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今日の筆洗

2016年02月26日 | Weblog

 米国で住宅バブルが崩壊し、金融危機が起きたのを受け、オバマ政権は住宅ローン返済に苦しむ国民のため、返済額を減らす救済策を打ち出した。だが、この策が借り手を苦しめることになった▼金融機関の組織が余りに細分化されていたため、返済額の軽減を受けた借り手の情報が共有されず、債務不履行と勘違いされて差し押さえられる例が相次いだのだ。縦割り体質が招いた悲劇である▼英経済紙の敏腕記者ジリアン・テットさんは『サイロ・エフェクト』(文芸春秋)で、巨大化し専門ごとに細分化した組織に潜む罠(わな)と、そこから逃れる道を探っているが、その例として取り上げられているのが、ソニーだ▼起死回生を狙い各部門を独立採算の「社内カンパニー」に再編したが、各部門の縦割りが助長され、アイデアも共有されなくなった。「うちには三十五個のソニー製品があるが、充電器も三十五個ある。それがすべてを物語っている」と幹部が嘆く事態になったというのだ▼そのソニーがとうに廃止した社内カンパニー制を昨年の組織改革で導入した…というあたりが、シャープの落ちた穴の深さを示していたのか。ついに外資の傘下に入ることになりそうだという▼テットさんは組織とは「効率化を追求しすぎるとかえってうまく機能しなくなる」と指摘しているが、それこそ現代の組織が陥る最大の罠かもしれぬ。