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今日の筆洗

2020年06月23日 | Weblog

 食堂のウエートレスが注文を聞きにくる。胸の名札を見て、男が電話番号をつぶやく。男とウエートレスは初対面。「どうして知っているの」とウエートレスは不審がる。米映画の「レインマン」(一九八八年)にそんな場面があった▼男はサヴァン症候群なる病によって、通常では考えられないほどの記憶力を持っている。電話帳を丸ごと暗記していてウエートレスの電話番号もやすやすと諳(そら)んじることができた▼NTT東日本とNTT西日本は、五十音順の電話帳「ハローページ」の発行を二〇二一年十月以降、順次終了すると発表した。そのニュースにダスティン・ホフマン演じる男の寂しげな顔を思った▼〇五年度には個人名、企業名編の計六千五百万部発行していたが、二〇年度は百二十万部まで減っていたと聞く。そう言われてみれば、電話帳を開いた記憶が最近はない▼必要ならネットで調べた方が早い。かさばる電話帳を持ち出すのもわずらわしい。そもそも、個人名を電話帳に掲載することも詐欺などを考えればためらわれる。かつては電話台の近くで大きな顔をしていた電話帳もネットと個人情報保護の時代によって引退に追い込まれたようだ▼来日したプロレスラーが電話帳を二つに破って、怪力を誇示した時代が懐かしい。ブッチャーもやっていたっけ。今のやせた電話帳では引き裂いても自慢にはなるまい。