業支配の禁止」規定について撤廃を含めた見直しを求めてきました。


 にもかかわらず、今回、総務省が示された「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」取りまとめ(案)(以下、「取りまとめ案」)は、同一地域におけるテレビジョン放送、AM放送、新聞の同時支配を禁止したいわゆる「三事業支配の禁止」規定を存置するとともに、新たに「テレビ・FM・新聞」の三事業支配についても同様に原則禁止・例外許容として扱うことが適当との考えを示しています。これは、これまで繰り返し「三事業支配の禁止」規定の撤廃を求めてきた当委員会の主張と対立するものです。


 同規定は、地上放送に関する同原則を定めた「放送局の開設の根本的基準」9条ただし書きにあるとおり、「ニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれ」を防止することが目的であると考えますが、前述のとおりメディア環境が大きく変化している今日、新聞と放送の連携がさらに進むとしても、情報入手手段や言論の多元性、多様性は引き続き確保されると考えます。もし、今日においてもなお独占的頒布の「おそれ」があると想定するケースがあるのであれば、その根拠を具体的に示して説明すべきです。


 そもそもメディアである放送に対する公的規制は、言論・表現の自由を踏まえ、混信防止対策など必要最小限にとどめるべきであり、新しい時代の放送局経営にあっては、経営の自由度をできるだけ高めることも重要だと考えます。


 以上、当委員会の指摘について十分に検討し、「三事業支配の禁止」規定撤廃を含めた見直しを行うよう、貴省にあらためて求めます。



2.「第5章 新たな放送サービスへの対応 1 サーバー型サービス」について


 取りまとめ案は「サーバー型サービス」や「携帯端末向けサービス」という新しい放送サービスについて、今後の制度整備の必要性を示しています。その中で、NHKがサーバー型サービスを受益者負担(有料放送)の形で行う場合には、受信料制度との関係を整理することを含め、制度整備が必要になるとしています。


 このような公共放送のあり方そのものにかかわる制度の見直しにあたっては、当委員会が従来主張しているとおり、広く意見を求めて国民的な議論を行い、慎重に検討すべきだと考えます。


■■引用終了■■




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言論テロに対する共同アピール~「まだ遅くない、手遅れではない」内田雅敏弁護士

2006-09-09 00:53:06 | メディア(知るための手段のあり方)
少し古い話ですが,加藤紘一議員の実家が放火された事件で,9月5日(火)午後、日本弁護士会館(東京・霞ヶ関)で、評論家・佐高信さんや漫画家・石坂啓さんらが呼びかけ人となって「私たちは『言論封じ』のあらゆるテロを許さない!」とする共同アピールを発表した。

janjanが内田雅敏弁護士のコメントを伝えている。同弁護士のコメントからは,市民,メディア,弁護士会の動きの鈍さに対する歯がゆさが伝わってくる。毎日新聞(←クリック)によると,ここ1年8ヶ月の間に少なくとも7件の言論に対する暴力がふるわれている(末尾に引用)。「それぞれの人々がそれぞれの職場や地域で、表現の自由を確立するための運動を広げる一歩にしてほしい」という同弁護士の声に応えましょう!

■■引用開始■■
弁護士の内田雅敏さんは、事件そのもの以上に、その後の反応が鈍いことに危機感を感じている、と述べました。1989年に昭和天皇が亡くなったとき、天皇の戦争責任について言及した本島等・長崎市長が右翼に襲撃された事件で、長崎では集会が開かれ、「長崎は民主主義の危機に対して発信する」とアピールしたそうです。

 内田さんは、「今日の会合でも、アピールを出しておしまいというのではなく、それぞれの人々がそれぞれの職場や地域で、表現の自由を確立するための運動を広げる一歩にしてほしい」と、呼びかけました。今回の事件に対し、具体的な行動をとるために弁護士会では委員会を設け、話し合いを進めているそうです。

 「事件が起きたとき夏休み中だったこと、事件の背景が明確でなかったことで動きがやや鈍かった弁護士会でしたが、この問題こそ弁護士会が率先して行動を起こさなければならないケースであり、今後の活動を通して運動を広めていきたい」と内田さんは語っていました。その上で、「遅かったけれど、まだ遅くない、手遅れではない」と述べ、怒りを全国的な運動に広げていくことの重要性を訴えました。内田さんは、「みんな怒っている。ただその怒りを表現する場がなかった」と述べ、そういう意味で、この記者会見が行われた意義を高く評価しました。

■■引用終了■■



■■毎日引用開始■■
 ◇言論をめぐり暴力や脅しがあったとみられる最近の主な事件

05年 1月 9日 東京都目黒区にある富士ゼロックスの小林陽太郎相談役最高顧問の自宅に火炎瓶が置かれていた。19日には拳銃の実弾1発が郵送された。小林さんは04年9月、記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「個人的には、やめていただきたい」などと発言していた。

    7月 3日 東京都港区にあるフリーライターの山岡俊介さんの自宅マンションが放火される。山岡さんは同年、月刊誌に政府開発援助(ODA)を手がける大手コンサルタント会社社長の不正行為を指摘する記事を執筆していた。

