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今日の筆洗

2020年06月19日 | Weblog

いったん天高く昇った竜は、慎みを忘れると下界にくだる運命にある。「亢竜(こうりょう)の悔いあり」と漢文由来の古い言葉は言う。昇りつめた竜のように栄華を極めた人への戒めとして、伝えられてきた言葉である▼桜を見る会の公私混同疑惑に、検察人事をめぐる混乱に…。七年あまりにわたって高みにある安倍首相の政権に、のちのち悔いになりそうな出来事が、しばらく前から起きているようでならない。竜の衰えを思わせるような出来事が、またひとつ。河井克行、案里夫妻が逮捕された公選法違反事件。同じ流れのなかにある事件に思える▼票の取りまとめに、現金を配るというあからさまなやり方と、総額約二千五百七十万円という額の大きさ。伝えられる容疑にまずは驚かされる▼当選に大胆で露骨な買収があった疑いのある案里容疑者を自民党本部も安倍首相も力を入れて推していた。克行容疑者はその後、もっともえりを正すべき法相に抜てきされている。一強と言われ続けてきた政権の下で、廃れた道義と倫理を思わざるを得ない▼説明責任を言いながら、克行容疑者はこれまでに、満足な説明をしていない。思えば、政権を巡る疑惑や問題の中で何度も連呼された責任という言葉も、空疎になってしまった印象がある▼支持率は取り戻せても、道義や倫理の傷を直視しなければ、栄華は失われるものではないだろうか。