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今日の筆洗

2023年06月26日 | Weblog

セミの一生は「七年七日」とは昔からよく聞く。七年の間は幼虫として地中で過ごし、成虫になって地上に出てからの命はわずかに一週間。実際はもう少し長いようだが、それでも短い命である▼こんな言い伝えがある。セミの脚にある赤い斑点のようなものは仏さまの姿であり、セミをいじめてはならない。こんな教えも地上でのわずかな命を哀れに思ってのことだったのかもしれない▼先週のこと。近くの墓地でミンミンゼミの声を聞いた。まだ六月。一匹だけだったが、鳴き声がまだ慣れぬ感じで、つっかえ、つっかえになるのが可笑(おか)しい。手帳を確認すると昨年の初音(アブラゼミ)は七月六日とある。あくまで個人的な「観測」なのだが、六月の初音は平年に比べかなり早い気がする▼時をたがえ、仲間より早く出てきてしまったか。<頓(やが)て死ぬけしきは見えず蟬(せみ)の声>芭蕉。梅雨明け前とは生き急ぐこともあるまいに。ちょっとかわいそうな気になる▼少々早過ぎるセミの声は厳しい夏の到来を予言しているのか。気象庁のむこう三カ月間の長期予報によると、この夏の暑さは平年並みかそれ以上で、やはり厳しい夏になりそうである▼北京では先週、四一・一度と六月としての最高気温を記録した。日本にもまた、猛暑の夏が迫る。週明けは気温が上昇するそうだ。子どものころは待ち遠しかった夏だが、今は身構える。