06年 1月 8日 フリーライターの溝口敦さんの別居していた長男が暴力団関係者に刺される。溝口さんは05年、月刊誌に暴力団幹部に関連した記事を執筆。

    2月 4日 小林相談役最高顧問の自宅近くにある警備員詰め所の敷地に、拳銃の薬きょう数個が置かれていた。

    5月29日 糸川正晃衆院議員(国民新党)と、毎日新聞記者にあてて、それぞれ衆院議員会館の事務所(東京・永田町)と、東京本社(東京・一ツ橋)に銃弾と脅迫状が郵送される。同一犯の可能性も。糸川議員は東京都港区南青山の一等地の再開発をめぐって国会質問。毎日新聞もこの問題を報道していた。

    7月21日 日本経済新聞社(東京・大手町)に火炎瓶が投げつけられる。同紙は昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)に不快感を示す発言をしていたとされる元宮内庁長官メモを特報した。

    8月15日 加藤紘一・自民党元幹事長の山形県鶴岡市の実家、地元事務所が全焼。加藤氏は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対して批判的な発言をしていた。

■■毎日引用終了■■





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キャンプに使ったナイフをトランクから出し忘れたため,デスノート作者逮捕~堂々と発表させて良いのか!

2006-09-08 05:49:15 | 適正手続(裁判員・可視化など)
警察って,本当に歯止めがなくなったようですね。以前,【先日、スイスアーミーナイフを持っている人に街中で持ち歩くと検挙されると注意しました。その際、車を持っている人に落とし穴があるのを注意し忘れたので補足します。キャンプや旅行、入院した際などに、小さなナイフを使うことがありますね。このナイフを車のトランクに入れて持ち帰ったところ、トランクの工具入れなどの窪みに入ってそのままになるってことはありがちな話ですよね。この車に乗っていて、テロ対策などで一斉検問に合って、警察にそのナイフが見つかると、アウト!検挙されます。しっかり、調書、顔写真、指紋をとられて、送検され、前歴ありとなります。場合によっては、罰金(正確には科料=1万円以下)も考えられます。いまの警察の基準は、昔とは違います!このお休み、車に乗って出かける人も多いでしょう。車庫から出す前に、一度トランクを隅々までチェックすることをお奨めします。見つかってから、警察に泣き言を言っても許してくれませんよ!】(ここ参照←クリック)と書いたら,

【目的もなく一定の刃渡りの刃物を持っていれば犯罪となります。ただし、故意がなければ良いのが一つ、目的があればよいのが一つ。知らずに紛れていた、くらいで検挙されてしまうのは、多分、その人がなんらかの過激派組織に関与しているので見張られているとか、あまりに怪しい言動をしているかのどちらかでしょう。通常はそこまで警察は調べません。そんな暇ないのです。こういう嘘を書いて扇動しようとするのが目的でしょうけど、あまりにこれはひどいです。 】

というコメントを頂いた。


これが素直な市民の反応だろうし,警察もそういう市民には正体を明かすようなことはしないで,ひそかに(積極的に広報しないで)弱い者いじめを続けるのだろうな…と思っていたら,なんと,

【少年漫画誌に連載されて人気を呼び、今年6月に映画化された「DEATH NOTE(デスノート)」の作画を担当した漫画家が、銃刀法違反(所持)の疑いで警視庁に逮捕されていたことが分かった。
 逮捕されたのは、東京都武蔵野市境、漫画家小畑健(たけし)容疑者(37)。石神井署などの調べでは、小畑容疑者は6日午前0時すぎ、正当な理由がないのに、東京都練馬区大泉町5丁目の路上で、車の中にアーミーナイフ(刃渡り8.6センチ)を所持していた疑い。
 警察官が整備不良の疑いで小畑容疑者の車を止めて職務質問をしたところ、車内の引き出しの中から見つかり、現行犯逮捕された。「キャンプで使うために持っていた」と話しているという。
 「DEATH NOTE」は、週刊少年ジャンプ(集英社)で03年12月から今年5月まで連載された人気サスペンス漫画。複雑なストーリーと細密な画風が人気を呼び、単行本(計12巻)の発行部数は2000万部を超えた。小畑容疑者は、この作画を担当したほか、同じ集英社の「ヒカルの碁」も担当。この作品も発行部数1000万部を超え、少年少女の間に囲碁ブームが起きた。03年には第7回手塚治虫文化賞の新生賞を受賞している。】(朝日

ということに…。いつものパターンでの取り締まりだが,それを堂々と発表しちまいやがった…。

産経新聞は,【小畑容疑者は「キャンプに使うために持っていた。申し訳ないことをした」などと供述している。】というコメントを掲載したが,「申し訳ない」っていうコメントを引用する方向でこの記事を書いていいのか?

