畑道を通って、いつもの散歩コースの深呼吸野原へ向かいます。
この界隈の住人たちに、かれこれ三十有余年前から呼び慣わされている“ターザン森”。楢やら櫟など、武蔵野の落葉樹はすっかり葉を落としていて、晴れた日の空は筒抜けのまま私の真上に広がります。積もった枯れ葉と、清潔な空気の生み出す、森の薫りを胸いっぱい深呼吸します。私の宇宙、野原、空間です。冷たぁいそよ風に首筋をさらしながら、どこからか聞こえる野鳥の囀りを追いながら、林をゆっくり進むと、裸技にそーっと留まっているのは、枯れ葉のような、冬鳥たちです。こちらが停まると、安心してか、彼らは枯れ枝をあちこち動きます。よく見ると、ずいぶんいるのですね、何鳥かしら? スズメより小さな、尾羽は躰程の長さです。彼らのさえずりを真似て、つつつと小声で呼ぶと、少し近づいてきて、更に増えます。この時、彼らに近づいてはいけません。彼ら、よく見ています。こちらがそっと後ずさりすると、安心して、せっせと小枝をつついています。いつまでいても飽きない(バードウォッチング〉ミニ版です。
去年の今ごろは、雪に埋もれて、真っ白の平野だったこのあたり、 いよいよ暖かくなり出すと、もう、雪は望めないかも知れない、と少しだけ寂しさを思いながら、残り少ない季節の恵みを享受しました。
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