そういう題名の本を昔読んだ。椎名誠の本。
モンゴルへの紀行エッセイだったが、世界中自由気ままに旅が出来ていいなぁ
、と思いながらこの人の本はほとんど読んだ。
俺が行くのは、太陽光発電所という草の海。
物凄い草だ。地面の様子なんかわからない。
記憶を頼りに歩いていくんだけど、人間の記憶って曖昧なもんだ。

草の海の下に側溝があり、グレーチングという網の蓋から足を滑らせて転んでしまった。左足が側溝の中に入ってしまったので、小内刈りをかけられたようにストンと転んだんだが、顔面を強打しそうだったので手を出した。転んだときに手をつくと手を骨折するんで、あまり良くないのだけれど、顔面を鉄製のグレーチングにぶつけそうだったので、手を犠牲にすることにした。いや、本当に転ぶ1秒もあるかないかでそんなこと考えてるんだよ。
すっかり忘れていたんだけれど、股関節と右手の平の付け根が痛いので良く見たら手が赤く腫れていた。
天気が悪いし、スッキリしないね。
でも、発電所の中で物凄い数のアリがせっせと働いていた。「お前らがんばるなぁ」という俺なんか無視してひたすら働いている。
一番働いている奴は、一番外側でひたすら頑張り時には犠牲になって巣を守っていく。何事も一番あとでな。敵が来たら身を挺して巣を守り、しかし、一番蚊帳の外で。だよな。
「お前ら俺とそっくりじゃないか。それで満足か?」
それに答えることなんかあるはずもなく、働き続けている。
時々、「俺は一番愚か者かもしれない」という強迫観念に襲われるが、どうすれば正解なのかわからない。ものすごい愚かなことをしているかも知れない。
それはわかっているんだよ。
でも、そう遠くない将来全て終わる。
だからいいか。