そんな書き方するから,【こういう嘘を書いて扇動しようとするのが目的】とまで思えるようなことを有名人に対して行った場合でも,堂々と発表するようになったんでしょうね…。

今回の「事件」は,行きすぎた捜査の実態,このような警察が共謀罪という武器を持つことの怖さをよく分かって頂ける事例ではないかと思います。





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橋本勝さんの紙芝居パフォーマンス「ニッポン3K社会時代」~10月1日,9条フェスタにて

2006-09-07 05:58:39 | イベント情報(行かれた方はぜひご感想を)
当ブログで政治マンガ再生に取り組んでいる橋本勝さんが,10月1日,品川区立総合区民会館「きゅりあん」で,「ニッポン3K社会時代」と銘打ったマンガ展・紙芝居パフォーマンスをする予定。9条フェスタ2006の一環。同フェスタでは,冤罪と報道をテーマに,帝銀事件,三鷹事件,沖縄密約事件などのドキュメンタリーの上映やシンポジウムなども開かれる。詳しくは,こちら(←クリック)



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憲法改正国民投票法案に重大な問題点~出来レースになっている…

2006-09-06 22:19:23 | 憲法改正国民投票法案そのほか
安倍晋三官房長官が,出馬会見で,「憲法改正の発議は、衆参両院で国会議員の3分の2以上の賛成が必要という大変高いハードルがあり、簡単ではない。任期中に方向性を出していかなければならない。まず憲法改正手続きを定める国民投票法案の成立を目指す。与野党で議論を深めなければならない。集団的自衛権の行使容認に関しては、個別に具体例を検討したい。今の憲法は占領下でつくられたもので占領軍が深く関与している。戦後61年を否定するのではない。私たち自身の手で新しい憲法を書いていこうではないか。」と改憲に意欲を燃やし,憲法改正国民投票法案の早期成立を目指すと明言した(ここ参照←クリック)。しかし,その法案には重大な問題がある。あまり大きくは報道されていないが,それだけに見過ごせない問題だ。

まずは,衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局が作成したこの資料(←クリック)を見て欲しい。9頁(頁下の番号で9頁)の一番上に,「政党等による放送及び新聞広告」について,与野党案が並んで掲載されている。

与党案は,政権等による公報活動の一環としての放送(政見放送のようなもの)について,【この放送に関しては、すべての政党等に対して、同一放送設備を使用し、憲法改正の発議に係る議決がされた際当該政党等に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を踏まえて憲法改正案広報協議会が定める時間数を与える等同等の利便を提供しなければならないものとすること。】と規定している。

また,新聞広告については,【政党等は、憲法改正の発議に係る議決がされた際当該政党等に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を踏まえて憲法改正案広報協議会が定める寸法で、新聞に、憲法改正案広報協議会が定める回数に限り、無料で、憲法改正案に対する意見の広告をすることができる】と規定している。

 つまり,政党に所属する国会議員の数に比例してテレビラジオ無料放送の放送時間や新聞無料広告のスペースを割り当てるということだ。憲法改正案を発議するということは,その案に3分の2以上の国会議員が賛成しているということだ。したがって,憲法改正案の投票に向けて運動が行われている間,上記無料放送,無料広告で伝えられる情報は,3分の2以上の多数が賛成派のものとなる。反対派は3分の1以下…。この圧倒的な違いは結果に大きく影響するだろう。これではあまりに不合理だ。


再度,衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局が作成この資料(←クリック)を見て欲しい。46頁に「5 諸外国の国民投票運動に対する公的助成」の表がある。この表の助成内容欄に注目して下さい。

【欧州憲法条約についての国民投票の際には、国民投票実施委員会が100 万ユーロ(約1.4 億円)を限度として、助成金を支給した*1。
そのうち、40 万ユーロが欧州憲法条約の批准に「賛成」の立場の活動に、40 万ユーロが同条約の批准に「反対」の活動に、20 万ユーロが中立的な活動や投票促進のための活動に割り当てられた。】(46頁)

【1 億4,000 万クローナ(約21.4億円)。その使途は各団体の裁量に任されている。
・キャンペーン団体合計で9,000万クローナを支給(賛成派に4,200 万クローナ、反対派に4,800 万クローナが各頂上組織に支給された)】(47頁)

【ラジオ及びテレビのそれぞれ10時間の放送枠が与えられ、放送施設の使用料が国庫から支払われる。
放送枠は、対象となる政党又は政治団体に平等に配分される。】(47頁)

【欧州連合加盟に関する国民投票(1994年)に際して、賛成者・反対者に同額ずつ公的資金を支出した例がある。】(47頁)


以上のとおり,海外では,議席数の割合にするのではなく,賛成派と反対派を平等の割合にしているところがほとんどだ。

そもそも,権力者側が3分の2の多数で賛成するような案って必ずしも市民にとって有利なものとは思えない。それにもかかわらず,賛成派の情報が倍以上も流され続けるシステムになっているのは,やっぱり,変だ!

憲法改正投票が避けられなくなったとき,答えの分かっている出来レースにさせないように,以上を中心とする問題点を各党の憲法委員など担当議員にメールやFAX,電話で伝えよう!!





