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今日の筆洗

2020年06月04日 | Weblog
 <不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない>。浅川マキさんの「赤い橋」(一九七〇年)。その赤い橋を渡ると、みんなどこかへと消えていく。そして、いつかは自分も…。そんな不思議な歌だった▼赤く点灯する東京・お台場のレインボーブリッジを見て、浅川さんの沈鬱(ちんうつ)な歌声を聴いた気分である。東京都は二日、新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあると判断し、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」を初めて発令した。レインボーブリッジが悲しい「赤い橋」になったのもアラート発令に伴うものだそうだ▼緊急事態宣言が東京で解除されたのが五月二十五日。少しずつ「普通の日」に戻りつつあったのに、わずか約一週間でアラート発令とは悔しくなる▼今のところ、休業の再要請などにはいたっていないが、安心はできないだろう。今、増えている感染者は緊急事態宣言が解除される前に感染した人と考えられる。解除後、町にどっと戻った人波を思い浮かべれば、来週あたり、感染者がさらに増えても、不思議ではないかもしれない▼夜の繁華街での感染が目立つという。一度、緩んでしまった心のたがを再び引き締めるのは苦労だが、気をつけるしかない▼腹黒いウイルスは歌とは違う。橋を渡って、消えていったように見せかけて、こちらがつい油断すると、平気な顔をしてまた帰ってくる。