静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

美女ドローテはドイツに

2012-06-09 12:08:08 | 読書



  ようやく再会しました!   思えば、 
かれこれ五年ほども。あれほど探しあぐねた 
 わたしの パリの憂鬱の美女ドローテは
 ドイツの ある小さな村で、 ゲーテの 
ヘルマンと一緒に、幸せに暮らしていました。
 その名をドローテア、と呼んで。~うん?~

 ゲーテはボードレールより72歳年上です。
だから、ドローテアから、ドローテに名を変えた?

いったいドイツ語でゲーテはドローテアと呼び、
フランス語のボードレールはドローテと? 
両語ともに無知なわたしに、恋する値は....

やはり、あるのです。だって、ボードレールの
”パリの憂鬱”も、ゲーテの散文(叙事)詩 
”ヘルマンとドローテア”も、それこそ寝る間も
惜しいほど読み明かし、浸り浸ったのですもの。


  ドローテの素性を ようやく知った今、
わたしは 安心して 次の本の海に進みます。


 夕方まで 雨降る土曜日です。
無事手にした 平出隆氏の、美しい装丁の
”左手日記例言”を、読んでいます。

 この本は、書見台に乗せると、壊れそうな、
とても華奢です。左ページだけに文があって、
右側のページは、綺麗な、真っ白です。


 わたしは 敢えて左手だけで、支え持ち、
疲れると、膝に乗せて 読みます。

ページを繰るときに、反則的に右手を添えます。


わたしのように、年老いて、目を左右に
動かすことの難儀も、最小限に抑えられていい。

 因みに 作者は 右手の甲に怪我をして、
それは、頭のどこかにも響いたらしくて、さらに…
と、ご本で 冒頭に そう告白しています。

それで、わたしも、作者の難儀を共有しようと、
 極力左手だけを使うことにします。


 文章はとてもわたし好みです。 訳もなく うれしい。
一種の安堵感 というのでしょう。


遅読なわたしです。いつ読み終われるか、
そう思うだけで はや楽しみは募ります。

  ただ今 ”老作家” の例言を読むところです。

ベランダのすだれに這わせた”ゴーヤー”の
ひょろひょろ伸びる蔓の先が、
雨空を握りたがって、左手指を連想させます。