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ベルギーの異議申し立て口頭審理9月12日,欧州司法裁判所にて~弁護士依頼者密告制度

2006-09-06 00:50:44 | 適正手続(裁判員・可視化など)
弁護士から警察への依頼者密告制度(ここ参照←クリック)に対して,世界各国の弁護士会が反対運動を繰り広げている。このうち,ベルギー弁護士会が,弁護士に密告義務を課すことは、欧州人権条約で認められる「公平な裁判を受ける権利」に反するとして,ベルギーの憲法裁判所に訴えを起こしたところ,2005年7月,同裁判所は、条約の解釈問題を欧州司法裁判所の判断に委ねることを決定した。この欧州司法裁判所の口頭審理が9月12日に,同裁判所で行われる予定だ。

この依頼者密告制度は,来年の通常国会で審議されるといわれている「犯罪収益流通防止法」に基づくもの。依頼者の利益を守る弁護士が密告義務を負わされることに対し,弁護士会は危機感を強めており,前回一丸となって反対している。

世界各国でも弁護士会は必死で,カナダでは,2001年11月,弁護士に密告義務を課する規則が制定されたが,弁護士会が各州裁判所に規則の実施差止めを求める裁判を起こし,その結果,裁判所は規則の実施差止めを命令した。この判決を受けて、2002年5月カナダ政府は規則を撤回し,弁護士の職務に適合したルールを模索すると発表したという。

ヨーロッパでの動向は注目するべきであり,9月12日の口頭審理はぜひ,多くのメディアに取材して頂きたいところです。





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弱者を踏みにじる政策にノーといえる市民になろう!

2006-09-05 23:47:36 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
いわゆるグレーゾーン廃止を行うはずだった金融庁・法務省が,少額短期の貸し付けについては,28%という高金利を認める方向にあることが分かった。日弁連は直ちに会長声明を出したようだ。弱者踏みにじり政策を跳ね返しましょう!

■■引用開始←クリック■■

特例金利に反対する緊急会長声明

貸金業制度及び出資法の上限金利の見直しを検討していた金融庁及び法務省は、9月5日、自由民主党金融調査会貸金業制度等に関する小委員会でその内容を明らかにした。検討内容では、最大9年間はグレーゾーン金利が存続するとともに、「少額短期特例」、「事業者向け特例」として、いずれも年利28%を認める、というものである。

しかし、今回の法改正の目的は、最高裁判所が貸金業規制法43条(グレーゾーン金利)の適用を否定して利息制限法による債務者救済を図る判決を相次いで示したことを踏まえ、深刻な多重債務問題を解決するために行うものである。このことは、自由民主党・公明党の「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」や、金融庁「貸金業制度等に関する懇談会」で確認されてきた。しかも、8月24日に開催された同「懇談会」では、特例高金利の導入に反対の意見が大勢を占めた。

また、高金利引き下げの署名は300万人を超え、39都道府県、880を超える市町村議会が、高金利引き下げの意見書を採択している。

このような状況の中で、長期にわたって「グレーゾーン金利」を存続させたり、利息制限法の制限を超える「特例高金利」を新たに導入することは、同「懇談会」の意見を無視するとともに、高金利の引き下げを求める国民の声に逆行するものであり、甚だ遺憾である。

当連合会は、重ねて政府及び国会に対し、少額短期特例や事業者特例を設置しないこと、直ちに貸金業規制法43条のみなし弁済規定を廃止することを強く要請するものである。


2006(平成18)年9月5日

日本弁護士連合会
会長 平山 正剛

■■引用終了■■





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橋本勝の政治漫画再生計画-第36回-

2006-09-05 23:27:38 | 橋本勝の政治漫画再生計画
ブッシュの叫びが聞こえるかい

【橋本さんのコメント】
20世紀に殺したはずだよ、あの男
アメリカに抗した永久革命のあの男
21世紀の今
アメリカが押しつける新自由主義などゴメンだと
ラテンアメリカが燃えている
飢えと貧しさと差別に苦しみ続けた
人民たちの怒りが燃え上がる
病に倒れたカストロの変わりに
反逆のシンボルだったあの男が
無数のゲバラとなってよみがえる
アメリカの裏庭のはずのラテンアメリカに
次々生まれる左派政権
20世紀のドミノ理論の悪夢がよみがえる
21世紀の今
ブッシュの叫びが聞こえるかい



ヤメ蚊:なくなったのは39歳の時だったんですね
http://www.kt.rim.or.jp/~katsuma/jiten.f/Guevara.html







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ブラジル人入店差別150万円慰謝料判決の画期的さ

2006-09-05 21:43:12 | 適正手続(裁判員・可視化など)
宝石店主がブラジル人女性に対し,外国人であることを理由として退去を求めたことが不法行為にあたるとして慰謝料・弁護士費用計150万円を認めた静岡地裁宋哲朗裁判官の判決に触れた。人種差別撤廃条約の私人間・間接適用を認めた画期的な判決だが,その理由に個人的な人権観が盛り込まれているのも非常にユニークだ。これが判決?!と打ちのめされる内容。米国の人権に関する判例なんかは,こんな雰囲気なのかな…などと想像したりもした。非常にユニークなので一部引用する。(判例タイムズ1045号216頁,判例時報1718号92頁)

