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今日の筆洗

2023年06月24日 | Weblog
塩は人類の必需品。政治との関係も深い▼『塩の事典』(橋本壽夫著)によると、歳入確保のため、古代エジプトなどで塩税が課され、紀元前のローマでも塩専売制が始まったという。兵士の保存食にも不可欠。十四世紀には、ヨーロッパの国が戦争を準備する時は塩を大量に入手し、魚と肉を塩漬けにしたという▼インドでは独立前の一九三〇年、指導者ガンジーが宗主国・英国の塩専売に反対する「塩の行進」を行った。塩を外国に牛耳られる不当を訴え、海岸まで四百キロ近く歩いた。参加者は数千人とも。独立に向け、民族意識を高揚させたと評される▼韓国で、海水から精製する天然塩が買いだめされていると報じられた。小売価格も高騰しているという。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が近づいたことが背景にあるらしい▼韓国政府は、日本で放出された処理水が自国に及ぼす影響はほぼないとの専門家の見解を紹介し「塩は安全」と訴えるが、反日色の強い野党は「海洋投棄は放射能テロ」と強硬。対日関係重視の現政府を揺さぶる狙いらしい。日本を巡る国内対立の根深さを改めて思い知らされ、いささか気は重い▼日本でも明治期から九十年余り塩の専売制が続いたが、当初の導入の狙いは日露戦争の戦費調達だった。ロシアに勝って韓国への影響力を強め、併合へと進んだ。塩は日韓関係史とも縁が深い。