毎晩のように同じようなあらすじの悪夢をみて目が覚める。会社を辞めてからだから23年くらいだ。
夢ではまだ自分は会社に勤めているんだけど、次の勤め先が決まっていないのに人事部に退職願いを出してしまっている。けど、まだ会社にいるんだよ。自分が。行くところがないから。しかし、自分の机はもう無く、なぜか知らない人ばかり。「あの・・・人事部長はいますか?」そう誰か捕まえて聞くんだけれど、全然相手になってくれない。というか、自分がそこに居るなんていうことはみんな無視していて、どんどん仕事をやっている。
「あの・・・間違えて退職願いを出してしまったんですけれど、人事部にそれを撤回してもらうように頼みたいのです。」
そう誰彼構わず話かけるんだけど、みんな無視している。
「やべえ。来月から収入が無くなる。どうしよう。」
すると突然知った顔の上司が部屋に入ってくるんだけれど、やはり俺はそこには居ないように振舞っている。」
諦めて別の部屋に行くのだけれど、知っている同僚が一人も居ない。
「どうなっているんだ?」「俺は本当に不要な人間になってしまったのか?」
だいたいその辺で眼が覚める。喉はカラカラ。頭痛がすることも多い。
時計を見るとたいてい4時か5時くらい。
会社を辞めてからは、安定収入を確保するために東奔西走した。営業に。
物凄い恐怖感は確かにあった。お客さんを得られなければそこで終わりだからだ。お客さんを得ても切られたら終わりだ。切られないように努力をしても切られる時は切られる。
今も心の奥の方では、恐怖感と戦っているのかもしれない。
いや、違う意味で戦っているのかも知れない。自分にはもう存在意義がないんじゃないか。家族にも。ほかの関わっている人にも。近寄らなくなった友達も。
家族に必要なのは、俺自身じゃなく稼いでくるお金。そんな気がずっとしていた。決定的にそう思ったのは、女房が婚約指輪を売ろうとしたことがあってからだ。最近のことだけど。このブログの何回か前に若い時のことを少しだけ書いたが、俺の家は本当に貧乏だった。学生時代は2~3日夜も寝ないでバイトして学費や自分で使うお金を稼いだ。それは就職してしばらくは改善されることはなく、すごく苦労して婚約指輪を買った。35年前に50万円くだいだった。普段もできるファッションリングに近いデザインで、気に入ったようで安堵した。その指輪の費用も、結婚式でかかる費用も、昼は社員食堂で食べると高くつく(社員食堂だから安いんだけれど)ので、毎日自分で弁当を詰めて持っていってお金を貯めた。クルマも持っていなかった。俺のすむ地域でクルマを持ってない人はほとんどいない。電車やバスではどこも行けない。ずっとバイクに乗っていた。雨の日も50キロ離れた職場まで毎日バイク通勤だった。向こうの親は田舎の旧家なのでこちらの事情は全然考えてくれない。きちんとした形にこだわり、俺は結婚式の費用に苦しんだ。当然、親からの援助などない。逆だったからな。
ちなみに、ある若い女性に「婚約指輪を売るということにどう思いますか?」と聞いてみたところ、「私はそういうことにあまりこだわりは無いので何とも思いません。」という答えが返ってきた。今はそうなのかも知れない。
しかし、俺はそれを受け入れることは出来なかった。
俺のすべての愛情を売ってしまわれる気がした。
壊れたメンタルはさらに粉々になった気がした。
なんのために苦しい思いをして働いているのか、ますますわからなくなった。
そして、自分が生きている意味も分からなくなった。
今日は、暑くなったが仕事はうまくいった。そこの事業所の電気主任技術者と元受けの工事会社の人がずっと作業を見ているので疲れたが、よくあることだ。