■■引用開始■■

第二、基本的人権の根拠付け
一1 人間は二本足を持つことから他の動物と異なり優れて大きな脳を持ち、生きていく本能そのものを失ったが、考える能力を身につけていることが出来、そのために社会的に独立して生活していくまではほぼ二〇年程度の長期間を要して成人し、また、その間に試行錯誤等により自己のよって立つ根拠を限りなく考える性質がある。
 思考は無限である。かくて、現実の世界が有限であることから無限に憧れ、また、現実の世界が不完全であることから完全無比を対峙させ、相対的世界から絶対的価値を夢み、西洋ではギリシア哲学を用いて宗教の世界において三位一体説を完成させ、東洋では徳をもって君子とするを標傍した孔子は、その生涯が必ずしも恵まれたものではなかったにせよ(「論語」貝原茂樹著講談社現代新書)、その弟子たちの権謀術策によるのと、広い国土を治める必要から、徳を備えた聖王が天命を受けて神通力を備えた小祝王として世を治めるという易姓革命の思想が前漢時代にほぼ完成した。すなわち、儒教は大いに変貌し人間関係の上下を規律するに便宜な国教としての地位を占めたといわれる(「儒教ルサンチマンの宗教」浅野裕一著平凡社)。
 こうした観念の世界では、あるいは荒唐無稽な空想の産物や論証不可能な代物や、釈迦やキリストのような聖人の説が人間性に深く感動を与えるものなどが混在するのであったが、このような聖人やとりわけ権力者にとってはその権威性ないし正統性を根拠付ける神話を産んだ。
 しかしながら、観念の世界のみに生きるのであれば、ともすればその固有の世界に閉じこもるあまり融通を欠く場合も生じた。宗教原理主義はその例である。
 かくて、中世のヨーロッパでは修道院に閉じこもってひたすら神の身許に仕えるとか、現実よりも理想を念頭においた生活が理想とされ、現実世界においてもこのような宗教的理念に支配される生活であったし、東洋でも儒教が久しく中国の国教となり、上下の階層をなした官僚制度が社会の停滞を招いたとされる。李王朝時代の韓国では、右中国の影響から世襲的な両班という官僚制度が社会の停滞を招いたと指摘されている(「儒教ルサンチマンの宗教」浅野裕一著平凡社。「歪められた朝鮮総督府」黄文雄著光文社など参照)。
 自然法とは、このような観念的思考が支配する中世以来の時代を背景として、歴史の世界で変転してやまない特殊的相対的な実体法に対して、人為から独立の自然的な事態ないし秩序または先験的な倫理的法則ないし価値に基づいて必然的に成立する規範であることと観念されて、存在した。
2 一六世紀に至るやデカルトが精神と物質について理解する方法を異にする二元論を説き、物質については数式等を用いて仮説を立て、これを実験等によって実証し、その正確性を証明する方法論が確立して自然科学が発達し、ニュートンの古典力学からアインシュタインの相対性理論や量子力学を産み、ひいては現実世界に応用するテクノロジーと結びついて産業革命を経、今日の物質文明の基礎が築かれた。また、その方法論が人文科学ないし社会科学にも応用されて、社会の法則性が或る程度明らかになった。
3 このことは人々の社会生活にも影響を及ばし、マルチンルターの宗教改革を嘴矢として西洋ではルネッサンスを経験し、キリスト教の一派であるプロテスタントが観念的な世行の価値よりも現実的な世界における実現すべき価値を見出して今日の資本主義繁栄の基礎を築いた。
 その間、フランス革命、アメリカ独立宣言は、天賦人権説を根拠に基本的人権を高らかに宣言するに至った。
 かくて、一九世紀は、神は死んだとニーチェをして嘆かせたように人間の理性を楽天的に謳歌する啓蒙的な思想が支配し、ルソーの説く人々の一般普遍的意思によって、国家は成立するという社会契約説が産まれ、国家の基礎は主権が国民に存する民主主義が至高の理念であり、国家を構成する人間は理性的存在であると観念される考え方が次第に支配するようになった。
4 しかしながら、人間は理性的な存在であると同時に、欲求に突き動かされて行動する非条理な動物的存在であることも事実である。
 このような人間の不合理的な側面に照明を与える学問は、前記事実に関する自然科学の方法論を借りて行われ、心理学、社会心理学であり、文化人類学であったりもし、また、その方法論を政治現象に採り入れた政治学であったりもしたが、さらには根本的にその人間の無意識層に究明を与えたのはフロイトを始祖とするユングなどの精神分析学派も産まれた(「ユング心理学の世界」樋口和彦著創元社)。
5 かくて、二〇世紀は科学とテクノロジーが結びつき、限りなく文明の利器を次々にしかも大量に産み出し、人々はこれを利用し、大量に消費し、また拝金主義を産みだし、ここに大規模な大衆社会を現出させた。情報に関してもおびただしいほどの情報が飛び交い、人々は断片的にこれを鵜呑みにするようになり、いままた、コンピューターの発達により、いよいよ情報は個人的に秘密的にもなってきた。生活に利便なものを与えられた人々はこれを身近な享楽的な分野に使用し、次第に他人との関わり合いや高遥な人生の意義や社会に対する責任というものを忘れるようになっていった(「二十世紀とは何であったか」小林道憲著NHKブックス)。
 したがって、今日、自然現象であれ、人間の営みである社会現象であれ、事実に関する面では、相当の進歩を得、人々の物質的な生活は豊かになったが、人間の持つ価値、倫理、道徳についての考察は相当な遅れをとっているといえる(この試みをしたものとしてつぎの論文があるが、人間の起源と自由意思の誕生、さらにそれより産れた価値の問題について考察の筆を進められていたところ、その段階で筆が中断されていることを考えれば、価値の問題は相当の難問であることを示唆する。「人間の科学と哲学」小林直樹著法学協会雑誌112(1・1)1~112(8・58)1076。なお、「現代世界と倫理」加藤尚武・松山寿一編晃洋書房。これについても充分でない気がする。特に差別についての倫理には触れていない)。
 人間は社会的動物である。社会の一員として他の人々と共に生活していくためには、法律、倫理、道徳等の社会規範を習得してこれを遵守し、また、価値を追求して行かなければならないのは避けられないのである。
 これについては、気の長い話であるが、世界の叡知をして、綿密に人間の価値の理論と実効性のある方法をDEBATE等により高めていく他はない。
 古代ギリシアの女神が開いたパンドラの箱より飛び出した精霊達の邪しまな行為は一九世紀および二〇世紀の叡知によって漸く元の鞘に収まったかに見えたが、その精霊の後裔達の新たにまき散らしたカオスについてはなお数多く現存しており、世界の叡知がなお一層の討論によって価値の創出、道徳倫理の発見に務めなければならないと考える。

二1 沿革的には、基本的人権は当初は根拠付けとして、或いは天賦人権説だとか、自然法だとかいわば概念的に説かれてきた。今一歩という感がしないではない。
 現在それは法哲学者によってつぎのように説かれる(「法哲学概論」加藤新平著有斐閣)。人間は本来、それぞれ特有の体験と自由な思考によって自己の独自の世界を作り、そして自立的に意思を形成し得る精神的存在者として、互いに比較計量できない固有の存在意義を持っている。人間は一人一人独自の小宇宙であり、かかるものとしてかけがけのない価値を持つ。ところで、全ての人間がかけがえのない価値をもつということは、全ての人間の平等、自由を意味する。全ての人間は、生存への権利、自己の判断、創意によって自己を実現する権利を平等に持つ。つまり、自律的に善悪を判断し、そして、普遍的交互的に調和し得るかぎり、自由に自己の善と信ずるところを行うことができる。この際、自由と平等の価値が各々全ての個人の人格の尊重という本来の存立意義を満たすためには、両者互いに他を必要とするという相補性の関係にある、というのである。相当実証論的になった。
 右のうち、自由については個人の問題であるから理解し易いが、平等のためには人間的共感や連帯感情を持つことが必要である。つまり、私はかけがえのない人間である。あなたも私と同じようにかけがえのない人間であると。人間の相互理解や、思いやりは、心理学者の説明では、人間の持つ共感感性であるというのである。

■■引用終了■■

…まだまだ続く。この人権観が結論にどのくらい関係があるのかな…と期待するのだが…。

こういうユニークな裁判官にあったらドキドキするでしょうね…。







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続・法テラスとの契約を拒否する理由~弁護人依頼権を維持するために…

2006-09-05 01:11:34 | 適正手続(裁判員・可視化など)
法務省管轄下の法テラスが国選弁護人を指名することについて,多くの弁護士が反発を強めている件で,反対派のチラシがファックスされた。賛成派の匿名コメント(ここ←クリック)と比較すると実名入りの反対派のコメントの迫力の圧倒的な違いがはっきりする。


■■引用開始■■

●「指定弁護人の前歴」大塚一男弁護士(東京1期)
 今春,二審国選弁護で実刑破棄,執行猶予の判決を得た。しかし,この秋からの新国選はやらないと弁護士会に何度も伝えた。新制度では法務省のワクグミにはめこまれてしまう。弁護活動の自由も,弁護士自治の鉄則も侵されるのではないか。新制度では憲法の定める「国が附する」に該当しなくなろう。法務省下の検察官が出廷し,それと闘う弁護人が法務省下の組織に従って選ばれ,カントクされては憲法に適合しなくなろう。
 昭和16年(1941年)治安維持法が改正され,弁護人は司法大臣が指定した弁護士から選ぶと定めた。同年7月1日付で693名の弁護士が指定された(『法律新聞』7月25日号)。こういう前歴を持つ司法省の後を継ぐ法務省下の国選制度の将来に危険なものを感じる。一筆したしだい。(松川事件主任弁護人)


●「批判をかわす欺瞞」坂元洋太郎弁護士(山口18期)
 山口県弁護士会の国選弁護契約を呼びかける臨時総会宣言が,日弁連ニュースや刑弁センターで取り上げられている。しかし,宣言は,司法支援センターが「国営の弁護士統括機関」にもなる懸念も表明し,弁護士自治を堅持し「国家権力とも対決…弁護活動の独立」を守る「決意」を示すが,具体的な対応体制は全くない。単に批判をかわす欺瞞であった。
 弁護人依頼権は憲法上の基本的人権の1つとして保障されているもので,「国民の理解を得ることができる弁護活動の適正確保」ということで制限されてはならず,国選弁護を訴追機関を傘下におく法務大臣の認可を受けた業務方法書などで縛られた「国選弁護人契約弁護士」に限るというのは,憲法上大きな疑義がある。会内外の真剣な論議が切実に求められている。


●「失うものがあまりに大きい…」打田正俊弁護士(愛知25期)
 刑事事件の大部分が司法支援センターを介して行政の統制下に入ることが由々しき事態であることは勿論,全国統一の法律相談窓口であるコールセンターや法律扶助事件を通じて,民事紛争の大部分にまでコントロールが及ぶ危惧さえも感じる。
 国家権力と国民の相克関係を意識しない国民が増えてきていると感じるが,その関係は一層深刻になってきていることに目を向けるべきで,このような現在,弁護士業務の自主性は逆に重要度を増してきている。
 弁護士会が積極的に関与すればセンターをコントロールできるというのは,法律家に許されざる幻想である。
 だから私は,センターと契約しない。


●「『司法改革』のなれの果て」弓仲忠昭弁護士(第一東京31期)
 法務省監督下の「弁護人」にはなりません。
 弁護士登録依頼27年,国選弁護,当番弁護士,民事刑事の扶助事件をほぼ絶やすことなく,担当してきましたが,法務大臣の認可を要する規則に基づき法務省の監督を受ける仕事-支援センターとの契約-は断固拒否です。「司法改革」の「なれの果て」に嘆息しつつ,現状を打開し,国選弁護人推薦権を取り戻すために,契約拒否に賛同します。人権擁護のために先人の闘い取ってきた「弁護士自治」(権力との対峙がその本質です)を投げ捨てるわけにはいきません。支援センターとの「契約拒否」運動の一層の前進で,「非契約弁護士」の国選弁護担当の道を切り開き,更には,法務省管理の支援センター「解体」を展望したいものです。


●「センターは解体されねばならない」下林秀人弁護士(東京32期)
 東弁で当番弁護士制度がスタートした当初から,私は率先して当番弁護士活動に取り組んできた。土・日の三会連絡担当(今はない)も喜んで引き受けたし,委員会派遣の重大事件も担当した。国選事件でも原則的な弁護活動に徹してきたつもりだ。
 「現場で闘ってこそ弁護士」。「どんな被疑者・被告人も,誰か(弁護士)が弁護せざるを得ない」。自分を駆り立ててきたこれらのことばが胸に突き刺さる。今でも迷いは尽きないが,「国選弁護人契約」は拒否する。弁護士自治を破壊する司法支援センターは解体されなければならない。


■■引用終了■■


本気で弁護活動に取り組んできた方々の声を執行部はどう受け止めるのか?




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「イギリスではテロを防いだ」と安倍が共謀罪成立へ意欲満々~本当に共謀罪が役立ったのか…

2006-09-04 23:04:06 | 共謀罪
読売新聞によると,【安倍官房長官は3日、盛岡市内での自民党東北ブロック大会で、秋の臨時国会への対応に関して、教育基本法改正案に加えて、「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案と、防衛庁の省昇格関連法案の成立を目指す考えを表明した。】という。

具体的には,【安倍氏は「(臨時国会で)大切なのは教育基本法の改正だ。防衛庁の省昇格(法案)も、テロを防止するための刑法の改正(組織犯罪処罰法改正案)もある」と述べた。】うえ,【2000年に国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備である組織犯罪処罰法改正案に関して「イギリスではテロを未然に防いだ。条約を結んでいる以上、国内法を整備する責任は果たしていくべきだ」と語った。】らしい。

安倍さん,あんたは,立法者として,共謀罪を成立させる必要があると明言し,その根拠をイギリスの「航空機爆破事件」の摘発を挙げた。では,その摘発のために,共謀罪の存在がいかに役立ったのか?日本ではそれに代わる法律があるのかないのか?これらの疑問にきちんと説明する義務があるよ。その説明をしないと,あんたが言ってることは,ただの床屋談義,井戸端会議の延長に過ぎない。雰囲気だけで人権侵害の恐れが大きい法律を成立させられては困るんだよ!

メディアもこの発言とそれに関する突っ込みをきちんと伝えてほしい。無責任な発言を繰り返した小泉の再現を防ぐためにも,最初が肝心ではないか。

肝心と言えば,与党の共謀罪成立への動きが始まったのなら,私達阻止する側も再び,連携して態勢を整えないと…。頑張りましょう!





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格差社会ではない不平等社会なのだ~中野麻美弁護士

2006-09-04 06:17:28 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
中野麻美弁護士の市民憲法講座での講演が奥平康弘教授らが共同代表を務める「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の会報誌「私と憲法」63号に掲載されている。労働現場における男女間の不平等を中心にした話だったようだが,格差という言葉に対する疑問を述べた部分が印象深かったので引用します。

■■引用開始■■

最近,「平等」「不平等」という言葉を使わなくなっていることに私は大きな危機感を抱いています。「格差」というように,きれい事にして,何か他人事のように受け入れることができるのが,「格差」という言葉だと思うんです。「不平等」という言葉を使ったらどうですか。

ある人が格差という言葉を英語に翻訳しようと思った時に,ハタと思いとどまった,と言うんですね。「格差」に対応する英語はない,やっぱり「不平等」なんだ,と。なぜ日本の社会は「格差」という言葉を使わないのか,と。それはこの所得格差が意味している本質的な部分,日本がいかに差別を許容し,不平等を許容してきた社会であるのかを気づかせない一つのイデオロギー操作なのではないか,と思うのです。「格差社会」という呼び名そのものが,事態の深刻さから人々の目をそむけさせている一つのイデオロギー操作になっているということは,ひとつ申し上げておきたいと思います。

これが憲法14条で法の下の平等を保障し,憲法25条で,誰にも健康で文化的な最低限の生活を営む権利があるとうたいあげ,人権保障と,1人ひとりが軽重なく国の主人公であって,誰もが平等に政治に参加する権利があるという,民主主義社会を標榜している日本国憲法の下で起きている出来事なんです。

■■引用終了■■

確かに,格差社会と不平等社会ではインパクトが違う。メディア各社は,今後,不平等社会という言葉を使ってはいかがでしょうか?

それにしても,整理解雇をリストラ,不定期バイトをフリーター,無職をニートと言い換えるなど,労使関係でこのようなイデオロギー操作が目立つような気がする。逆にいうと,政府は,労使関係が大幅な投票行動の変化につながる可能性があるとみて,危機感を抱いているのではないでしょうか?






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NHKの直接委託の本気度は何パーセント?~PDFにセキュリティかけるようじゃねぇ…

2006-09-03 19:43:57 | メディア(知るための手段のあり方)
NHNは,これまで外部プロダクションを下請けとして使う場合,原則として,間にNHKの関連会社を噛まして,孫請けとしていた。あるOBによれば,間に入る関連会社はピンハネ会社であり,制作会社の顔をしてはいるが,制作には興味がないところが多いのだという。そして,NHK本体には入社できなかった人が関連会社に制作部門希望で入った場合,そのギャップに驚き,退職する人もいるというのだ。

確かに,ここ(←クリック),ここ(←クリック)で触れたとおり,関連会社には,848億円も内部留保されており,OBの話も頷ける。少なくとも,直接,契約した方が間に一社かますよりも安く請け負わせることができるのは誰の目にも明らかだ。

そこで,NHKは,間に関連会社を噛まさない直接委託制度を発表した(こちら参照←クリック)。しかし,非常に限定的なものであり,記者発表資料にも見あたらない。果たして本気で取り組むつもりがあるのか?喉元過ぎれば,元のシステムに戻すつもりではないのか?NHKはこのような疑問にきちんと答える義務がある。

ところで,NHKの上記PDFを見て頂くと分かるが,NHKはPDFにセキュリティを掛けているため,テキストで持ってくることができず,非常に保存,引用しにくくなっている。これって,情報発信会社の姿勢としてどうなの?

ちなみに,BBCのホームページを当たると,ここ(←クリック)のように,PDFにセキュリティはかかっていない。




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橋本勝さんの新著「21世紀の世界に9条はおすすめです」~学校や家庭にどうぞ

2006-09-03 12:11:42 | 橋本勝の政治漫画再生計画
21世紀の世界に9条はおすすめです

BOC出版部

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当ブログに毎週寄稿して下さっている橋本勝さんの新しい絵本「21世紀の世界に9条はおすすめです」が出版された。戦争をしてはいけないということをストレートに訴える内容で,とても分かりやすい。家庭だけでなく,学校や地域の図書館などでの購入をお奨めします。




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「ねぇねぇ,どっちが悪者?」幼稚なブッシュに託された世界の悲しさ~在郷軍人会演説

2006-09-03 00:52:18 | 有事法制関連
産経新聞(←クリック)が,ブッシュ米大統領が8月31日にユタ州で開かれた米国在郷軍人会で行った演説について触れた記事で,ブッシュが【米中枢同時テロ(2001年)から5年間続くテロとの戦いを「21世紀最初の戦争」と位置づけ、イスラム過激派を相手に自由と民主主義を守る「イデオロギー闘争」がこの戦争の本質だと訴えた。】【イスラム教スンニ、シーア両派の過激派を挙げて、これらを「自由の敵」と定義した。テロ組織や活動家を国内にかくまう国も同列だとして、かねて批判を強めるシリア、イランにも言及した。】【こうした敵の目的は「自由の躍進を阻み、世界に暴政とテロという暗黒の構想を植えつけること」だと語った。そのうえで、国際テロ組織アルカーイダから、イランのアフマディネジャド政権まで含めたこれらの敵を「ファシスト、ナチス、共産主義者、その他20世紀の全体主義者に連なる後継者だ」と述べた。】と書かれている。

敵の目的は,【自由の躍進を阻み、世界に暴政とテロという暗黒の構想を植えつけること】って…。スターウォーズじゃあるまいし…。敵とみなしている国の国民の存在をまったく無視したお馬鹿な発言で,あきれ果てる。

子どもの頃,維新の志士を主役にしたドラマと新撰組を主役にしたドラマを見て,一体どっちが悪者なのか?と親に尋ねて苦笑されたことを思い出す。

一方を悪者と決めつける議論の何と幼稚なことか。そして,そのような幼稚な者に人類を全滅させるボタンを握られていることの悲しさ…。せめて,日本の指導者にはこういう幼稚な人間を据えないようにしないといけないのだが…。


なお,イラクでの市民などの「戦争」による死者は,2年前は一日30人だったが,いまでは一日120人に上っているという【The document notes that, based on initial reports, Iraqi casualties among civilians and security forces reached nearly 120 a day, up from about 80 a day in the pervious reporting period from mid-February to mid-May. About two years ago they were running about 30 a day.】(ニューヨークタイムズ←クリック)。120人,1人ひとりが私達と同じように幸せを願って生きていた人であり,1人ひとりにその死を嘆き悲しむ者がいる。ブッシュには,そういう犠牲者も「悪者」に付き従っている部下,例えば,仮面ライダーでいうところのショッカー戦闘員,あるいは桃太郎侍が切り捨てる用心棒にしか映らないのだろう。


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